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内定辞退

小岩剣は、大学の就職課経由で勧められ、なんとなくで受けて内定を得たタクシー会社の内定を、尽く蹴っていた。

理由は簡単。

自分のやりたいことではないからだ。

バス運転士の内定もあったのだが、これも蹴った。

少しだけ、心魅かれるものもあったのだが、そこは尽く落とされる。

鉄道会社のほとんども、無残に敗れた。

今、小岩剣の手元には2社からの内定があった。

日本交通グループの東京のタクシー会社と、群馬の北関東ロジスティクスだ。この内、前者は、大学の就職課経由で勧められた物だった。

舎人公園で、このタクシー会社の懇親会のバーベキューが行われるので、それに一応参加する。

気が進まない。

小岩剣は今、日暮里舎人ライナーに乗っているが、小岩剣は無人運転する乗り物が大嫌いだ。

人間が運転していなければ安心できず、エレベーターに乗せられているようで気分が悪くなる。

なので、舎人公園駅に着いたときには乗り物酔いして気持ち悪くなっていた。

ちなみに、地下鉄も「外が見えない・自分の現在位置が分らない・どちらへ向かって走っているのか分らない」という理由で大嫌いだ。

鉄道好きのクセに、無人運転列車や地下鉄が大の苦手という変わり者である小岩剣は、駅の便所で派手に嘔吐して、お茶を飲み、うがいをしてから会場に向かう。

(アッチィー。なんだってこんなクソ熱い中、クソ熱いバーベキューなんかしなきゃいけねえんだよ!)

と思いながら、小岩剣は採用担当の社長の娘に連絡。

5分もしないで合流。

気が進まないが、無理に笑って話を合わせるが、やはり、気が進まない。

他の内定者と顔も合わせるが、無理矢理笑って応じるには限界がある。

二次会にそのままの流れで参加するハメになるのだが、酔った先輩や内定者に絡まれる。

とうとう怒った小岩剣。

途中で抜け出してしまった。

そして数日後、大学でキャンパス間の書類運搬のバイトの後、就職課に一言言って、そのタクシー会社の内定まで蹴ってしまった。

とうとう、小岩剣の手元に残ったのは、北関東ロジスティクスの内定だけになってしまった。

内定を蹴飛ばす連絡をしたとき、電話口の向こうの社長の娘は、これまでの会社と違ってかなり残念がっているのが分かった。

そして、電話を切ってものの数分でまた電話が来た。


三条神流は小岩剣に残された道は、自分と同じく、群馬へ逃げ込むことが適切だと思っていた。

倉賀野の北関東ロジスティクス。小岩剣はここの内定を貰っていて、入社するつもりらしいが、それでいいのか悩んでいる。

なので、小岩剣が暇な時間には出来るだけ群馬に来させ、群馬の土地勘や知識、人脈形成をさせようと考えていた。

今日も仕事の最中、三条神流は小岩剣に連絡を入れる。すると、小岩剣はぶっきらぼうに出たので、三条神流はあっけにとられてしまった。


大慌てで小岩剣は詫びる。

「何かあったんだな。」

と、三条神流は言った後、「分かってるよ」と言った。

察したのだ。

北関東ロジスティクスの内定受託のため、東京のタクシー会社の内定辞退をしたら引き止められたのだと。そこへ、三条神流が連絡したため、反射的にぶっきらぼうな態度を取ったのだろうと。

「明日は暇か?」

と、三条神流が聞く。

「ええ。暇ですよ。」

最も、予定という物も無い。

「来るか?群馬。」

「はい。」

と、小岩剣は二言返事で応じた。

「倉賀野貨物ターミナルに集合な。泊まりの用意もしとけよ。」

と、三条神流は言った。


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