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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
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物陰

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主要登場人物

ユキヤ  主人公。隙があって鈍感。

かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)

星奈  2年生 ユキヤの幼馴染。

唯   3年生 モデル並みの美貌の持ち主。

玲奈  1年生 ハーフ美女。留年している。金髪ゴリラ。

五日市先生(千春) かおりのお姉さん。


 さすがに父さんの飲み友達の中に、俺と玲奈は場違いというか、とても目立つ。お店の方が気を遣ってくださって、俺たちにちょっと大人なおつまみを出してくれた。


「お酒のおつまみってなんだか塩気が強いのね。」


「そうだね。玲奈のお父さんは飲まない人?」


「あまり飲まないね。ビールは好きみたいだけど、お母様も飲まないし。」


「そうなんだね。中川の血筋は飲兵衛かと思ってた。」


「そう?星奈のお父さんくらいだよ。でも中川の人じゃないし。唯のお父さん直ぐによっぱらっちゃうし。」


「そうか。セナちゃんのお父さん来栖さんだもんね。」


「ところで、唯さんのお父さんは俺の父さんの知り合いなのだろうか?」


「普通に談笑しているから知り合いなんじゃない?わかんなけど。」


 わからないものは突進して聞いてみよう。


「父さん、唯さんのお父さん、中川さんとは知り合いだったの?」


「いいや。初対面。」


 この人の社交性とコミュニケーション能力はどうなっているんだ……。どう見ても旧知の仲にしか見えなかったぞ。


「ユキ君。君のお父さん大体こんな感じだよ。」


 セナちゃんのお父さんが笑いながら教えてくれた。


「知らなかった……。」


「今日は、中川さんが君のお父さんに会ってみたいとクリスマスに言ってたから、今日、唯ちゃんが来た時に一緒に来てもらったんだよ。手塚さん達と飲む約束してたし。」


 そう言うと小声になって。


「唯ちゃんが君の話ばかりするから気になってたんだよ。」


 なるほどね。間接的に俺を探ろうとしたら、本人来ちゃったわけね。もしかして父さんは、見通してたのか?


「いやー、息子を口実に家を抜けて来たよー。」


 絶対偶然だわ……。そうだ、唯さんのお父さんに聞きたいことがあったんだ。


「あの中川さん。ちょっとお伺いしたいことがあるのですけれど。」


「なんだい?」


「初春は、どうして共学になるって選択をしたんですか?」


「そうだね。ユキヤ君は気になるよね。実は、私の祖先にあたる初代学園長の遺言なんだよ。」


 春子さんの?


「初代学園長は女性でね。女子高として開校することは出来たんだけど、当時はまだ柔軟な頭を持ち合わせている人が少なくて、共学に出来なかったんだ。だから後世に託したんだ。それが今。残念ながら初年度は不発だったけど、来年からは増える予定だよ。設備も整ったしね。」


 やっぱり、春子さんの意思か。


「でも、君が辞めたら、来年も厳しかったから、本当に辞めないで居てくれたのは感謝してるよ。」


「いえ、寧ろ色々と気を遣ってくれた唯さん達に感謝してください。」


「娘と仲良くしてやっておくれ。」


「てっちゃん、そろそろ行かないと。」


「そうだね。」


 父さんに帰るように促すと、もうちょっとと言うので、母さんに一方入れてからお店を後にした。そのうち、母さんから電話攻撃が始まるだろう。待ち合わせは、いつもの公演だ。徒歩10分程度、玲奈と2人で歩く。


「ねえ、てっちゃん。」


「なに?」


「かおりちゃんとキスしたでしょ?」


 何故知っている!?かおりの時もそうだったけど、誰も漏らすような気がしないんだけど……。


「当たりだね?」


 そうか、俺はカマかけられて返事をしていたのか……。もう俺、みんなに隠し事無理だな。


「うん。」


「私には?」


「えっ?玲奈とはしたじゃん。」


「えー!もう1回!ちゃんとしたの!」


 そう言うと、玲奈は物陰に俺を連れて行く。逆らうと突きを食らいそうなので大人しく従う……。ホントは違うけど。


「ここなら良いでしょ……。私にも。」


 玲奈は目を瞑る。これで拒んだら玲奈を深く傷つける。それに俺もキスしたい……。

 前回の軽いキスではなく、腕を回し、優しくタッチするように数回。それから情熱的に。玲奈もそれに応えてくれる。キスって本当に気持ちが良い……。相手がどう思っているか、手に取るように解る、まるで感触が伝わるように。

 少し離れると、直ぐに玲奈からキスを求めてくる。すごくいやらしい気分だ。これはちょっとキツイかも。すると玲奈は。


「私は、あなたのものだから何時でも求めて。他の子にも求めて良いから。」


「玲奈。俺も玲奈と色々したいけれど、ケジメは付けないといけないと思う。だからそれまでは、キスだけね。」


「もう、真面目ね。私たちは全然良いのに。」


 そう言うこと言われると自制心が消えるからやめて……。


「はい!玲奈。待ち合わせ場所行くよ!」


「へーい。」


 チャンネルを変えるように元にもどった玲奈を連れて、待ち合わせ場所へと急いだ。


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