表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/33

カプセルホテル

22時半頃、集まっていた車はゾロゾロと帰り始める。

取り巻きの一部のメンバーは、熊谷や妻沼の辺りから来ているのだが、それより遠い所から来ている小岩剣は、カプセルホテルに泊まる。

三条神流と松田彩香も、地下駐車場を出発する。

「あいつら、この後家に帰らねえで、ラブホに行ってばっかりだ。だから、影でラブホ特急って言われてんさ。」

と、霧降が言う。

「ラブホ特急って、「カシオペア」の事でしょう?青函トンネル走行中に車内でAV撮影したら、配電盤に体液かかって火を吹いて、龍飛海底駅に緊急停車。」

小岩剣も思い出し笑いを浮かべる。

「あの事件のとき、偶然にも青森に居合わせて姉さんと野次馬しに龍飛岬まで行って、後で真相知ってバカ笑いしてましたよ。」

「笑い事じゃねえだろ。よりによって、繁忙期にやりやがって。でも、ある意味貴重なシーン見れたな。海底駅が本来の役割を果たしているシーンじゃねえか。」

「あまり、見るようなものじゃないですが、備えあれば憂いなしとは、あのことでしょうな。」

「そうだな。んじゃ、明日な。」

「了解です。」

霧降のBRZも出発。

小岩剣は地下駐車場から地上駐車場へ車を入換する。

地上駐車場への入換を終えると、カプセルホテルのある入浴施設へ入り、受付を済ませ、風呂に入り、カプセルホテルに入る。

(なるほど。B寝台のようだ。)

と、思いながらカプセルに潜り込む。

モゾモゾっとカプセルの中で向きを変え、カーテンを閉め、電気を消す。

(「あけぼの」のB寝台個室の下段のようだ。「あけぼの」のB寝台個室は狭かったからなぁ。でも、開放寝台より好きだったなぁ。)

小岩剣は、「あけぼの」のB寝台個室を思い出しながら寝た。

それがいけなかった。


「ピィーーーーッ!」

「ガクーン!」

「ゴッゴットン。ゴゴン。ゴゴゴゴン」

「カンカンカンカン」

「ゴゴンゴゴゴンゴゴン」


周囲がはっきりしない。

小岩剣はよろよろと、身体を起こすと何かにぶつかった。

「ここは―。」

走行する客車列車の車内のようだった。

いや、間違いない。

窓の外を見る。

真っ暗闇を加速しながら突き進んでいる。

どこへ向かっているのか、他でも無い。

信越本線を、北へ向かっている景色。

(「あけぼの」だ―。あれ?俺、ワム地下ってところに―。)

B寝台個室を抜け出る。

車内を徘徊する。

客の姿は無い。

何処にもない。

そして、新津駅に着いた。

向かいのホームに、大阪へ向かう上り寝台特急「日本海」が入線してくる。

その車内もまた、空っぽのようだった。

「日本海」が止まるか止まらないかというところで、「あけぼの」が発車。

「日本海」の最後尾。

オロネ24の車内に人影。

「姉さん!」

オロネ24の車内に居たのは、ニセコと、ニセコの旦那だった。

「姉さん!待って!」


「うわぁっ!」

と、派手にうなされて、目が覚めた。

すると、そこは、カプセルホテルのカプセルの中だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ