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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
185/191

大晦日

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主要登場人物

ユキヤ  主人公。隙があって鈍感。

かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)

星奈  2年生 ユキヤの幼馴染。

唯   3年生 モデル並みの美貌の持ち主。

玲奈  1年生 ハーフ美女。留年している。金髪ゴリラ。

五日市先生(千春) かおりのお姉さん。

 学校が終わって、慌ただしい年末。みんな色々とやることがあったみたいで、大みそかの今日まで会っていない。ラインで今日の集合時間を教えてもらったから、直接そこに行けばよいかな?初詣の場所は、地元の神社。正直言ってあまり賑わう場所ではないけれど、地元の人に愛されるそんなところだ。甘酒くらいしか振舞われないけどね。

 夕方になると家族で食卓を囲む。日常にはあまりない光景だ。


「ユキは、夜出かけるのか?」


 ほろ酔い加減の父さんが質問する。


「うん。いつもの子たちと。」


「そうか。」


 母さんがニヤニヤしているのが気になるけど、事実だから仕方がない。


「この時期になると父さんが、おいちゃんと呼んでいた、祖父さんのお兄さんを思い出すなぁ。」


「前に言ってた、生き様が潔い人?」


「そう。この家を建てた時に一回だけここに来たんだよ。丁度、大晦日に言い出してな。」


「ふーん。なんかあったの?」


 初めて聞く話だ。酔っ払いだから適当に流し聞きしておこう。


「この土地は先祖代々の土地だけど、戦争で家が焼けてから、空き地として放置されてたのを、父さんが結婚を機にもらい受けて家を建てたんだ。年末に帰省した時に、急においちゃんが見に来ると言い出して、もういつ死んでもおかしく無い年齢だから、最後に地元を見たいと言ってな。建て終わった春に遊びに来たよ。」


 随分と古い話だな。もう20年くらい前かな?


「数日泊まったら、いきなり喪服を貸せって言いだして戻ってきたと思ったら、九州にある墓をこっちに移設するとか言い出して、もう大変。」


 だからこっちにお墓があるのか。


「元はこっちにあったが、戦争で焼けて無くなっていたらしい。それから、なんもかんも全部おいちゃんがやって、あっという間に移設されたよ。全額出してくれたから、こっちとしては万々歳さ。ゆかりの無い、親父達には迷惑だったろうけどな。」


「だからこっちに立派な墓があるのね。初めて知ったよ。」


「まあ、もうお前からみて3代前だから知らんでも良いだろう。」


 知らんでもいい話をじっくり聞かせたのは貴方です。


「そうそう、まだ時間あるんだろう?ちょっと父さんに付き合いなさい。」


「どこ行くの?」


「居酒屋。」


「未成年を連れて行くな。」


「いやいや、来栖さんも来るから、たまには挨拶しなさい。」


 そう言うことか。緊張するけど、いつも家族ぐるみでお世話になってるからね。


「うん。時間になったらそこから初詣に行くよ。」


 母さんから、俺が出るときに一緒に帰ってくるように父さんがきつく言われていたので責任重大だ。そして、ちょっと早めに出よう……。身支度を整え、父さんとお店に向かう。ルポの傍に昔からある居酒屋だ。


「いらっしゃい!」


 元気な声が響くと、常連と思しき方々がカウンターに勢ぞろい、その中にセナちゃんのお父さんの姿があった。と、何故かその隣に玲奈が座っておつまみを頬張っていた。


「ユキ君ひさしぶり。」


「おじさんいつもお世話になってます。」


「てっちゃん、こんばんは。」


「こんばんは、玲奈。1人?」


「私だけ、連れてきてもらったの。居酒屋って行ったことなくて。」


「ユキ、この美人さんは知り合いか?お前、なんか良い学生生活送ってそうだな。」


 父さん、少しだまってて。あと玲奈吹くな。玲奈が父さんに挨拶している間に周りを伺うとルポのマスターも座っていた。なんだか知り合いばかりだ。


「君がユキヤ君?いつも娘がお世話になってます。」


 初めて会う人。服のセンスは微妙な感じなんだけど、スマートな感じで若いころは相当モテただろうと思われる男性だ。この感じは、もしかして。


「唯さんのお父さんですか?」


「てっちゃんすごいね。そう、唯のお父さん。」


 手抜き時の微妙なセンスは、お父さん譲りだったのか。

 とりあえず、挨拶を済ませ、玲奈の隣に陣取る。


「セナちゃんは?」


「星奈は行かないって。唯もいるしね。で、てっちゃん私という存在を無視して星奈の心配をするとはいい度胸ね。」


「すいません……。」


 なんだか今日の玲奈は怖い。大人しくジュースを飲みながら父さんたちのおつまみを貰うことにした。


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