赤褐色の出会い
パリンという音が響き欠片と土と植物とが周りに散らばる。
周囲の人々は悲鳴を上げ屈む人や写真を撮る人など様々だった。
さて、あたった人間は死んで、ない?!
「頭上で砕けたぁ?」
俺たちは空から全てを見ていた。
植木鉢はアイツの、零の頭上辺りで砕けてらぁ。
「ちょっと、待って!死神の感が外れたっていうの?」
死神が目の前にいる生き物が生きれる筈がない!!あり得ない!
「どうなってるの?」
死神は確実な死を予言する神様なのに、どうして。
「まさかとは思うがぁ、守ったんじゃねぇだろうな?」
始めてみた、死神が目の前にいて生きている人間の姿。
尻餅ついて僕を見ていた。見えていた。
頭の上がいつもより重い、土だろうか、払うために右手を動かした瞬間だった。
掌に普段感じることのない痛みが走る。
見ると赤褐色の破片が刺さり赤色の液体が垂れていた。
「お兄さん、手が……」
目の前の女子高生が僕の手を見て静かにそんな声を出した。
急ぎの用事を思い出したかのように慌てて立ち上がった。
「手当てするので、私についてきてください」
その言葉を聞き僕は控えめに頷いた。
そして、早足の人間を見失わないよう近めに走った。
「ちょ!!アルク、零が!!」
私は、少し大袈裟なボリュームで口にした。
「ついて行ってねぇか?しかも女に零が見えてやがるなぁ」
案外、予想が合ってたりすんのかぁ?
「見えなくなるよ」
消え行く零君の背を指差した。助けに行こうとした時アルクが手首を掴んだ。
「何、離して」
「アイツはもう死神とは言えねぇ」
空気が重くなる。目の色が変わる。
「何が言いたいの?」
「ユーリエ、それ訊く?」
その後の会話が私たちを変えてしまった。
かれこれ2、3分は走り続けている。飛べることの便利さを痛感した。
ふと、前を走る彼女からタオルが差し出された。
「嫌じゃなければ、使って下さい」
断る理由が存在しないため、僕はタオルを受け取った。
タオルは傷口を覆うや否や赤く染まった、僕はその光景に恐怖した。
「タオル、感謝する」
僕は小さく呟いた。
「あと少しですから、我慢して下さい」
彼女は息を上げながら、そう答えた。
自分の目線より高い場所に建物の最上階がある。始めての体験だった。
建物と建物との間を吹き抜ける強い風に時折吹き飛ばされそうになりながら
走り続ける。
今、僕はどんな存在なのだろう不思議とそんなことを考えてしまった。
飛ぶことが出来ない、この事から否定したいが死神では無いのだろう。
仲間たちはどうしているだろうか。
「着きました。また少し階段上るので頑張って」
赤褐色の建物が見下ろしていた。