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ドラゴンアヴェンジャー  作者: PIAS
第1章 獣人の少女
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第45話 ドナ 3


 エイジに戦い方を教わっていく内に、実際にそれを試してみようという話になった。

 ゴブリンを狩りにいくつもりらしい。

 私も自分がどれくらい戦えるようになったのか気になっていたので、丁度良い機会だと思った。


 私が住んでた村にも妖魔のゴブリンは住んでたけど、魔物のゴブリンと戦うのは初めての経験。

 最初は戸惑っちゃったけど、すぐに見た目が似ているだけで妖魔のゴブリンとは別だというのが分かった。


 エイジは自分の相手のゴブリンを倒さないまま引き付けてたみたいで、結局私が3体とも戦うことになった。

 けどそのおかげで少しは戦い方に慣れた気がする。


 ゴブリンを倒した後に、エイジは妖魔を見たことが無いっていう話を聞いた。

 エイジはいろいろと謎が多いけど、よっぽど人が住んでいない場所で暮らしてたのかな?


 その後もゴブリン狩りは続けたけど、最後にすごいたくさんのゴブリンと戦うことになった。

 最初はしんぱいだったけど、エイジの魔術はすごかった。

 新しく覚えたという魔術を次々とゴブリンに撃っていく。

 私もいっぱいがんばった!


 獣人は人族よりは運動が得意だけど、これもエイジとやってた訓練やタイシキ鍛錬のおかげだと思う。

 ゴブリンの集団を倒したあとは、拠点に帰ることになったんだけど、その途中で今度はスケルトンを発見した。


 最初に見つけた変なスケルトンは普通に倒したんだけど、近くには別のスケルトンもいた。

 どうやら近くにスケルトンの巣が出来てるみたい。

 その時はゴブリン狩りから帰ってる途中だったからか、一旦拠点に帰ることになった。

 拠点に帰ってから分かったんだけど、どうもエイジは新しい魔術を思いついたみたい。

 しばらくエイジはその練習をしていた。


 私はというと、ゴブリンと戦った時の反省とかをしながら訓練をしたり、土をこねこねして過ごしていた。

 それと最近は土だけじゃなくて、木を削ったりして何か作るのも始めてる。

 刃物は危険だから、毎回使う時にエイジからナイフを借りていた。


 エイジはごはんを食べる時に、2本の小さな棒を使って器用に食べる。

 私もあれと同じ奴を作ってみたかった。

 いきなり木のお茶碗とか作るよりは簡単だと思う。


 ……完成したのはちょっとでこぼこしてて見た目が良くなかったけど、これでエイジとお揃いだ。

 それは嬉しかったんだけど、『ハシ』というこの道具は使うのが難しい。

 慣れるには時間がかかりそう。




 私がハシを作った次の日。

 スケルトンのいる魔物の巣に行くことになった。

 洞窟の入り口にも結構スケルトンはいたけど、中にはもっとたくさんスケルトンの気配がある。

 とりあえずはエイジと一緒に、入口にいたスケルトンをやっつけることになった。


「終わったか」


「うん。でも、まだ中にいっぱいいる」


「そっか。なら油断しないでいこう。だがまずはドロップの回収だ」


 ゴブリンの時もそうだったけど、エイジは魔石の回収を忘れない。

 魔石が売れるってのは知ってるけど、エイジも売るために集めてるのかな?

 そのわりには妖魔のことを知らなかったり、言葉も最初喋れなかったけど……。


 洞窟内の通路は結構長く、少しずつ下ってるみたいだった。

 そしてその先にはすっごく広い空間があって、そこには数えきれないほどのスケルトンがいた。


 たくさん敵がいたら逃げろって教えられてるけど、影治はあんなたくさんのスケルトン相手に戦う気みたい。

 なんか入口近くにスケルトンが嫌いなお水を撒いている。


 このお水は確かに戦ってみるとその大事さに気付く。

 スケルトンが近寄ってこないから、あれだけたくさんいるのに囲まれずに戦えるのだ。

 でもそれも時間が経つにつれて効果が弱くなってるみたいで、段々つらい場面が増えてくる。


 くやしいけどエイジに言われたように、途中から通路の方に逃げながら戦うことにした。

 スケルトンに1発攻撃してから走って逃げて……というのを繰り返す。

 でも少し逃げるタイミングを間違えたかもしれない。

 私は荒い息を抑えることもできず、かなり疲れていた。


「ふっ!」


 そんな時だった。

 体中が疲れていて、力が入っているかいないかも分からないようなパンチを打った時、いつもと違う手応えを感じた。

 その一撃は、スケルトンの胸の部分にあった魔石を見事打ち抜いている。


 この時私は、エイジが言ってた脱力というのがどんなものかようやく分かった気がした。

 さっきの感覚を思い出しながら、私は最後の力を振り絞って、追ってきていた残りのスケルトンをどうにか倒す。


「おおおおい、ドナああああ! だいじょうぶかあああ!?」


 流石に動けなくなって、その場で休んでいた私の耳に、エイジの大きな声が聞こえてくる。

 よかった、無事みたいだ。

 あれから大分時間経ったし、もしかして全部倒しちゃったのかな?

 それとも、私と同じように逃げてる最中なのかも?

 どっちにしろ、私も大きな声で影治にこたえる。


「だあああいじょおおおおぶううう!!」


 エイジはどうやらあのスケルトンの群れを全部倒してきたみたい。

 でもそれより私は、脱力を使ったパンチが成功したことを一生懸命報告する。

 エイジは私が嬉しそうに報告しているのを、同じように嬉しそうに聞いていた。


 それから私達は、広い空間に戻ってスケルトンのドロップを集めていく。

 広いし明かりが届かない場所があって大変だったけど、エイジは赤いナイフを手に入れてご機嫌だ。

 最後に空間の奥の方にあった、骨で出来た気持ち悪いかたまりを影治が魔術で壊した。


 私も壊す前の状態のを見るのは初めてだったけど、多分これが魔物が出て来る原因だと思う。

 エイジは何故か平気そうだったけど、私はあれを見てるだけで嫌な感覚が止まらなかった。

 あれはよくないものだ。


 骨のかたまりを壊した後は洞窟を出て、早速脱力をエイジに見せてみた。

 まだエイジ程は上手く出来ないけど、それでもこの感じでいいみたい。

 でも脱力だけじゃなくて、今度はじゅーりょくというのも使うといいと言ってた。

 シノミヤリューは本当に難しい。


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