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2-1 寮生活の始まり

お久しぶりです。第二章始めました!

よろしくお願いします。

「アリス様、起きて下さい。朝食の時間に遅れてしまいますよ。」


シーナの声が朧げに聞こえ、カーテンが開く音がすると、眩しい光が目に差し込む。

まだ眠い目を開けると、見慣れない天井の白い木目模様が目に入る。

「あれ、ここどこだっけ……」

ゴシゴシと目をこする。

「アリス様、ここは魔法学校の寮ですわ。昨日お着きになったでしょう?」

シーナがベッドの傍らで、お水を注いで渡してくれる。


ああ、そうだ。私は昨日、城のみんなと別れて、兄様の転移でここにやってきたんだった。


「顔を洗ったら、着替えて食堂に朝食を食べに行きませんと、朝食時間が終わってしまうと、食べ損ねてしまいます。」

そうか、食事は朝と夜は寮の食堂に行くんだったわ。

それに今日から部屋の外では変装して、名前や身分も偽装するんだった。


私は顔を洗うと、魔法で目を黒く変え、制服に着替える。

入学式は来週だけど、今日は教科書を取りに学園に行く必要があるのだ。

「アリス様、こちらへどうぞ。」

シーナが、アイボリーの可愛らしい備え付けのドレッサーの椅子を引いてくれる。

この部屋のテーマは、カントリーなのね。

家具も天井も壁も木目が多いわ。

派手さはないけれど、所々に小花柄のアクセントやレース模様があって、可愛い雰囲気だ。


私が座ると、シーナは例の黒いボブのウィッグを被せてくれる。

そしてよく街で見かける女の子達がつけている、流行りのビーズで作ったお花が付いている髪飾りを付けてくれた。

「眉毛とまつ毛もメイクで焦げ茶にして、髪の毛の色が浮かない用にしますね。」

シーナは慣れた手つきで、丁寧にメイクをしてくれ、数分後には私は完全に変身を終えていた。

カチャと最後に黒縁伊達メガネを掛ける。

「きゃーさすが姫様!とても可愛らしいですわ。ああ、目の色を変えて、印象は変わられましたが、溢れ出る美少女オーラは滲み出ていますわ!メガネ少女萌えって現実にあるんですのね。」

シーナは、鼻息荒く鏡の中の私を見つめる。

メガネ少女萌え……また変な単語を。

さては、新作の恋愛小説読んでいるわね。


しかし自分で言うのも何だけど、結構似合ってるんじゃない?何より別人になれたみたいで、楽しい!

仮装パーティーの時みたいだわ。

「ハヤテと姉弟に見えるかな?」

ちなみにハヤテのことは、シーナに情報解禁してある。

兄様にバレたことも含めて。

「そうですねえ。いくら髪や目が同じ色でも似てはいないですが、世の中似ていない姉弟なんて沢山いますし、まあ大丈夫じゃないでしょうか。」

「ちょっと並んでみようかな。どうせ一緒に食堂に行くんだし。……ハヤテ!」

シュタと即座にハヤテが姿を現す。

ハヤテもきちんと制服を着ていた。

こうして見ると、影っぽくはなく、普通の若者に見える。


「おはようございます、姫様!…………ああ、ああ、ああー!!」

ハヤテは私を見ると、頭を抱えて悶え始める。

また始まったのね、発作が……。

「か、可愛い、可愛いー!ありがとうございます、生まれてきてくれて、ありがとうございますー!」 

這いつくばって、大袈裟すぎる感謝の意を伝えてくるハヤテ。

ああ!思わず頭を抱える私。

こんな変態に育てちゃって、セイラン家の当主様に怒られたらどうしよう。

「もういいから、横に並んでよ!姉弟に見えるか確認したいから。いい?ここにいる間、ハヤテは私の弟よ?」

「ご、ご褒美すぎる!お姉様ー、好きでっす!」

そう言って抱きつくハヤテをシーナが、スパンと頭を叩き、横に並ばせる。

おお、シーナ、早速ハヤテを教育にかかってるわね。

備え付けのクローゼットに付いている全身鏡で見てみると、うーん、まあ似てない。

当たり前だけど。

ハヤテもカッコいい部類に入ると思うんだけど、一重で顎がシュッとしてるから、クールな顔立ちなのよね。

しかも身長も私より高い。

私は平均くらいの身長はあるけど、ハヤテは元々カイよりも高いんだよね。


「誤魔化せるか演技次第かしら?」

「そこは任せて、心の底からシスコンになれます!」

ハヤテが元気よく返事する。

ああ、またシスコンが増えた。

なんだか頭痛がして、ズキズキする頭を抑える。

「設定は覚えてる?」

「えーと、俺達は裕福な商人の子供で、俺は多少魔法が覚束ないけど、姉さんの護衛がわりに無理やり捻じ込んでもらったと。ほんとは俺、姫様と同じ年だけど、一個下の弟ね。」

「そうそう。名前も私はアンナで、ハヤテはケイよ。ファミリーネームは、モリィ。」

「アンナ姉様……。」

うっとりと偽名を呼び、再び私に抱きつくハヤテを、シーナが引き剥がし、パンパンと手を叩く。

「さあ、朝食に行かないと遅れますよ。」

「そうね、じゃあ行くわよ、ケイ。」

「はい、お姉様。どこまでもお供しますぅ!」


私達は連れ立って食堂に行く。

ちなみに男子寮と女子寮は、食堂を挟んで隣り合って建っており、渡り廊下で双方と繋がっている。

兄妹や護衛付きで通う生徒のために、割と行き来はしやすい。

それでも、渡り廊下には監視の寮の先生が交代で見張りをし、通る時には目的を尋ねられる。

ハヤテは着いたときに、護衛も兼ねているため、行き来が多くなると予め伝えてある。


渡り廊下を歩いていると、朝食のパンの良い匂いがする。

「寮の食事って美味しいのかしら?楽しみね。」

ハヤテに言うと

「ああー、美味いんじゃない?第一王子が、シェフ選び直してたから。」

セイ兄様が、何ですって?!

私は声を落として

「それってもしかしなくても、私が通うから?」

とヒソヒソ声でハヤテに聞く。

「それ以外ないでしょ。城の料理人に近い味を出せるシェフをサイラで探し出したらしいよ。」


ハヤテの情報通り、朝食は無駄に豪華な城の朝食とほとんど遜色なかった。

流石に豪華な食材は使われていないけど、種類は豊富で、

ビュッフェ形式になっていて、食べたいものを取って食べる。

夜会やガーデンパーティーで、ビュッフェ形式はもちろん馴染みだけど、サーブする使用人がいたから、自分で取ったことはないのよね。

ハヤテが取ってくれようとしたけど、流石にずっとやってもらうわけにもいかないから、自分で少しずつ取り分けて、席に着く。

うーん、これだけでもなんか楽しい!


「ハヤ……じゃない、ケイたくさん食べるのね?」

ハヤテのトレーの上のお皿は満杯だ。

「うん、朝はいっぱい食べないと、力がでないから。」

そういえば、ハヤテと朝ご飯を一緒に食べるのはこれが初めてかも。

新鮮だなあと思って、勢いよく食べるハヤテをニコニコと見つめていると、ハヤテがうっと胸を抑える。

「ど、どうしたの?詰まった?」

慌ててお水を差し出すと

「まさか姉さんの笑顔を見ながら朝食を食べれる日が来るなんて。幸せすぎて苦しい!」

ハヤテは、水を受け取って一気に飲み干す。

……バカ。

私は呆れて、もういいやと朝食を食べ進めたのだった。








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