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天然女子高生のためのそーかつ  作者: 輪島ライ
第5部 天然女子高生のための真そーかつ
138/181

第121話 政治将校

 東京都千代田区にある私立マルクス高等学校は今時珍しい革新系の学校で、在学生にはリベラルアーツ精神と左派系の思想が叩き込まれている。



 マルクス高校では新学期からAI(人工知能)を搭載した学習支援ロボットが導入されることになり、予算の関係上当面は各学年の成績下位者10名にのみ支給されることになった。


「見て見てまなちゃん、このロボット私の後ろを付いてくるんだよ! 校内にいる時はいつでも勉強の相談に乗ってくれるんだよ!!」

「案の定貰ってたんですね……」


 休み時間の廊下で硬式テニス部所属の2年生である赤城(あかぎ)旗子(はたこ)先輩に遭遇すると、彼女はやはりと言うべきか円筒型の学習支援ロボを連れて歩いていた。


 私、野掘(のぼり)真奈(まな)が学習支援ロボを実際に見たのはこれが初めてだったので、この機会にどういうロボなのか聞いてみることにした。


「学習支援ロボって言いますけど、実際役に立つんですか? 見たところ大きめのロボット掃除機みたいな形ですけど」

「このロボは旧ソ連軍? にいた政治将校っていう役職を参考にしてるらしくて、学校の先生から独立した視点で勉強の相談に乗ってくれるんだよ。例えば、えーと……ねえねえトロツキー君、私ってどうして数学が苦手なのかな?」

『ソウデスネエ、赤城サンハ数学ダケデナク全教科ガ苦手ノヨウデスガ、ソノ理由ヲ一々考エテモ仕方ガアリマセンヨ。何モ得意デナイトイウコトハ伸ビシロシカナイトイウコトデモアリマスカラ、今ハトニカク勉強時間ヲ増ヤシマショウ』

「ほら、トロツキー君いいこと言うでしょ? これで私も優等生になれるよ!!」

「うーん、まあいいことは言ってますね……」


 政治将校ロボ「トロツキー君」が話した内容は若干自己啓発セミナー感があったが、これで先輩のやる気が向上するなら悪くはないのではと思った。


 しかしはたこ先輩の成績はそれから改善することはなく、高校は新たに改良型の学習支援ロボの導入を決定した。



「まなちゃんまなちゃん、スーパートロツキー君からどうにか逃げてきたから今からテニス部の練習にぐぎゃあああああああ」

『勉強カラ逃走シタ者ハ始末スルト言ッタハズダ! 罰トシテ計算問題100題ヲ今カラ解イテ貰ウゾ!! ホラ、()クセンカ!!』

「は、ははは……」


 政治将校ロボ「トロツキー君」を改良した督戦隊(とくせんたい)ロボ「スーパートロツキー君」ははたこ先輩に電撃を浴びせるとそのままロボットアームで自習室へと引きずっていき、私は飴と鞭にも程があるなあと思った。



 (続く)

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