第五話
「色々あったな〜」
怒った先輩を宥めるためにポーションを半額の値段で売りその後別れた俺は帰宅しすぐに制服のまま自室のベッドに寝転ぶ。
そして、マギアをポッケから取り出し香澄先生と白蝶先輩の連絡先が映っている画面を見ながらポツリと呟いた。
人生で最も密度の濃い時間を過ごしたと言っても過言ではないと思う。
魔物に幻影を見せられ、解除した後ヒロインを見てゲームの世界だと気づきパンツを見て気絶。
その後、美人教師と連絡先を交換し、生徒会長と遭遇。連絡先を交換して友人になった。
ここだけ見ればこれなんてエロゲという感想を抱かざるを得ない。
ていうか、初手でここまで関係が進むシナリオはほとんどはないだろう。
人生で一生の運を使ったと言っても過言ではないはずだ。
さてわ男なら誰しも夢見るハーレム系主人公みたいな体験をした俺だが、体験したところで満足しないのが前世バキバキ童貞の二十歳オタク。
オタクだった強みを生かし、ハーレムルートを進もうではないか。フハハハッ!!
………とか一瞬考えたが自分の職業が戦闘向きじゃない時点でハーレムルートは無理だ。
何だよ、アイテム効果全部無効て俺がどんだけ頑張って強いアイテムを作っても勝てねぇじゃん。
しかも、錬金術師はレベルが上がって上昇するの賢さと器用だけて、舐めてんのか。
アイテムで自分をドーピングしても初期の主人公にすら負けるわ。
ちなみに、みんなが気になっているだろう俺のステータスはこんな感じ。
金城 蓮
性別 男
職業 錬金術師
年齢 16
レベル 2
体力21
魔力79
力 3
耐久 1
敏捷 4
器用 45
賢さ 32
で、主人公龍本君のの初期ステータスはこちら。
龍本 勇
性別 男
職業 戦士(未覚醒状態)
年齢 16
レベル 1
体力100
魔力100
力 20
耐久 20
敏捷 20
器用 20
賢さ 20
ね。無理っしょ?俺ここから一生器用と賢さしか伸びないんだよ。
ドーピング薬(ステータス上昇ポーション)って三つが使用限界で、効果が一個のステータスを倍にする効果なんだけど一点特化しても体力、力、耐久、敏捷は主人公の初期値に届かないっていうゴミさ。
賢さと魔力を生かして後衛アタッカーの道があると思ったそこの貴方。
なんと、錬金術師は攻撃魔法も防御魔法も回復魔法も使えません!
使えるのは錬金魔法だけです。しかも魔力の消費が凄いです。手のひらサイズの石を作るのに大体魔力が30くらいいります。ちなみに鉄だとその倍で60くらいいります。某錬金術師みたいに手を地面につけてもあんな凄いことは出来ません。出来るのは石を二つ作るか、鉄の球を一個作るしかありません。
さて、いかに俺が貧弱!貧弱ー!なことが皆さんに分かって頂けただろう。
正直、力が20ある摩耶の攻撃を受けて生きていたことは奇跡だ。
明日からダンジョンでの実習が始まるため力が2は確実に上がるので次パンツを見たら俺は死ぬ。
というわけで、俺は今からすることは二つ。
遺書を書くことと、ダンジョンに護衛を手に入れに行くことだ。
何て簡単なんだ。
そんなわけで、今から遺書を書いてちょくら死地に赴こうと思います。
「とりあえず、ありきたりな文だがマギアのファイルは開けずに消去しておいてくださいと。後は、親孝行出来ずに申し訳ないパパン、ママン、じいじ、ばぁばぁ一足先にあの世で女の子とウハウハしてますと、後は何かあるか?遺産っていうか貯金は少しあるから葬式と墓石の足しにしてくださいとかか、他には葬式用の写真は中学卒業式に撮った元の顔が分からないくらい美化した………………………」
遺書の制作に時間は掛けていられないため、思いつく限りのことを俺はひたすら白紙に書き殴っていくのだった。
遺書を皆さんは書いてますか?僕は書いてます。三万字でネタしかありませんが。
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