第二十四話 貴族の令嬢達のあまりにも刺激的なお仕置き
「ふふふ、ポール~~♪ さっきのはどういう事かしら?」
「はうう……」
屋敷に連れ戻されたポールが地下にある一室に入れられ、フローラとセシリアが椅子に座って縮こまっていたポールを見下ろして、尋問していく。
撤回したとは言え、ハンナに会ってはいけないとセシリアに言われていた事を彼も忘れていたが、何故フローラまで怒っているのか、理解出来ずにいた。
「ポール、今回は私も迂闊だったわ。あなたへの気晴らしも兼ねて、町に買い物を頼んでしまったのが間違いだったわ。だから、ハンナとバッタリ出会っても、私は特に何も言うつもりはなかったの。でもねー……」
「ひっ!」
セシリアがポールの顎をくいっと上げて、
「あんまり、仲良くしすぎちゃ駄目よ。あの子はとっても良い子だと思うけど、あなたは私の物なの。だから、他の女子と必要以上に仲良くしちゃいけないの? わかる?」
「うう……あの、必要以上ってのは?」
「恋仲になるなって意味よ」
「こ、恋仲……キイイっ! やっぱり、同年代の子の方が良いのね、ポールも!」
「あの、ハンナとは本当にそういう関係では……ひいっ!」
弁明しようとすると、セシリアは更に目を吊り上げて、ポールの胸倉を掴み、
「ええ、そうね。今はそういう関係ではない。その話は信じているわ。でもね、今はそうでもこれからどうなるかはわからないわよねえ。だから、ポールは私以外の女性と交際しちゃいけないの。もし、他の女と恋に落ちたら、私への忠誠心が揺らいじゃうでしょう? 恋人と私、どっちを取るって言われたら、あなたは私を取れる?」
「と、取れます!」
「っ! そ、そう……」
意地悪な質問をしたつもりだったが、ポールは即答してしまったので、セシリアも少し驚く。
自分の事をそこまで大事に思っているのかと嬉しく思ったが、しかし簡単に気を許してはいけないと、
「何よ、横暴な主ね」
「あんたも自分の従者が、恋人の方が大事とか言ってきたら、嫌でしょ」
「それはそうかもだけど、個人的な関係まで縛る事はないじゃない。ねー、ポール、酷いわよね、この女?」
「いえ、そんな事は……」
フローラだって怒っているのに、何を言っているのかと首を傾げていたが、セシリアはフローラの言葉など大して耳にも入っておらず、嘆息しながら、
「なので、今回もお仕置きが必要ね。ポール、あなたは他の子と恋仲になっちゃいけないの。ハンナとももちろん、そこの女とも誰ともね」
「ちょっと、私は良いじゃない! ま、今回のお仕置き、私も付き合わせて貰おうかしら。あんな小娘より、私の方が良いに決まってるって事をわからせてあげないとね」
「え?」
と言いながら、セシリアとフローラが顔を合わせてうんと頷き、ポールを地下室から連れ出す。
「ほら、ちゃんと洗いなさい」
「はうう……」
セシリアとフローラに浴室に連行され、セシリアの背中をスポンジで洗い流していくポール。
「次は私よ。ほら、さっさとやって」
「こいつはどうでも良いから、主である私の背中をまずは優先させなさい」
背中を流しているセシリアの隣にはフローラがシャワーを浴びながら、バスチェアーに座って待機しており、美しい貴族の令嬢が後姿とは言え、肌を晒して、幼い使用人の前に並んで座っており、彼女らのスリムな裸体を見て、ポールも流石に恥ずかしさのあまり、直視出来ず、顔を紅潮させて、背中を擦り続けていった。
「はい、ご苦労様」
「ふふん♪ じゃあ、次は私ねー。えいっ!」
「ひゃあっ!」
セシリアの背中を流し終わった後、石鹸で体を擦っていたフローラが不意に振り向いて、正面から抱きつき、彼女の乳房がポールの上半身に密着して、ポールも思わず奇声を張り上げる。
「くす、私が洗ってあげるわよ。ほら、気持ち良いでしょう?」
「こら、止めなさい、フローラっ!」
「あ、こら抱きつくなっ!」
フローラがポールに抱きついたのを見て、セシリアが彼女を引き剥がそうと、ポールに後ろから抱き付き、二人の柔肌に完全に挟まれ、幼い男児が引っ張りだこになる。
「こら、離しなさい! ポールは私の物なのよ!」
「いいえ、私のよ! セシリアみたいな横暴な主、この子にふさわしくないわ! ほら、離しなさいっ!」
「あううう……」
貴族の令嬢たちがそれぞれ、ポールの体に密着しながら、いがみ合うが、ポールは二人の生温かい肌に前後から密着されて、揉み合いになり、目を回す。
もはや悪い夢としか思えず、目を眩ませながら、二人に引っ張られ、ポールも意識が吹っ飛びそうになっていた。
「いいから、離しなさいっ!」
「あんたこそ……って、ポールっ?」
「うう……」
二人に前後から抱きつかれ、遂にあまりにも扇情的な出来事に失神してしまい、ポールもその場に倒れこむ。
やり過ぎたと反省した時には既に遅く、ポールは完全に気を失ってしまったのであった。
「ポール。ポール……」
「う……はっ! ここは?」
「ああ、よかった! 気付いたのね!」
ポールがセシリアに起こされ目を覚まし、慌てて飛び起きると、二人が心配そうに顔を覗き込んでいた。
「よかったわ。目が覚めたのね。急に倒れたから心配したわよ」
「セシリア様、フローラ様……うっ!」
起きると、そこはセシリアの寝室であり、二人に介抱されて、ポールは彼女のベッドで横になっていたのであった。
「全く、あんたのせいで……」
「セシリアが引っ張るからよ! まあ、でも流石にやり過ぎちゃったか」
ちょっとした悪戯のつもりだったが、まさか失神してしまうとは思わず、フローラも流石に頭を冷やして反省する。
「すみません、ご迷惑をかけて……」
「ま、私たちもやりすぎたわ。悪かったわね」
「そんな……」
「良いのよ、ごめんね、ポール」
と、フローラが頭を撫でると、セシリアもムッとするが、今回は自分も共犯なので強く言えなかった。
「じゃあ、お詫びにこうしようか」
「そうね。ポール」
「え?」
「「ちゅっ」」
「――!」
セシリアとフローラが同時にポールの頬にキスをし、彼女らの唇が頬に触れると、ポールもビクっと震えて顔を紅潮させる。
「えへへ、どうだった?」
「あう……」
二人の貴族の令嬢のお仕置きはあまりにも刺激的で、ポールもまた失神しそうになってしまうほど前身が熱くなっていた。




