両手に花+美女
お越しいただきありがとうございます。
内容が変わる本。
とっても興味深いです。
私もそんな本あったらほしいものです。
評価等いただけると励みになります!
それでは、お楽しみください。
放課後、理科室に着くと、既にかおりが待っていた。
「ユッキー、あの本、私が持ったら内容が変わったの。」
「内容が変わる?どんな風に?」
そう言えば、星奈の言っていたことと、内容が違かったような。デジタルブックじゃあるまいし、紙で出来ている本の内容が変わるなんてあり得ない。
「気のせいとかじゃない?」
「うーん。ちょっとしか見てないから自信がないかも……。」
そんな不思議な本あるのか?とりあえず、星奈を待とう。あの本がどういうものなのか確かめないといけない。
「こんにちはー!」
星奈……じゃない!
誰だ?すごい美人。芸能人?モデル?と言っても差し支えないくらいだ。
「私の付き添いよ。」
星奈が後ろから呟く。まあ、本の持ち主である星奈が連れてくるくらいだから、特に問題ないだろう。
「早速だけど、その本を俺に見せてくれないかな?」
星奈は無言で本を差し出す。見た目通り、かなり古い本というか手帳?ノートのようなものだ。
1ページ目を開く。
“このマニュアルは、貴方の想い人と恋人になる方法を記す。”
随分と堅苦しい表現だな。しかも手書きっぽい。
とても書店で手に入るようなものに感じないのだけれど。ページをめくると、次のページには、何も書いていない。
「何も書いてないぞ、これ。」
「そんなはず無いわ。」
かおりがマニュアルを取り、1ページ目を開く。ぱっちりした大きな瞳を俺に向けて、本のページを指し示した。
「朝の内容がそのまま書いてあるよ。ユッキーのこと。」
間違いなく書いてある。俺が手に取った時は、何も書いてなかったのに。おかしい……。星奈に渡してみる。何か変化があるかもしれない。
「私の内容は、変わらない。」
本の同じページを見せてもらうと、かおりと内容が違う!これで確信した。このマニュアルは普通じゃない。
「星奈。これはどこで手に入れたんだ?」
「これは星奈に私があげたものよ。」
星奈と一緒に来た、美女が言った。
「彼女は、中川唯。学園一の才女。」
星奈が紹介する。才女?美女でなくて?
「中川さんは、これをどこで手に入れたの?」
「唯で良いわ。これは家にあったのよ。昔からね。私の家は、代々続く旧家なの。歴史的な書物とか沢山あるなかに、これがあったのを星奈が見つけて。
まあ、私は、これに興味なかったからあげたの。」
出所不明に近いな。でも、どうして二人とも対象が俺なんだ?かおりは元々知り合いだったから良いとして、星奈は全然知らないし、想い人っていうほど、俺に感情があるとは思えない。
「星奈の2ページ目は、何か書いてあるの?」
「言えない。見せない。」
「そ、そう。まあ、気が向いたら見せてよ。」
顔が赤い。これは相当なことが書いてあるのだろうと想像がつく。興味はあるけど、無理強いは出来ないな。
「かおり、2ページ目を見てみて。」
かおりがページを捲った瞬間、顔が真っ赤になる。
「私も言えない。でもそのうち分るかも……。」
進展なしか。でも、内容はともかくとして、この本はとても気になる。
しばらく様子を見てみたい。
「ねぇ。しばらくこの本の観察してみない?」
唯さんの提案に全員頷く。そして、この人がいると3人よりも気持ちが楽だ。
「じゃ明日から放課後ここで。今日のところは解散ね!」
俺とかおりは、荷物をまとめ理科室を出た。
「ねえ、ユッキー。明日からは3人で登校しよう。たぶん、書いてあることを守った方が良いと思う。」
「私もそれで良い。でもあまり密着しないで。」
「書いてあることしかしません。」
毎朝一緒なのは、うれしいけど下半身に悪っ……良すぎるな。そんなことを考えながら、校門を出る。
昨日と違うのは、両手に花+美女で、更に周りの視線が痛いところだ……。
ご感想・レビュー・ブックマーク・評価、いただけると幸いです。
よろしくお願いします。