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第4話 信用に値しない相手

「む、無理ですよ。バックレろなんて言われても…。大体貴方と私ではそもそも何の接点も無いわけですから何とか出来る筈ないじゃありませんか」


「そうか。まぁ…言われてみれば確かにそうだな。なら自分で何とかしろ」


「何とかしろって…どうすればいいんですか?」


「そんな事知るか。自分で考えてみろ」


「そ、そんな…酷い…」


なんて無責任な人なのだろう。再び目に涙が浮かぶ。


「あぁーっ!また、お前はそうやって泣くのかよっ?!その泣き虫なところに愛想を尽かされて婚約者に浮気されたんじゃないのか?」


「うぅぅ…そ、そういう貴方だって、そんなデリカシーのかけらも無い事を口にするからビクトリアさんに相手にされなかったんじゃないですかっ!」


「お、お前…言って良い事と悪い事の区別もつかないのかよ?」


トビーは余程ショックだったのだろうか?私の言葉で情けない顔をする。


「もういいです…。私、アルトから婚約破棄を告げられたら受け入れます…。だって貴方の話だと私は相当アルトに嫌われているって事なんですよね?婚約式の日を選んで婚約破棄宣言をするのですから。これ以上嫌われるくらいなら未練がましくすがりつかないで…ウゥッ。あ、あっさり受け入れれば…潔い人間として…グスッ。しゅ、周囲の私を見る目も…す、少しは同情…してくれますよね…?ウゥ…ウッウッ…」


「だーっ!泣くか、喋るかどちらかにしろ!」


「だったら泣きますッ!ウ…ウ、ウ…ワァァァアンッ!」


私は子供のように泣きじゃくった。


「何やってるんだ!今のは泣き止めって意味で言ったんだよっ!本当に泣く人間がどこにいるんだよっ?!泣き止まないと怒るぞっ!」


「な、何言ってるんですかっ!もう、怒ってるじゃないですかっ!」


涙でグシャグシャになりながら私はトビーに言い反した。しかし、トビーは私の言葉を無視するようにまくし立ててきた。


「いいか?俺は絶対にビクトリアを諦めるつもりはないんだ。その為にはお前の協力が必要だ。だからお前はなんとしても婚約破棄を食い止めなければいけない。お前の婚約者は本気で婚約破棄を告げるだろう。あの目はマジだ。同じ男として俺が言うんだから間違いない。だから、今回は婚約式をバックレて奴の気を削ぐんだ。その先の事はこれから一緒に考えよう。大丈夫だ、俺を信じろ」


「わ、私…貴方の事、まるきり信用出来ないんですけど…?」


疑い深い目でトビーを見る。


「ああ、それなら俺の事は別に信用しなくていい。どうせビクトリアと俺が恋人同士になるまでの短い同盟期間なんだから」


同盟?そんなもの結んだつもりもないし、結んだ記憶もない。私が黙っているのをいいことに、トビーは勝手に自分の考えを話している。


「とりあえず、今一番の課題はどうすれば婚約式をバックレるかなのだが、これは造作も無いことだ。急に腹痛が起こったとでも何とでも言って仮病を使って婚約式にでなければいいのだからな」


「そんな事したら…今日の為に準備してきてくれた人たちや出席者に迷惑をかけてしまうじゃありませんか」


「何言ってるんだっ!いいか?お前の婚約者のほうが余程迷惑かけることをしようとしているんだぞ?!仮病なんて可愛いもんだっ!」


近くにある木を右手で殴りつながらトビーは言った―。



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