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第四話

 

 「あの、このポーション私に売ってくれませんか?」


 白蝶先輩は俺が渡したポーションを飲んだ後、こちらを真っ直ぐに見つめそう提案してきた。


「売るのは構いませんがこれもうすぐ使えなくなりますよ?それでも良いなら普通のポーションと同じ価格でお譲りしますけど」


「定価でこれを売ってくれるんですか!?何と太っ腹なんでしょう!これを市場に流したら三倍の値段は確実にしますよ!」


 信じられないと言った顔でこちらを見てくる先輩。


「市場に流すなら確かにそれくらいの値段で売るんでしょうけど、業者を通したら定価分ちょうどくらいしか手元に入らないので大差ないですよ」


 ポーションの販売は信用が最も重要だ。

 そのためどんな高名な錬金術師だろうと市場に流す時は業者の品質チェックを通して販売している。

 品質チェックは決められたレシピ通りの物であれば依頼料はさほど取られないのだが、レシピ通りに作ったものではないとなるとその値段は跳ね上がる。

 そのため、この味付きポーションを市場に流しても俺の手元に入るお金は普通のポーションを売った時と然程変わらないので問題はない。

 まぁ、だから半数の錬金術師は市場に流すことはほぼせず自分の店でポーション市場と同じ価格で売っている。

 もちろん品質チェックを受けていないと不良品を出した瞬間、あそこの店は不良品を出すからと噂が流れすぐに店を畳むことになるので、店で売る人と市場に流す人の数は半々くらいだ。

 ちなみに俺は店を出すのが怖いから業者に半分流してもう半分は友人に流している。


「まぁ、後生徒会長がお得意様になってくれたら店を立ち上げる時、協力してもらえるかもっていう打算もあるので気を使う必要はありませんよ」


「バレてましたか、貴方の顔は入学式の時に見なかったのでバレないかもなんて思ってたんですけど」


「流石にそれは無理がありますよ。学校のパンフやポスターの表紙に先輩の写真が使われてますから」


「あの、不細工な顔の私を見たんですか!?ッツ〜〜〜!?お恥ずかしい!写真の時は緊張してて、あの私普段はいつもあんな仏教面じゃないですから」


 先輩は顔をほんのり赤く染めこちらに顔を近づけ弁明する先輩。

 しかも、余程誤解されたくないのだろう物凄い早口だ。


「分かってますって先輩が表情豊かで可愛い人だってことは、だから、その〜そんな可愛い顔を近づけられると胸がドキドキしてどうにかなりそうなんで離れてもらってもいいですか?」


「ほわあっ!?すいません。つい興奮しちゃって」


 先輩は自分がしでかしたことを悟った瞬間驚きの声を上げて目にも止まらぬ速度で離れた。

 ほわあって美人さんが言うと残念感があるけど、すげぇ可愛いな。ギャップ萌えだ。

 ゲームだと知れなかった先輩の新たな一面を知ってまた、一段と彼女のことが好きになった。

 もちろん恋愛的な意味だぞ。

 俺はゲームの中にモブで転生してヒロインと釣り合わないとか卑屈的にはならないからな。

 ヒロインの誰かと原作知識を活かして絶対付き合ってやる!


「あの、すいません私のせいで不快な思いをさせてしまって」


「いやぁ、むしろ役得でしたよ。先輩みたいな美人さんに近づかれて」


 胸も少し当たりましね。

 ナイスおっぱい!


「あぅ〜〜、君は意地悪です。私が恥ずかしがっているのを見て楽しんでますね」


「すいません、照れる先輩が可愛くって、つい。僕のできる限りのことをするので許してください」


「……もう。君はまたそうやって。分かりました。じゃあ君のお名前と連絡先ください。後、先輩後輩の関係じゃなくて友人になってくれたら許します」


 そう言って、先輩は頬を赤く染めたままマギアを取り出し口元を隠す。


(可愛すぎんだろ!ゲームだと神聖視されてて友人が殆ど出来ないから友達が欲しいって常に思っているのは設定で知ってたけど、主人公と友人関係になる時はこんな可愛い表情しなかったぞ!)


 あまりの可愛さに内心で悶える俺は顔を少し赤くしながらも、マギアを取り出し先輩に自分の名前を言った。


「金城 蓮 一年生 職業は錬金術師です」


「白蝶 上羽 二年生 職業は刀使いです。じゃあ、金城君これから友人としてよろしくお願いします」


「堅いですよ白蝶先輩。友人なんだからもっと気楽にいきましょう」


「は、…うんそうだね。じゃあ改めて金城くんよろしく」


「はい。よろしくお願いします白蝶先輩」


「何で君は敬語なの!?私がせっかく崩したのにズルい!」


「年上は敬わないとですから」


「ズルい!」


 こうして俺は入学初日にヒロインである摩耶のパンツを見て気絶したおかげで、香澄先生と白蝶先輩、ヒロイン二人の連絡先と可愛らしい友人を一人手に入れた。



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