謝罪
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主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生 ユキヤの幼馴染。
唯 3年生 モデル並みの美貌の持ち主。
玲奈 1年生 ハーフ美女。留年している。金髪ゴリラ。
五日市先生(千春) かおりのお姉さん。
帰りの車は、みんな疲れたのか静かだった。かおりは俺に寄りかかって寝ているし、唯さんは、なんだかいつもなら結構べったりしてくるのに、ちょっと離れて固まっている。これは意識しているってことなのかな?
「唯さん、疲れたら寄りかかっていいですよ。」
「えっ、うん大丈夫。ありがとう、ユキヤ君。」
そう言うと、少しだけ近づいて、俺に寄りかかる。でも、今日はそこまでだった。
最初は、全員の家まで送ると千春さんは言っていたけれど、そこまでされると恐縮してしまうし、お願いし難くなるから、ということで解散はかおりの自宅にしてもらう。到着すると荷物を下ろし、千春さんにお礼を言って、解散となった。あのクーラーボックスは、帰りの牧場で乳製品と保冷剤に変わり、結構な重さになって五日市家に収納されていった。
帰り道は、先にセナちゃん、玲奈組と別れて、俺と唯さんが分かれる感じになる。2人になったらもしかすると、話をする機会もあるのかな?そう思っていた。2人と別れ、唯さんと2人になると、数十メートルで唯さんは地下鉄、俺は私鉄方面に分かれる。短い距離だから、何もないかと思っていた。
「ユキヤ君。ちょっとお話しがあるから、少し公園によってもらってもいい?」
「良いですよ、なんならルポでも良いですけど。」
「誰にも聞かれたくないから公園で。」
そう言うと、うつむいて無言になってしまった。何だか、空気が重い……。
公園に到着すると、空いているベンチに2人で座った。しばらく無言だったけれど、さすがに内容を急かすのもどうかと思い、俺も黙っていた。すると唯さんは意を決したように立ち上がり、俺の前に来た。
「ユキヤ君。私は、あなたに謝らなければいけません。あなたが寝ている時に布団にもぐりこんで、キスをしてしまいました。許されることではないけれど、あなたの意思を無視するような行動をして本当にごめんなさい。」
やっぱり唯さんだったか。まあ、キスしたことは別に良いとして、どうしてその行動を起こそうと思ったのか気になる。
「唯さん、頭を上げてください。でも、どうしてそんなことをしようと思い立ったんですか?」
「……私、昨日の夜、星奈がユキヤ君の部屋でキスしてるのを見てしまったの。」
なんですと。ドアが少し開いていたのか……。全く気付かなかった。
「私、悶々としてしまって、抑えが効きませんでした……。」
「そうだったんですね。でも俺に直接言わなかったのはどうしてですか?」
「言って断られたら、たぶん私、ショックで寝込む……。」
寝込んじゃうんだ。それは困る。でも、俺だって男だから色々と都合があるんだけどな。唯さんなら言っても良いかな。
「唯さん、気持ちはわかりましたし、責める気は全然ないです。でも、唯さんは、もう大人だから言っておきます。唯さんがキスした時、俺、起きてたんです。」
「そうなの!?」
「俺も男なので、あんなキスされたらドキドキして、自制が効かなくなります。それに、前にも言った通り、唯さん含めみんな好きな人なんです。だから、唯さんの隅々まで興味もありますし、色んなキスもしたいし、他にも色々なことしたくなっちゃいます。でも、みんなにそれをするって難しいですし、やっぱり今の関係のバランスが崩れちゃうと思うんです。だから、何かしてほしかったらまず、俺に聞いてください。出来る限りはしますから。セナちゃんとキスしたのは、正直、衝動的にしてしまったことでもあるので……。ちょっとブレーキ壊れ気味かもです。」
「そうなの……。私がキスしてほしいって言ったらしてくれた?」
「あのエッチなキスはダメです。あれは、ちょっと自制が効かなくなる。」
「それは言わないで。普通の普通です。」
「普通なら……考えます。たぶんしちゃうけど、俺も男なんで。」
「ユキヤ君のエッチ。」
「唯さんと良い勝負ですよ。」
「私の方がエッチです!」
「何の自慢大会?」
「ホントにそうね……。私、ユキヤ君のことが好き。私のすべてを、あなたにあげたいくらい大好き。だから、みんなに配慮しつつ、これからも攻めるつもりだから、覚悟してね!」
「ありがとう、唯さん。お、お手柔らかにお願いします。」
預かっていたピアスの留め具を取り出す。
「えっ!どこにあったの!?」
「俺の枕元に……。」
「何やってんだか私。もう隠し事は出来そうにないわ。私、ドジすぎ。」
そんなやり取りをして、わだかまりが取れたところで解散となった。唯さんも大胆なことする割りにドジなところが、なんとも憎めないな。でも、もしキスしてとお願いされたら、俺は何の躊躇もなくキスすると思う。好きな人にそんな事言われたら断れない。今は、4人とも同じくらい好きで、1人に決められないのだから。
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