恋人獲得?
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ピンポーン
「ユキヤー。お迎えよー!」
通りすがりに母さんが
「あんた、モテモテねぇ。」
と言われたのが気になるが。それはそうと、良かった。今日もかおりが迎えに来てくれ……
「せいなっ!」
「おはよう……。ユキヤ。もう一人居るわ。」
「おはよう。ユッキー……。」
誰か、この状況を説明してくれ。昨日までの俺なら最高に萌えるシチュエーションなのに。なぜ今は、修羅場にしか見えないのか。
「ああ、おはよう……。」
気まずい。実に気まずい。ホント消えたい。
ところで星奈は、なんで俺の家を知っているのだろうか?本人に聞くしかないな。
「星奈は、どうして俺の家を知っているの?」
「偶然、この子と会って、迎えに行くと言うから。私は、前からこの辺りの住んでいるの。知らなかった?」
俺は、昨日あなたとお知り合いになりましたよ……。
「そ、そうなんだ。」
この重苦しい空気をどうにかしたい。何か話題を。
「昨日言ってたマニュアルは、持ってきたの?」
かおりが良い話題を振ってくれた。これは助かる。
「うん、持ってきた。」
星奈は、カバンから手帳のような本というよりノートのようなものを取り出した。そこには……。
恋人獲得マニュアル。
まるで手書きのように書かれていた。相当古い本というかノートのように見える。これ自費出版か何かなのだろうか?
「これに、あなたとのことが書かれている。」
「俺とのこと?」
星奈は、内容を差し示した。
“ユキヤと恋人になるには、入学初日に交際申し込むことが第一歩。それから、毎日、登下校を共にすることが必要だ。“
「いやいや、これ先輩が書いたんでしょ?」
かおりが星奈からマニュアルを取り上げ、読み返す。
“ユッキーと恋人になるには、毎日登校を共にし、自分の武器を最大限利用することが必要だ。“
「えっ?どういうこと?内容が変わってる……。」
かおりが呟いた。
「電車参りまーす!おさがりくださーい!」
星奈は、かおりからマニュアルを奪い取り、鞄へ仕舞った。
電車内は、昨日と同じくすごい乗車率だ。
今日は機能と比べて、かおりの密着度が高い気がする。抱きついているに等しいんだけど、今日はもう一人横に……。
しかも、星奈の胸が腕に当たってるし体勢が悪いのか、脚まで若干絡めてくる。これは……下半身に悪い、いや良い。
「先輩、ユッキーから離れてください。」
「この混雑じゃ無理よ。あなただってユキヤから離れて。」
周りの視線が痛い。俺は、モテてるんじゃないんです。いやモテてるのかこれは。いずれにしても、美少女に挟まれてるのは快感だ。しかも二人とも色々とやわらかい。満員の通学電車は、ひと時の至福だった。
「放課後、理科室で待ってる。」
「わかった。かおりも一緒でいいよね?」
「うん。今日のことで色々聞きたいこともあるから。」
そう言うと星奈は、自分の教室に向かい、かおりも自分のクラスに入っていく。
自分のクラスに一人で入るのもハードル高いな。静かに入ろう。
「おはよう!手塚君!」
直ぐに人が集まってきた。この珍獣扱いは、いつまで続くのだろう。質問攻めにされ、朝の時点ですっかり疲れてしまった。
しかし、このクラスは美少女だらけだ。顔で選考でもしているのか?と本気で思うくらい。
この学園で一番の美少女は誰だろうか、とても興味がある。女子ばかりだから、噂も立ちにくいだろうし、落ち着いたら、自分の足で探してみようかな。
「はーい!全員席について!HRはじめるわよ。」
先生もまた美人だよな。あのタイツの脚なんて大人の魅力全開って感じだ。
膝枕してほしい。そんなことを考えながら……放課後になった。
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