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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
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コクハク

お越しいただきありがとうございます。


ちょっと乱暴な告白を受けたユキヤ。

でもなんだかおかしい。

そんな違和感に興味をもつ。


3話目お楽しみください。

 いきなり告白された……のか?

 

「聞こえた?私と付き合って……。」


 なんだか、会ったことも無い人にそんなこと言われても、愛の告白には聞こえないのだけど。


「あの……確認ですけど、購買につきあってとかでなくてですか?」


「ちがう、私とお付き合いしてほしい。」


「えーっと……先輩は、俺のこと好きなんですか?」


「いえ、男の子っていう興味しかない。」


 この人が言うことに思考がついていかない。好きでもないのに付き合って?俺には理解できないけれど、女子の間ではそういうものなのか?


「付き合うって恋人同士になるってこと……ですよね?俺のこと男子っていう興味しかないのに付き合うとかは、ちょっと早いんじゃ……」


「そうなの?でも私の持っているマニュアル本には、付き合うことが貴方と恋人になる、第一歩って書いてあったのだけれど。」


 どんな本だよ……

 確かに一歩になることあるだろうけど、もう少し、交流したりとか書いてないの?普通のマニュアル本に書いてあるような内容と違うと思う。突飛な内容の本に、俺は少し興味が湧いてきた。


「先輩、その本って、今、持ってますか?」


「今は持ってない。あと先輩って呼び方はやめてほしい。私は、来栖星奈(くるすせいな)よ。」


「じゃ来栖さん。その本、明日持ってきてくださいよ。俺もその本に興味あるし。読んでみたいです。あと告白の返事は保留でお願いします。」


「わかった。あと来栖さんもやめて。星奈よ。星奈。呼び捨てでいい。」


 面倒な人だな。まあ、その方が呼びやすそうだし、いいか。


「じゃ星奈。明日の放課後、ここで。」


「うん。また明日。」


 やっと帰れる。午前で終わりとは言え、慣れない学校、さらに慣れない女子達に囲まれるという場面、今日はどっと疲れた。慎重に周りを伺いながら理科室を出ると、生徒はまばら。注目を浴びるのは変わらないけど、まあ集団で取り囲まれないだけマシだ。

 校門に着くと、かおりが待っていた。


「ユッキー、おーそーいー」


 待ってて、なんて言ってなかったじゃんか。と思う気持ちをグッと堪えて。


「ごめんごめん。ちょっと先輩につかまってた。」


「先輩?知り合いなの?」


「いや、今日知り合いになった。」


「ふーん。」


 なんか不機嫌そうだ。ご機嫌取らないと、明日迎え来てくれないかもしれない。まだ、一人で登校するのはハードル高すぎる。


「ちょっとお茶でもして帰ろう。」


「行く行くー!」


 かおりが単純でよかった。ファミレスなら家の最寄で良いよね。かおりの家も近いし。

 帰りの電車は、空いているから疲れなくて良いけど、かおりの感触を堪能することが出来ないのは残念だ。

ファミレスに着くとカップルが座るであろう窓際の席に案内される。


「ドリンクバー2つと、あとポテトください。」


 向かい合って座ると、なんか照れるな。星奈に告白されたこと、話しておいた方が良いのかな。でも、かおりと付き合ってる訳ではないし、特別仲が良いわけじゃないから止めておこう。


「その先輩は、何の用だったの?」


「俺と話しをしてみたかっただけじゃないかな。ほら学園で一人の男だし。」


「そう……。うちの学校って中等部からの進学が7割なんですって。だから高等部からの入学は、60人程度で、しかも男子合格者はユッキー1人らしいからね。」


 そんな情報どこで仕入れたんだろう。女子おそるべし。でも、入試の時は結構男子が居たんだけどな。全員不合格か。もっと気合見せてくれれば——、なあ男子。

 小一時間くらい経ち、少しまったりしていると、


「あれ?また会った……。」


通路側から聞きおぼえのある声がしたので振り向くと、


「星奈っ!」


「せいなっ!?だれっ?」


 かおり反応良いな。


「今日、俺のことを呼び止めた先輩。」


「いきなり呼び捨てなのっ!?えっ?えっ?」


 なんだか修羅場のような反応しないでほしいよ、かおりさん。そして星奈もちょっと遠慮してくれれば良いのに。


「ユキヤ。さっき言ってたマニュアルを今、持っているのだけれど。見る?」


「ちょっとまって先輩。ユッキーは今、私とお茶してるんですけど!」


 やばいこれ、修羅場だ。ドラマとかであるやつそのままだ。


「そうね……。非礼を詫びるわ。ごめんなさい。ユキヤ、明日、約束の場所で待ってる……。じゃあ。」


 そう言って星奈は、連れの人と足早に去っていった。いや居ても困るけど、去るのもやめて……。


「どういうことよ。ユッキー。説明して!」


 俺は、いきなり告白されたこと。返事を保留していること。そして、マニュアルを見せてもらうという約束を若干ビビりながら話した。


「そう……。そのマニュアル気になるわね。私も明日、行く。」


 いやそれは……。と思ったが拒否権が無さそうなので静かに頷いた。


 俺のハーレム入学式初日は、あわただしく、そして、ワクドキの連続で過ぎていった……。


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