Re birth
暖かい。心地良い。ここは果たしてどこなのだろうか。
そうか、僕は死んで転生をしたのか。
ひとまず声を出してみる。
『〜!〜!』
声にならない。
だが、周りにいる人達が喜んでいるのは肌で感じる。
誰かに抱き抱えられ、暖かいお湯に浸かる。
(あ゛あ゛ぁぁぁぁ〜)
前世だったら間違いなくこんなおっさんのような声が出ていたはずだ。
気分よく思い出と共に湯に浸かっていたつかの間
また抱き抱えられ次はフワフワとした温もりに包まれる。
これはタオルだろうか。
質感的に恐らくある程度お金持ちの家なのだろう。
良かった。
安心して眼を開けてみる。
ーーーーーーーーー!
刹那、世界が眼を閉じる。
一瞬だった。
たった一瞬。
ほんの一瞬。
世界が暗転した。
世界中の皆が瞬きをした瞬間の出来事。
世界は光を取り戻す。
だがしかし、目の前の男の能力により
いつもより暗い世界であった。
僕は眼を開く。
眼と目が会う。
この人は僕の母親だろうか。
いや、看護師のような服を着ているし
母親ではないだろう。
特に何も考えず僕は目を見てしまった。
女神からあんなにも念押しをされていたのに。
(しまった!)
急いで力を制御する。
だが、そう思った時には遅かった。
何もかも、マズいと思った時には手遅れなものだ。
看護師が顔を引きつらせてその場で倒れる。
きっと僕に睨まれて祈ってしまったのだろう。謝ってしまったのだろう。圧倒的な力に。
『キャアアアアアアアアアアア!!』
汗まみれで美しい女性が悲鳴をあげる。
あの人が僕の母親だろうか。だといいな、と思ってしまった。
改めて周りを見渡すと周りの人々の力が分かる。
魔力の色が。
大体は魔力の色と毛の色が同色になっている感じか。
とてもカラフルで目が痛くなりそうだ。
灰色はおろか、やはり黒に近い色は見当たらない。
青い髪の男が僕を連れて行けと命令を下す。
僕はどこへ連れていかれるのだろうか。




