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天然女子高生のためのそーかつ  作者: 輪島ライ
第1部 天然女子高生のためのそーかつ
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第19話 アフィリエイト

 東京都千代田区にある私立マルクス高等学校は今時珍しい革新系の学校で、在学生にはリベラルアーツ精神と左派系の思想が叩き込まれている。



「マナちゃん、1部でいいからこのパンフレット買ってくれない? 300円なんだけど」

「何これ? ああ、うちの中高の学校案内だね。でもどうして校内で?」


 ある日の昼休み。私、野掘のぼり真奈まなは同じクラスの新聞部員である朝日あさひ千春ちはるさんからマルクス中高のパンフレットを買って欲しいと頼まれた。


「今年は私が責任編集で発行したんだけど、デジタル版を学校のサイトから無料で見られるようにしたせいで全然注文が来なくて。結構沢山発注しちゃったから、制作費用だけでも回収しないといけないの。記念品にどうかな?」

「私は全然いいけど、せっかく発注したんだし学外で配る方法を考えたら?」


 私がここでパンフレットを買うのは簡単だし1部ぐらいなら記念に欲しいけど、パンフレットは本来学校の宣伝のためのものだと思って私はそう言った。



「うーん、近くの中学校とか中学受験塾には割安で売るようにしてるんだけど、それでも生徒にはインターネットで見させますって言われちゃうんだよね」

「そうなんだ。じゃあ、お礼付きで宣伝するのはどう? アフィリエイトっていうらしいんだけど、例えば地元の飲食店とかにパンフレットを置いて貰って、1部売れるごとにお金を払うの。売れたら売れただけ儲かって、売れなかったら返品して貰えばいいだけだから、多分断られないと思う」

「なるほど! ありがとうマナちゃん、早速アフィリエイトを試してみるね」


 朝日さんは笑顔で言うとそのままパンフレットの束を持って教室を出ていき、私は彼女の仕事が無事に終わればいいなと思った。



 その翌日……


「梅畑君! ちょっと今いいかな?」

「あっ、朝日さん!? い、いいよ、俺はいつでもOKだよ」


 昨日と同じくパンフレットの束を持って昼休みの教室に入ってきた朝日さんは、机に突っ伏して爆睡していた梅畑うめはた伝治でんじ君に元気よく声をかけた。

 朝日さんに片思い中の梅畑君は完全にキョドりつつ返事をして、私は朝日さんが彼に何を言うのか注目した。



「この学校のパンフレットをなるべく多くの人に売りたいから、ちょっと協力してくれない? まず私から梅畑君に15部を1部200円で売るから、梅畑君はそれを1部250円で色んな人に売ってみて。売った相手には1部300円で転売してくれるよう頼めば、買った人が皆幸せになれるって訳」

「そうなの!? よく分からないけど、朝日さんの頼みなら喜んで引き受けるよ! ゲーム大会の賞金が入ったから30部買っちゃうね!!」

「ありがとう! 私、気前のいい男の人って大好き!!」


(これ、アフィリエイトって言うんだっけ……?)


 満面の笑みでお礼を言った朝日さんに梅畑君は嬉々として6000円を支払い、何かが完全に間違っている気がするが梅畑君が幸せならまあいいかと思った。



 (続く)

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