想い
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主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生 ユキヤの幼馴染。
唯 3年生 モデル並みの美貌の持ち主。
玲奈 1年生 ハーフ美女。留年している。金髪ゴリラ。
五日市先生(千春) かおりのお姉さん。
年明けの登校初日から俺のお迎えメンバーが1人増えている。なんだか母さんの視線が痛い……。そして、その唯さんの提案で、春子さんのお墓参りに行くことになった。何やら全員で話し合ったらしい。そして、今日学校帰りに寄ることになった。
「唯さん、お花はどうします?」
「墓地の近所で買えるから、そこで買いましょう。」
「了解です。」
年が明けてからというもの、みんなが何となくよそよそしい。何か考えているのか俺には全く想像がつかなかった。
唯さんの最寄駅に着くと、墓地へ歩いて向かう。なんだか見覚えのある道だ。途中で、お花を購入すると、さらに進んで行く。
「さあここよ。」
先祖代々のお墓でかなり大きく、立派な印象だ。でも、俺にはそれ以上に驚いたことがあった。
全員でお参りをし一息ついた後、口を開いた。
「あの、ちょっといい?」
「なに?ユキヤ君。」
「中川家の真正面、家のお墓なんですけど……。」
正直、こんな偶然があるのかと驚いた。そう言えば、父さんが年末にお墓は数十年前に移設されたものだと言っていた。
「そういう事なんだ……。」
セナちゃんが小さい声で漏らした。何か知っているのか?
「セナちゃん、何か知ってるの?」
「うん……。でもまだ内緒だよ。」
「え……。どうしても?」
「どうしても。」
かおりが答える。これは俺以外、全員知っているということか。それじゃ仕方ない。教えてくれるまで待とう。
この日は、何もわからないまま、みんなと別れて帰宅した。
それ以降も、いつもと変わらない態度で接してくれているけれども、何となく違和感を抱えたまま日々を過ごしていた……。
そして、2月14日。
この日は誰も迎えに来なかった。前日にラインで、迎えに行かないけど遅刻しないように注意があった。同時に、放課後、部室に来るようにメッセージが来ていた。
玲奈は、普通に接してきたけれど、今日の事は何も話さない。俺も意識して、聞かないようにしていた。
放課後になると、玲奈はさっさと部室に向かったので、少し遅れて部室に向かう。日にちが意味深なのでチョコレートなのは判るけど、きっとそれだけじゃないはずだ。それは、最近のみんなの態度からも想像がつく。俺も覚悟を決めないといけないのかもしれない。意を決して部室のドアを開ける。
「おつかれさま、みんな。」
部室には既に4人ともそろっていた。席に着くと、いつになく真面目な顔をした唯さんが口を開く。
「ユキヤ君に聞いてもらいたい事があるの。」
「はい。」
「私達全員、恋愛読本をお正月に読みました。内容は、今ここでは言えません。でも、今のあなたなら読めると思います。」
そう言うと、恋愛読本を俺に差し出す。恐る恐る手に取ってみると、何時ものようにマニュアルへと変化せずに、恋愛読本のままだった。
「本当だ……。俺、読んで良いんですか?」
「良いけど、私たちの話を聞いてからにして。」
「はい。」
「恋愛読本の内容は、とても素敵な内容だった。それでみんなで決めたの。改めてユキヤ君に告白する。そして、出来ることならあなたが決める1人になりたいと。」
「ユキヤ君。私はあなたのことが好き。これは初恋です。18歳にもなって初恋なんて、ちょっと遅いかもしれないけれど、私は、あなたを想う気持ちに嘘はつけません。私とお付き合いしてください。」
唯さんが話し終わると、セナちゃんが……。
「ユキ君。私は、ずっとあなたを想っていました。だから記憶に蓋をしてしまった。私は、あの頃から気持ちは変わっていません。あなたのことが大好きです。」
そして、玲奈……。
「てっちゃん。私は、きっと何があってもあなたを諦められない。だから振られても何度でもアタックするつもり。仕方ないよね。私はあなたのことが誰よりも愛しているんだから。」
最後にかおり。
「ユッキー。私もきっと諦めない。だからこれからも沢山思い出を作りたい。あなたと作る思い出はきっと素敵なものばかりだから。あなたが好きです。私とお付き合いしてください。」
みんなの気持ちはよく分かった……。俺は深呼吸をして答えた。
「みんなの気持ちは良く分かりました。少し時間をください。それまでに答えを出せるようにします。」
恋愛読本を手に、部室を後にした。
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