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valley of curse
どれだけの時間が経っただろう。
いつもの感覚でいくと軽く4時間と言ったところだろうか。
ガタガタと馬車のようなものに乗せられて遠くまで来させられてしまった。
扉が開く。
まただ。またこの光。僕を不幸にする光。
この光を浴びて良かった日なんて1度もない。
嫌な思い出を思い出してしまった。
外に出る。
そこにはさっきのおうちのような綺麗な芝生や木なんてものはなくただの渓谷。
谷底は何も見えず、全てを飲み込む程に黒い。
果たして、僕をここに連れてきて何をするのだろうか。
そんなことを考えていると僕を抱えていた青髪の男が僕に一言告げて僕を投げ捨てた。
『お前は居なかった。何も無かった。』
刹那、僕の眼と男の目が会った。
その男の瞳は薄い青色だったが瞳孔の奥はブラックホールのように暗かった。
おそらく僕の父であろう男のその瞳を見た時、僕の中の何かが壊れた。
世界が瞳を閉じる。
物語が幕を開ける。
何色にも染まらない男の。
全てを塗りつぶす話を。
世界が光を取り戻す。
男の瞳に小さな紋様が浮かぶ。
僕は願う。
全てを変えてみせると。
僕は谷底の漆黒と混ざるように
世界を呪った。




