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3 リエラ王国

やっとヤンデレ兄様登場

この世界は、大まかに分けて、4つの大きな大陸がある。

そしてそれぞれの大陸を支配しているそれぞれの大国がある。

大陸の周りには、幾つかの島があり、そこにも小さな国はあるけれど、この世界を主に支配し、動かしているのは、北、南、東、西に位置する四つの国だ。


北は、ノースランド。

東は、陽「ヨウ」。

西は、ジェードル。

そして南に位置している大陸の国が、このリエラ。


リエラ王国は、一年を通して温暖な気候に恵まれ、国民の多くが高い魔力を持つ魔法大国。

百年ほど前に、先代の王(セイ兄様とカイのお爺ちゃま)が、余剰魔力をエネルギーとして貯めておける装置を開発。

魔力をインフラとして整備することに成功した。

それに伴い、魔力を動力源とする便利な道具、魔道具が多数開発され、国中の生活は一変。

蛇口を捻るとどこでも水とお湯が出る。これによりみんながお風呂に入れる。

トイレの汚物もすぐ浄化され、衛生状況が格段に上がり、不衛生による病気はほとんどなくなった。

また、離れた場所でも連絡が取れる小さな通信機も開発され、遠くの領地の状況もすぐに把握できる。

諸外国との交易も積極的に行い、色々な文化を取り込んで、柔軟な発達を遂げている。


王族の他には、等しく民は平等であり、王を支え、政治の中心を担うのは、国民から選ばれたものたちだ。

各地の領地もそれぞれ選ばれた優秀なものが行い、誰もが努力すれば政治に携われる機会がある。

最終的な大きな国の采配は、王が行い、各地で何かのトラブルがあれば、積極的に関わっていく。

王族は、この国を1000年も前に建国したリエラ一族の末裔だ。

彼らは、元々は竜の血を引いた竜神とも言われ、代々この国一番の高い魔力を持つ男児が生まれる。

そしてその男児が高い魔力を示して王となり、国を治める。

国民が、王に反旗を翻さない大きな理由がその高い魔力だ。

今は表立った戦争などは無いものの、昔あった他の大陸との戦争。それに定期的に現れる強力なモンスター。

国の危機に、何かあれば1番に先頭に立って、指揮を執りながら戦うのが王。高みの見物では決してない。

そして王の血を引く王族たちは、王都を大きな結界で守り、サポートをする。

ずっとそうやってリエラを守ってきたからこそ、王族は国民から確かな信頼を得続けている。

王国は、王国兵団、王国魔導士団に分かれ、その二つのトップはどちらも王。

魔力の高さ、天才的な戦闘の才能を持つ歴代の優秀な王により、今日のリエラの平和があるのだ。




「…と言うのが先週の復習でしたが、聞いていますか?アリス様?アリス様?」

「僕の可愛いアリス。朝食ぶりだね。アリス?具合でも悪いの?大丈夫?」

家庭教師の先生の横から、部屋の前を通りがかったセイ兄様が顔を出し、私の頬を撫でる。


「セイ兄様!」

いきなりセイ兄様のこの国一と言われる美形顔が目の前に現れて、思わずビクッとなる。

今日も青い透き通るような王妃様譲りの、肩までのまっすぐな青い髪と銀の睫毛に縁取られたゴールドの目。

女の子顔負けの白い肌に、長い手足。

身長は高いのに威圧感がないのは、少し垂れ目な優しい顔立ちだから。

セイ兄様に三秒見つめられると、女の子はみんな恋に落ちてしまうと噂されているけれど、納得できる。

もちろん弟のカイもかなりの美形で、金色が混ざったような栗色の短髪に、セイ兄様と同じゴールドの目。

男らしいキリッとした顔立ちで、身長は変わらないくらいだけど、セイ兄様よりガッチリした躰つき。

カイは、とっても王様譲りの男らしい外見。

カイもかなり人気があるようだけど、私はセイ兄様の顔の方がタイプなんだよねー。

ちなみに二人のゴールドの目は、竜族の血を引いている王族の証。


って、ダメダメ。授業中にボケッとしてて、完全に聞いていなかったわ。

隣の席で一緒に授業を聞いていたカイも、心配そうに顔を覗く。

「ごめんなさい、ちょっと昨日夜更かししちゃって。」

「可愛いアリスは怖がりだから、オバケでも想像して寝付けなかった?」

セイ兄様が頭を撫でながら、可愛らしい理由を述べてくれるが、そうではない。

「あ、アリス。もしかして、昨日言ってた本の続き読んでたのか?ヤンデレがどーのって、うっ!」

私は思いっきりカイの足を机の下で踏んづけて、目配せした。

痛さに悶絶しているカイは、何かを感じとり、お口をチャックする。

セイ兄様には絶対にあの本のタイトル及び内容を知られてはいけない。私の本能が言っている。

「アリス?」

怪訝な顔をしたセイ兄様に、にっこり笑って

「なんでもないんです。ちょっと考え事をしていただけなんですよ。」と誤魔化す。

ちなみに私の笑顔は、かなりの破壊力があるらしく、大抵の事は笑顔で誤魔化すことができる。

「なら良いけど。疲れているなら無理せずに部屋で休んでね。勉強なんてしなくても、アリスは生きて存在しているだけで価値があるんだから。じゃあ僕は仕事に行くね。」

そう言ってセイ兄様は、私の頭のてっぺんにチュッと音を立ててキスをして、執務室に向かった。

うーん、今日もシスコン絶好調。

生きて存在しているだけで価値があるって、重要天然記念生物かなんかなのか、私は。

しかしそんなセイ兄様に慣れている自分も怖い。


私とカイは、同じ年のため、座学は同じ授業を同じ先生から受けている。

セイ兄様は天才なので、学校に通っている時も授業で習う内容は全て履修済。

在学中から独自で魔法の研究をしていた。

今も魔法の研究や剣の稽古などはしているみたいだけど、大抵宰相の補佐で執務をしている。

朝食後は、だいたい別行動となる。

まあ時間が空いたら、しょっちゅう顔を出してくれるけれど。

というか!


危なかった。セーフ!

昨日あれからあの本の続きを読んで、酷いシスコンとヤンデレの違いはなんなのかを延々と考えていたら、

寝れなくなったなんて知られる訳にはいかない。

それにしてもセイ兄様は、本当にヤンデレじゃないのかしら?

まあ、ヤンデレと確定したところで、今までのセイ兄様の行動に驚きはすれ、困ることはなかったのだけど。


「アリス様、授業の続きをしても?」

顔を上げると困惑した先生の顔。

はっ、また授業忘れてた。

「すみません、続きをお願いします!」


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