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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
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心に誓う

お越しいただきありがとうございます。

今日の主役は、かおりちゃんです。

こんな良い子に会っていたら

猛烈にアタックしてしまいますね。

まあ、私の青春には全くありませんでしたけど。

そんな、作者の妄想をお楽しみください。

評価等いただけると励みになります。

お楽しみください。


主要登場人物

ユキヤ  主人公。隙があって鈍感。

かおり ユキヤの中学からの同級生。

星奈  2年生の先輩。ユキヤに付き合ってと言って保留にされている。

唯   3年生。モデル並みの美貌の持ち主。

五日市先生 かおりのお姉さん。

午後の授業が終わると、直ぐに部室へと向かった。


昼のままだったはずの部室は、

すでに片付けられ綺麗になっていた。

しまった、遅かったか・・。

次は、俺が用意出来るように、がんばろう。


「ユキヤ君、早いね!」


「唯さんも早いですね!」


「かおりちゃんのことが気になっちゃって

早く来て、片付けしちゃおうと張り切った結果です!」


「さすが唯さん。」


いたずらに笑う唯さんはとても魅力的だ。

この人は、恋人とかいるのだろうか。


「おまたせー!」


そう言いながら、かおりと星奈が入ってきた。

楽しみにしていた部活が始まった。


「かおりちゃんの話を聞くのに、早く来て片付けちゃおうとしたら

片付けてすぐに、同じ考えのユキヤ君が来て

危うく負けるところでした!」


唯さん、それは言わないで。

苦笑いでごまかす。


しばらく雑談していたところで

かおりが話し始めた。


「私とお姉ちゃん、2人暮らしなんです。

理由は、4年前、両親が事故で亡くなって、

当時、お姉ちゃんは大学4年生で、離れて暮らしてました。

お姉ちゃん頑張り屋さんで・・、新体操の日本代表でした。

大学院に進学が決まっていたんですけど、新体操もやめて

進学もやめて、私と一緒に暮らすために帰って来てくれました。

当時の私は、ショックで、ものすごく落ち込んでしまって、

学校にも行けなくなっちゃって、お姉ちゃんが励ましてくれました。

あるきっかけで、学校に行けるようにはなったんですけど、

お姉ちゃんは夢を諦めて私のために、教師なって

私のわがままで、私立にまで行かせてくれたんです。

お姉ちゃんに負担を掛けたくなくて、

アルバイトを始めようとしたんですけど・・・。」


「昨日、お姉ちゃんにアルバイトの話をしたら、

怒られちゃいました。

お父さんとお母さんは、私たちのために

たくさんのお金を残してくれていること。

新体操を辞めたのは、自分の意志だということ。

そして私のために教師になったのでは無く、

指導者として選手を育てたいという夢があったこと。

お姉ちゃんにとって、私は負担なんかじゃなくて

たった一人の大切な家族だってことを

泣きながら言われてしまいました・・・。」


かおりの頬を涙が伝う。


「お姉ちゃん、私に通帳まで見せてくれました。

確かに、私が大学を出てもビクともしない金額がありました。

だから、稼いだお金は自由に使いなさいって。

でも、無駄遣いはダメって言ってました。

私にとってお姉ちゃんは、

お父さんであり、お母さんなんです。」


全員、無言で涙を流していた。


「かおりちゃん、話してくれてありがとう。」


唯さんが声を振り絞って言った。

そして唯さんと星奈が、かおりを抱きしめ


「がおりぢゃん、何かあったら私もだよって(頼って)ねぇぇぇ!!」


顔をグシャグシャにして、泣きながら言った。


「唯さん、ありがとう。

でも、今の唯さん、泣きすぎて、若干引く。」


と泣き笑いで返した。

かおりがしっかり者なことは良く知っていたけど

俺は、かおりのことを何も理解していなかったと

自分が恥ずかしくなった。


女子3人が泣き疲れ、少し落ち着いたころに


「ところでユッキーのアルバイトってどこ?」


「いやそれが、父さん任せで全然わかりません。」


「ユキヤ、それ怖いね。危ない仕事かも。」


「!?」


そう言えば、何も聞いていない。

確かに怖いかも。


「明日、確かめたらラインします。」


「うん。ところでユキヤ君。

私は、ユキヤ君に言いたいことが、ひとつあります。」


唯さんがまじめな顔で俺に言った。


「ユキヤ君は、ちょっと女子に隙を見せすぎです。

確かに男子より力も弱いし、押しも弱いかもしれないけど

女子だって、悪意を持って接する人も居ます。

それをちゃんと意識しなければダメです。

でないと、ここに居る全員を傷つけることになるかも知れないよ。」


「女子に隙・・・。わかりました。気を付けます。

でも、ここに居る3人には隙だらけなんですけど

このままで良いですか?」


「よろしい。許す。」


どっと笑いが起こる。

女子に隙というのが、イマイチわからないけれど

これは、今度、日を改めて3人に聞いてみよう。


かおり・・・。

笑顔の裏でこんなことを経験していたなんて

俺は全然知らなかった・・・。


違う、俺は知っていたはずだ。

俺とかおりは小学校から一緒だったはずだ。

でも、事実について対岸の火事程度にしか

考えていなかった。

ただただ、無関心だった。


俺は何て薄情で、思いやりに欠けているんだ。

本当に情けなくて、自分を責めた。

でも、過去は変わらない。

だから俺は、もう後悔しないように

人生を送る。

そう心に決めた。


それに、今日俺は、この3人が大好きだということが分かった。

この集まりを大切にすると心に誓う。

そんな、少しだけ成長した、1日だった。


ご感想・レビュー・ブックマーク・評価、いただけると幸いです。

よろしくお願いします。

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