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女貴族に買われた少年が厳しく可愛がられて、養われます。  作者: beru


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第一話 女主人とのちょっと刺激的な朝

「ポール、起きなさい。ポール」

「う……」

 翌朝、ポールは屋敷のメイドのアンジュに起こされ、ゆっくりと目を覚ます。

 彼は屋敷の地下にある四畳半ほどの広さの狭い寝室を宛がわれ、そこで夜を過ごしたのであったが、まだ眠気が覚めず、頭がボーっとしていた。

「いつまでも寝てるんじゃありません。使用人としての仕事があるのですよ。今日からいつもこの時間には起きて貰いますからね」

「はい……」

 寝惚けなまこのポールにアンジュはきつい口調で、そう注意すると、ポールも力なく頷き、起き上がって支度を始める。

 まだ時刻は朝の五時半であり、日も出ていない時間であったが、これでも今日は起床が襲い方であった。

「ほら、支度をしたら、セシリア様を起こしに行くのよ。これが鍵です。入る時は必ずノックをしなさい」

「僕が起こしに行くんですか?」

「ええ。セシリア様に言われなかったのですか? 今日からセシリア様を朝、起こすのはあなたの仕事なのよ」

 とアンジュがぶっきらぼうな口調で告げると、彼にセシリアの寝室の鍵を渡し、すぐに起こしに行く様命じる。

 まだ昨日、屋敷に来たばかりの自分が、主君であるセシリアを起こす役割など、荷が重いのではないのかと思っていたが、これも仕事なのだと言い聞かせ、アンジュに言われるがままにセシリアの部屋へと向かっていった。


 トントン。

「失礼します」

 セシリアの部屋に行き、ポールがノックした後、恐る恐る部屋に入ると、豪華な装飾の羽毛のベッドで寝ていたセシリアの下へ緊張した面持ちで近づく。

 彼女の寝顔も見惚れてしまう程、美しく、まるでフランス人形か芸術作品の様に整ったセシリアの顔立ちを見て感心してしまっていたが、自分の仕事を思い出し、

「セシリア様。朝です……起きて下さい」

「う……ふわあ……もうこんな時間……」

 自分の仕事を思い出し、セシリアに声をかけると、彼女も目を覚まして、ムクっと起き上がる。

 ノースリーブでシースルーのネグリジェだけを着ていたセシリアを見て、ポールも想定もしてなかった彼女の刺激的な寝巻き姿に思わず顔を真っ赤にして、目を逸らす。

「おはよう、ポール。って、何を目を逸らしているのかしら」

「お、おはようございます、セシリア様……」

「ちゃんとこっちを見なさい。あら、もしかしてこの姿を見るのが恥ずかしかったのかしら。悪いけど、寝る時はいつもこの格好なの。だから、文句は言わせないわ。あなたが慣れる事ね」

「すみません……」

 ポールが自分のネグリジェ姿を見て恥ずかしがっているのを察したセシリアは彼をからかうような目でそう言いながら、自分を直視する様指示し、ポールも主の命令だからと、渋々従う。

 彼女を見ると、薄手のネグリジェのみに覆われた、セシリアのスリムでくびれのあるウェストと豊満なバスト、長い足、綺麗な太股と、見事なスタイルが全て露となっており、色を知らぬ十代の少年にはあまりにも扇情的過ぎて、夢でも見ている気分になっていた。

「今日はどの服を着ようかしら……ねえ、ポールはどれが良いと思う?」

「え……」

 クローゼットを開け、セシリアが今日、着用するドレスを選べと言われ、目を丸くするポール。

「どれが良いかと訊いてるのよ。あなたが選びなさい」

「で、ですが……」

「命令が聞けないの?」

「はい! えっと……」

 セシリアが鞭を手に取ろうとしたので、ポールもピンっと背筋を伸ばして頷き、クローゼットの中に収納されていたセシリアのドレスを眺めて考える。

 どれもポールの家では手の届く事のない、高価なドレスばかりであり、価値がわからなかったが、とにかく何でも良いから選ばないと鞭でぶたれそうだったので、

「これなんかどうでしょう?」

「ふーん。良いじゃない。じゃあ、これにするわ」

 薄いピンク色を基調としたロングスカートのドレスを選び、セシリアもそれを手に取って着始める。

 このまま見ていて良いのか悩んでいたが、セシリアが出ろと言うまで勝手に出てはいけないのだと思い、彼女がドレスを着る様子をじっと眺めていた。

「ん……これでよしっと……どう、似合う?」

「は、はい。とっても綺麗です」

「そう。ありがとう。こっち来なさい」

「はい?」

「ちゅっ」

「――!」

 着替え終わった所で、セシリアがポールに感想を訊ね、ポールも素直にそう述べると、セシリアが彼の頬に不意にキスをする。

「お世辞でもああいう台詞を言えたのは、褒めてあげるわ。ま、本心に決まってるでしょうけど。ほら、ボーっとしてないで私にもなさい」

「え、え?」

 セシリアに不意にキスをされ、彼女の柔らかい唇の感触に呆然としていたポールの前に右の頬をセシリアが差し出し、

「キスをしろと言ってるの。命令よ」

「は、はい……ん……」

 セシリアに命じられて、ポールもゆっくりと彼女の頬に顔を近づけ唇をくっつける。

「ふう……ちょっとぎこちないけど、今日は多めに見るわ。これから、朝起こすときは、毎朝、私の頬におはようのキスをなさい。良いわね?」

「は……はい」

 ポールにそう穏やかな口調で、頭を撫でながら命じると、セシリアの顔を見て、顔を真っ赤にしながら彼も頷く。

 毎朝、起こす時にセシリアの頬にキスをする――貧農出身の自分が大地主のセシリアに対してそんな事をして良いのかと思っていたが、

「くす、そんなに私にキスされて嬉しい?」

「っ! いえ……は、はい! 光栄です!」

 困惑していたポールを悪戯っぽい笑みで見下ろしながら、おでこを指で突いてセシリアがそう訊くと、ポールは顔を真っ赤にして叫ぶように答える。

 そんな初々しいポールの態度を見て、セシリアも上機嫌になったのか、

「良い子じゃない。素直な子は嫌いじゃないわ。さ、そろそろ朝食かしら。今日はちょっと街に出かける予定があるから、あなたは庭掃除と倉庫の整理をしなさい。夕方前には帰るから、サボったら、お仕置きするわよ」

「か、畏まりました」

 と背筋を伸ばしてポールが一礼し、セシリアも得意気な目で彼を見下ろして、微笑む。

「じゃあ、食堂に行くわよ。朝食の準備をお願い」

「はい」

 セシリアが髪を整えて、退室し、ポールも一階のキッチンへと向かう。

 キッチンに行き、お抱えの料理人が用意していた朝食や食器を台に載せて、運んでいる間もセシリアの唇の感触が頭から離れず、ポールの心を徐々にセシリアが支配していったのであった。



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