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三条神流の過去 2

松田彩香に言われた通り、待ち合わせ場所へBRZを転がして行く三条神流。

合流して、GR86と走るが、今日もどうやらラブホへ直通運転だ。

笠懸の両毛線の線路沿いのラブホの部屋に入って真っ先に言われたのは、

「同棲とか、ルームシェアとかしない?」

と言う事だった。

「ラブホ代だって馬鹿にならないじゃん?休みの度に、ラブホで同衾してるんだし、風呂だって小さい時からずっと一緒に入ってんだし。」

三条神流はそれに、警戒感を持った。

(あいつも、長野の美穂がそんなことを言った後、何をした。)

と。

「分かってるよ。美穂さんが、このセリフを言って、その通りに動き始めたカンナは、美穂さんが目の前で浮気し、挙句、「エアガン持っている人殺し」って、浮気相手と自分を棚に上げ、「鉄道オタクは知的障害者。一緒にいたく無い。おまけにエアガン持っている人殺し。どっか行け。」って言って、カンナはその後、欝になって、アルピコ辞めて、群馬に逃げ帰ってきたって。」

「―。」

「あいつこそ、知的障害者だよ死ねばいい。アタシからカンナ盗んで、アタシのカンナを滅茶苦茶にして、死んじまえばいい。」

三条神流は黙りを決めている。

「って言うか、年上好きなら、アタシだってカンナより年上。」

「アヤは12月生まれ、俺は翌年2月生まれ。微妙だけどな。」

一緒に、シャワーをいつものように浴びて、いつものように、肌着姿で一緒にベッドに入るが、「同棲・ルームシェア・結婚」と言った今後の事が頭を過ぎってしまい、どうするか解らなくなった。

(俺としては、アヤとはこうしていたい。だけど、今の関係から一歩でも前に進んだら、また、美穂のように―。)

三条神流はかつて、自分に、松田彩香が言った事と同じことを言っておいて、浮気して逆ギレした、長野の元カノの事を思い出した。

(どうすればいい。今は、黙りを決めてやり過ごすか?それとも、「イエス」と言うべきか?)

松田彩香は、自分の左右の胸と下着の合間から、1枚ずつ、札を出した。


しのぶ毛の国二子塚

中山道しのぶ安中杉並木


暗号である。

三条神流はこの暗号の意味をすぐに理解した。

上毛かるたの中で2枚だけ「しのぶ」と言う単語が入った札である。

((貴方を偲ぶ。忍ぶ我が恋心。)って言いたいのか。)

と、三条神流は思った。

「どうする?」

三条神流の耳元で囁くように言って、三条神流を誘惑するようなことを、松田彩香はしない。

「いつまでも、過去は引き摺っていられねえし、いずれは、そうなるからな。まあ、同棲は妥当かもな。」

と、三条神流は言う。

「そう。」

と、言った松田彩香に、三条神流は札を2枚差し出した。


ちから合わせる200万(2024年からは190万)

雷と空風義理人情


「一緒に力を合わせ、雷と空っ風と共に生きていこう。」


と言う意味の暗号だ。

「ふーん。」

と、松田彩香は言う。

「つまり、一緒に群馬で生きていきたいって事ね。」

三条神流はそっぽを向いて肯いた。

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