一途
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今回はかおりちゃんの主観です。
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主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生 ユキヤの幼馴染。
唯 3年生 モデル並みの美貌の持ち主。
玲奈 1年生 ハーフ美女。留年している。金髪ゴリラ。
五日市先生(千春) かおりのお姉さん。
帰り道、唯さんの提案でたまにはルポ以外のケーキを食べに行こうということになった。気を紛らわすには丁度いいと思い、承諾して以前ユッキーが買ってきてくれたケーキ屋さんに向かった。
「かおりちゃん、お店に着いたら私の失敗談をお話ししてあげる。これがヒントになると思うよ。」
「玲奈さんの失敗談?」
留学の失敗談とかなのかな?でも、ヒントになるって言うし……。
「唯と星奈が羨ましい。このマニュアルはそもそも1人でやっちゃいけないものだよ。1人で始めた私が言うんだから間違いないわ。」
そんなお話をしながらお店に到着。久しぶりのケーキなのでちょっと楽しみ。いつものショートケーキ、モンブラン、ミルフィーユ、そしてフルーツタルトをオーダーして席に着く。
「確かに、3人で始めたのは心強かったかも。私の場合、ユキ君へのアプローチが今考えてもかなり失礼だったのが悔やまれます……。」
「星奈、どんなことしたの?」
「いきなり付き合ってって言った。しかも別に好きじゃないとも言った……。」
「想像以上だね。でも、まあ、星奈がそんなことを言ったのが驚きだけれど。」
「あの時は、良く分からない使命感があって、どうしてもこの人の近くに居ないといけない気がしてたの。でも、それは理由にならないよね……。ってあまり過去をいじらないで。」
「ごめんごめん。その過去の話ね。」
玲奈さんが本題に入る。
「かおりちゃんの様子を見ると、私と同じことが書いてあったと思うの。その時、私は小学生で全然理解が出来なかった。」
別れを告げる……。小学生には無理だよね。
「だから自分なりに考えて行動してみたの。まず、空手を辞めた。これでてっちゃんとの接点は、近所に住んでいるだろうくらい。元々共通の友達も居なかったし。」
「空手に未練はなかったんですか?」
「全然無いよ。嫌々始めたものだし、てっちゃんが居たから続けていたようなものです。」
言い切った。でも別れを告げるで、ここまで思い切ったことするなんてすごい。私、別れを告げるっていうから、代案を考えなきゃとしか思わなかった……。でも、小学生じゃ書いてある通りにするのが限界だよね。
「それから全く会えなくて、このままじゃまだ足りないのかと思って、アメリカ行かなくても良かったのに行っちゃったし……。まあ、結果的に再会出来たから良かったんだけどね。」
玲奈さんってユッキーを一途に想っているのが伝わってくる。私もそうだけど、ちょっと押されてしまう。
「で、ふと気づいたんだよね。ああ、そういう意味かと。私が小学生の時に思ったことは、意味が少し外れてて、自分自身の内面に関する事だったんだなぁって。」
そこまで話してもらえれば、私でも分かる。そうね。そうだよね。
「ねぇ、玲奈。これでかおりちゃんは分かるものなの?」
唯さんが質問する。確かに内容を知らない人には全然想像も付かないことです。
「玲奈さんのおかげで、良く理解できました。本当にありがとうございます!私もがんばります!」
「うん。分かってもらえて良かった。夜も眠れそう?」
「ぐっすりは難しいですけど、もう少し考えてみたいと思います。」
「唯と同じく、私も良く分からないけれど、元気なかおりに戻ったから良かった。」
「星奈さんも心配させてごめんなさい。」
少しだけ疑問が晴れたから、私もちょっと疑問をぶつけてみよう。
「あの、唯さんと星奈さんは、ユッキーに告白したんですか?」
「うん。ちゃんと想いを伝えた。」
やっぱり星奈さんは、一度決めると真っ直ぐだ。
「私も伝えたよ。かなりモジモジしてしまったけど……。」
唯さんは、最初の印象と随分変わってしっかりもののお姉さんから、ちょっとドジっ子で可愛い感じになってしまったけれど、やる時はやるのが素敵です。
「私も焦ったりはしないですけど、いつか想いを伝えようと思います。」
今は、これが限界。でもちゃんと想いを伝える。その時まで想いを膨らませておこう。
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