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ドラゴンアヴェンジャー  作者: PIAS
序章 誓い
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第1話 始まりのドラゴン※


 暮らす人のいなくなった無人の街。

 かつての繁栄は見る影もなく、アスファルトの道路を突き破ってそこかしこから生命力の強い雑草が生えている。

 建物(高層ビル)は形だけ残っているものは多いが、窓ガラスが割れている箇所も多くかつての繁栄はそこには見られない。

 そうした光景が街全体に広がっていた。


「は……ハハハハハハッ!」


 そんな崩壊した街中に一人、老人の笑い声が響く。

 見た目からして五十を超えていると思われるその男。

 鋭い目つきのその男から老いは全く窺えず、正面を睨みつけていた。


 身なりはかなり酷い状況であり、ボロボロになった衣服を身に着けている。

 そして異色なのはその腰。

 そこには日本刀の鞘が()かれており、その中身は既に抜き去った状態で正眼(せいがん)に構えている。


 現代日本でそのような男がいたら、即座に通報されるであろう。

 しかしここにはそのような無粋なことをする者はいない。

 老人の前に立ちはだかるのは、一頭のドラゴンのみだった。


「GRRRRR!」


 軽く十メートル以上ある巨大な体は、ただ呼吸をするだけで恐ろしい唸り声と化す。


「まさかこんな奴がいるとはな。いいだろう、死力を尽くして挑もうじゃないか」


 老人が手にするは一振りの刀のみ。

 対するは二十メートル近い体躯を持つ、伝説上の最強生物。

 しかし老人の顔に怯えや絶望などは一切なかった。


 ただひたすら相手をどう殺すか。

 それだけに集中し、呼吸を整える。

 刹那ッ――


 ゴオオオォォッという音と共に、ドラゴンが炎のブレスを吐く。

 しかし老人はそれを読み切っていたと言わんばかりに、ブレスが来る前から回避行動に移っていた。


 それも後ろに下がったり横に躱したのではない。

 なんと老人はブレスの範囲を極力ギリギリで躱すような間合いで、斜め前へと走りだしていたのだ。


 巨大な体を持つドラゴンからすると、吐いているブレスのせいもあって死角となり得る位置。

 しかしながら、不意を突いていたはずの老人は敢えて腰に帯びていた鞘を外し、それをブレスを吐き終えていたドラゴンの下顎付近へと投げつける。


「GRR……」


 鞘を投げるタイミング、角度、投げる位置。

 それらが全て重なり合い、自然な反射でドラゴンは鞘が飛んできた方へと頭を向ける。

 そう、下の方へと。


「ハッ!」


 そのタイミングを逃さず、自分の目の高さにまで落ちたドラゴンの口回りにある小さな凹凸へと片足で飛び移る老人。

 そこから更にひょいひょいっと身軽にドラゴンの鼻頭まで跳躍していくと、最後にドラゴンの右眼目掛けてひた走る。


「GAAAAA!」


 ドラゴンも老人の狙いが分かったのだろう。

 鳥と同じように瞼が下から閉じる動きを見せる。

 しかし老人はそのまま眼球に迫るかと思いきや、最後の最後で僅かに足の向きを変えた。

 その向かう先は両目の間を少し抜けた先にある額部分。


 そこに大きく一振り。


 振り終えるや否や、十字を切るようにもう一振り。


 老人の手にしていた日本刀はそれなりの業物であったが、決して伝説の武器などではなかった。

 本来であれば、硬いドラゴンの皮膚どころか鱗さえ切れるものではない。

 しかし老人の剣先は、見事に硬いドラゴンの皮膚まで切り裂いていた。


「はっ、わはははははッ! どうだ! 切り裂いてやったぞ!! 覚えておけ。俺の名は――」


 果たして老人の声がドラゴンに届いたのかどうか。

 それはきっとドラゴンにしか分からないことだろう。

 ただ老人の渾身の一撃が、このドラゴンにとって初めてのダメージであったことは確かだった。


 何故老人がドラゴンと対峙しているのか。

 それを語るには、今から三十年以上前へと話が遡る。


余りイメージ通りにならなかったけど、対決シーンのイメージ


挿絵(By みてみん)

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