事件があった
そもそもメイちゃんが大公家に来たのはなぜか?なのでした。
設定の変更
選択君主制を選挙君主制に変更新した。
ご了承くださいませ。
王都レダリアドは、
嘗てその地域に存在した【レダ国】【リアド国】の国名を合わせたものだ。
この王国の成り立ちは小国の連合体だ。
その由来は、現行の制度や法律にも多くの影響が残っている。
◇
ローゼッタ侯爵家は治めていた土地の名を残す家だった。
その昔は船乗りたちにヒナギクの半島と名付けられた統治者だったが、
今は法律家として絶対聖域を確立する為に、建国を期に領地を王国へ返上している。
理屈としては領地の運営で発生する、国内や諸外国への忖度の軽減や回避を狙ったかららしい。
しかし実際は半島を支配していたので、戦乱に巻き込まれる事が多かったからだ。
王国は返上された極上の土地に見合う特権を与えた。
◇
事の始まりはローゼッタ家の書斎で父と兄に
フェルトベルク大公家への内偵を依頼された時だ。
父は王国の顧問であり、年の離れた兄は司法省の次官補佐についている。
代々ローゼッタ家当主の務める【王国の顧問】とは、
この王国は選挙君主制で複数の王家が存在する事に起因する。
連合体の母体となった小国の統治者達が王位継承者となったからだ。
だから【王国】と【当時の王家】の裁判もある。
もし裁判で王国の敗訴になっても責を負うのは当事者の王家で、罷免されるのもその家だ。
「それって特権なのかしら?」
メイは甚だ疑問だった。
「メイの特許会社は特権だろ?」
「私はアイディアだけです。」
メイはまだ法律家ではないし未成年なので、現時点ではアイディア提供者である。
起業したのはとある貴族(転生者)になっている。
「それでさ、先刻も言ったけど大公家から招待を受けてるんだ。」
メイのペースに巻き込まれないのは流石に兄だ。
「本当に呪われてるの?」
メイは呪いに対抗できる術がない事を承知の兄が、メイに依頼するなら、
呪いではないのだろう。
「呪われてるんじゃあないかと、思い込んでる人はいるけどね。
きっと呪いじゃないよ」
前世なら(笑)がついてそうな、兄の珍しい態度だ。
「そもそも、あのフェルトベルクだよ。
なんなら僕と父さんの世代で聞いてもフェルトベルクを知っている
人間ならこう言うね。」
「「あのフェルトベルクだよ」」
楽しそうに父と兄は声を揃えて言った。
◇
「分かりやすい方のフェルトベルク家
分かり難い方のコルティナ家だって。」
「ザンネンな一家ってことですか?」
ツッコむトーマに『あら、わかってるじゃない』と、小首を傾げてメイが言う。
先代の大公が存命中の時代や、コルティナ家の令嬢子息達の存在を知った
王都の社交界で、両家の強烈な個性は話題の中心だ。
共通しているのは、華やかにして神秘的。
片や若くして広大な地の領主となった大公家
片や神話の時代から続く英雄の系譜
黙っていればミステリアスな一家だ。
「トーマ君家はともかく、
大公家はお金が欲しくて脱税なんかしないよだって。」
「ウチもやりませんよ」
『どっちもお金はあるもんねー』と、メイ。
事の始まりは王国の法律顧問のローゼッタ侯爵に
『フェルトベルク大公領の脱税』のタレコミがあったのだ。
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