異世界増え過ぎて世界管理職員は過労死しそうです
「昨今、とある世界から異なる世界への人口流出が著しい。このままでは各々の世界の人口バランスが崩れ、世界の存続にも関わってくる。対策を練らねば」
ここは世界を繋ぐ場所。
そしてここにいる我々の仕事は各世界の均衡を保つこと。
「調査結果によるとセクション11界の『日本』という国からの人口流出が目立っている。何か原因があるはずだ」
眼鏡を掛けた凛々しい男が報告する。
「またあそこかよ」
「時空職員は何してんだ」
ザワザワし出した会議の中、今度は気の弱そうな女の声で報告が上がる。
「あ、あの…時空職員に確認したところ、時空の歪み内での現世者との接触事件は特に増えていないそうです」
「ではどこから異世界へ?」
「ゲートでは?」
「考えられなくはないですが、ゲートでは出現頻度が少なすぎます」
引き続き憶測が飛び交う。
「そういえばその『日本』出身の職員居ませんでしたっけ?」
げっ…
痛いほどの視線を感じる。
「は、はい、…私で…す」
「そうか、では君に行ってもらおうかな」
「行くってどこへ?」
「その『日本』にだ。なぜこのように軽々しく異世界へ行ける人間が大量に出てしまっているのか現地調査を頼みたい」
「猶予は1週間。原因がつきとめられなかった場合、セクション11界は以後、閉鎖空界措置をとる。これがどういうことか、分かるな?」
閉鎖空界、完全に別世界との行き来を遮断される措置。現在別の世界へ行ってしまっている者ももちろん帰れなくなる。そして何より、こちらからの干渉が一切無くなるため人口バランスが崩れ、世界そのものが崩壊する確率があがる。要は世界が丸ごと見捨てられるという事だ。
「これにて本日の会議は終了とする」
はあ〜
今度は何が流行ったんだ?
前に同じようなことが起きた時はオカルトブームだった。
異世界へ行く方法を検証する者が後を立たず「エレベーターで特定の動作をする」だの、「正方形の真っ白な紙に赤ペンで『飽きた』と書いて枕の下に入れて眠る」だの、様々な方法で異世界とコンタクトを取ろうと試みる者が続出した。
彼らの多くは帰り方を知らずに時空の歪みへと入ってしまうため、時空職員が彼らを送り返す仕事に追われたと聞いている。
こうやって送り返した者のうちの何名かが当時この国で普及し始めていたインターネットという情報共有システムで体験談として公表したことで、うちの時空職員はこの国で『時空のおじさん』なる都市伝説として語り継がれることとなった。
はあ〜
二度目のため息も着いたことだし、私もいっちょ都市伝説にでもなってきますわ!
いざゆかん、懐かしきマイホームワールドへ!




