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恋する死神  作者: 赤い翼をすべる者
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白く輝く悩み事

入り口らしき場所から明確に住む世界が分けられている感じがする。

いつもなら景色の内の一部が今は、僕の視界の全体に力強く存在している。

建物との距離が更に近づき1個1個の

レンガによって建てられていることを理解した。

規則的に積み上げられているだけの単純な建造物。

だがよく見るとレンガごとに少しずつ色が違った。

人間はこのような外壁だけでも美しいと表現するのだろう。



階段を上る2種類の足音が反響している。

しばらく上っていると、たまにすれ違う人が増え出した。

彼女が礼をするので僕も真似し礼をする。

彼女はこの建物の中でよく知られた存在なんだろう。

主婦であろう人間の視線を感じる。

変わった問題があったが特に支障は無い。

「この階に部屋があります」

「なぜこんな高所に部屋を借りた」

「この階より下の階に私が引っ越して来た頃には空き部屋が無かったので」

気の毒な理由だ。人間も早い者勝ちが好きなのか。

「でも、お陰でこの階貸し切り状態ですよ!!」

それは、素晴らしいことなのか?近所がいなくて寂しくはないんだろうか。

「着きました。ここです」

部屋の番号は260、ここは確か13階。

ということは1階につき20室ということになる。



「お待たせしました、早く中で手当てしましょう」

案内されるままに脱いだことの無い靴を脱ぎ、揃えた。

「救急箱、持ってくるんでリビングで待ってて下さい」

部屋の中にある全ての物の配置が揃いすぎている気がする。

これを全て彼女が、と思うと中々の才能だ。

「準備出来たんで、手を見せて下さい」

いつ見ても、これは痛々しいな。

「これは、綺麗にグサッといってますねぇ」

「これが、綺麗だと……」

「例えですよ、例え」

笑った、この女正気か。

「すごく痛いでしょうけど、これ抜きますね」

おい、マジかよ。ちょっと、待て。まだ覚悟が……

「いっ………!」

勢いに躊躇が感じられない!!こいつ、思い切り抜きやがったぞ。

「止血剤、止血剤っと」

「て、手際がいいんだな」

「これでも小中と保健委員だったので」

なるほど、それで躊躇なしか。中々のものだな。

「この大怪我、どれくらい包帯必要なんだろ」

「傷口隠れればいいんじゃないか?」

「あまり緩くしすぎると血が出たときに困りますよ」

「なるほどな」

彼女は、上手なことについては文句が無い。

「私の手当てじゃ心許ないのでちゃんと病院に行って下さいね」

僕は病院に行けないのではないか?さて、どうしたことか。

なるべく死神であったことは話したくない。

だがこのまま留まると怪しまれるか。

僕は何を考えてしまっているのだろうか、僕は、だいぶ考え方が変わったらしい。

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