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2-2 友達

アリス→アンナ

ハヤテ→ケイ

偽名ややこしい。

朝食を食べ終え、部屋に戻る為、ハヤテと再び渡り廊下を歩く。

渡り廊下の周りには、寮の中庭の木々が生い茂り、朝の空気と混じってとても爽やかだ。

屋根もついており、雨の時でも濡れずに移動することができる。

先程の食堂もとても広々として、机と椅子も、部屋と同じ木目調の落ち着いた雰囲気だった。

ソファーがあるカフェスペースもあり、友達と休憩したりくつろげそうだ。

さすが国が作っただけあって、適度にお金をかけて、過ごしやすくしてある。

そんなことを思いながら歩いていると、ふいに声をかけられる。


「あのーもしかして昨日入寮された方ですか?」


後ろを振り返ると、茶色の髪をポニーテールにまとめた背の高い女の子と、同じく茶色の長い髪を一つにゆるくまとめた優しそうな雰囲気の男の子が立っていた。


「はい、そうですが。あの……」

「あ、すみません、私はリナ・ノッツェと申します。こっちは兄のノエル・ノッツェです。私たちも先週入寮したんです。」

リナはハキハキと元気が良く、青い目がキラキラ輝いている。

その横のノエルは、リナを優しく見守る兄という感じだ。

ほんとだ、よく見ると似ている。


「そうでしたか。私はアンナ・モリィ。こっちは弟のケイです。これからよろしくお願いします。」

「こちらこそ。私たちと同じく、兄妹で学校に通われるなんて、ご縁を感じます。先程も食堂で仲良くされているのを見て、声を掛けさせて頂いたんです。」

あれは仲良くしていたのかしら?

疑問になったが、まあ仲の良い姉弟に見えていたならいいか。

「あの、アンナと呼んでも良いですか?良ければ私のこともリナと呼んで下さい。」

「もちろん!お友達が出来て嬉しいです。」


そうして、私達は寮まで話しながら歩く。

リナは同じ15歳で、ノエルは一つ上の16歳だった。

聞けば、二人ともサイラの魔道師団で両親が働いており、二人も将来は魔道師を目指しているらしい。

両親の勧めで、学校の試験を受けたところ、二人とも無事合格。

先週入寮したものの、まだ友達などはいなく、他の生徒に話しかける機会を伺っていたらしい。

早々に友達が出来るのは私も嬉しいし、心強い。

幸先いい感じじゃない。


「にしても、アンナってかなりの美少女よねえ。メガネを外したらもっと可愛くなりそう。」

四人とも歳が近いことだし、砕けた口調で話そうとさっき決め、リナは気安く話してくれる。


ギクっ。思わず目が泳ぐ。

可愛いだけで、バレたりしないわよね?

ふっとハヤテを見ると

「そうなんだ。アンナ姉さんは昔から可愛いと評判だったんだよ。」

と評価を足してくる。なぜ?

「あらー、お姉さんが大好きな感じね。シスコンってやつ?」

ニヤニヤしながら、リナがつんつんとハヤテの腕をつつく。

「こんな可愛い姉さんを好きじゃないなんて可笑しい。シスコンなんて枠にはハマらない。姉さんは俺の全てを掛けて大好きだ!」

いきなり宣言するハヤテ。

ハヤテよ、なぜ無駄にシスコンを披露するの。

ほら、ノエルが苦笑してるわよ。

「あはは、ごめんね。ケイってば、両親が忙しくて、私といつも一緒にいたから、こんな感じになっちゃって。」

と、私は設定を披露する。

「そうなのね。うちも仲はいいほうだと思うけれど、二人には敵わないわね!」

そうでしょうとも。

なにせうちの弟(偽)は、変態ですから。ええ。


「アンナ達は制服を着ているけれど、学校へ行くの?」 

「今日は、教科書を取りに学校へ行く予定よ。ついでに校舎内を見学しようと思っているの。」

「そうなの?じゃあ私達も図書館に行ってみようと話していたんだけど、一緒に行きましょう。」

リナが腕を絡ませて、誘ってくれる。

「分かったわ。じゃあ、一時間後に寮の入り口で待ち合わせでいい?」

「大丈夫!ノエルもいい?」

後ろを振り返ってノエルに確認する。

ちなみにハヤテは、私の反対側の空いてる手を勝手に繋いでいる。

「良いよ。じゃあ女子寮の入り口に迎えに行くよ。ケイは?」

「俺は姉様の護衛も兼ねてるから、姉様の部屋に一緒に行く。」

ノエルは意外そうな顔で

「護衛?ケイが?」 

とハヤテを見る。

「あはは。ちょっと私の両親って過保護で……。ケイは護身術に長けてるから護衛も兼ねて、一緒に通うことになったの。」

苦笑いしながら設定を話す。

「確かにアンナくらい美少女なら、誘拐とかの心配もありそうだしね。変な男に絡まれたり困ったことがあれば言ってね。」

ノエルが優しく微笑む。

わあ、さすが妹がいるだけあって、面倒見がいいなあ。

会ったばかりの私の心配をしてくれるなんて。

「ありがとう。でも、姉さんは俺が全面的に守るから必要ないよ。」

ハヤテがノエルを威嚇するように睨む。

「もうケイ!せっかく親切に言ってくれたのに。ごめんね、ノエル。」

「いいよ。確かにケイが張り付いてたらなかなかアンナに近寄れないね。」


それなのよね。

はあとひそかにため息をこぼす。

なにせ私は三ヶ月っていう短い期間で初恋相手を探さないといけないんだから、ハヤテにこのままいつもの調子で邪魔されると大変困る。

そこのところ、もう一度部屋に戻ってちゃんと話合う必要があるわね!


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