幼馴染
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主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生 ユキヤの幼馴染。
唯 3年生 モデル並みの美貌の持ち主。
玲奈 1年生 ハーフ美女。留年している。金髪ゴリラ。
五日市先生(千春) かおりのお姉さん。
お店を出て階下の部屋に戻ると、俺は、さっさと着替えて、寝れる服装でソファのある部屋に行く。みんなは、化粧を落としているのか洗面所でガヤガヤやっていた。女子は色々と大変だ。
お店にいた時に、あの薄暗い空間で見た女子のくちびるが頭に浮かんでくる。キラキラしていて、正面に居たら吸い込まれてしまいそうだった。もう女子ではなくて、女性なのだと俺は考えを改めないといけない。
「てっちゃん、おまたせ。寂しかった?」
「そんなことないよ。あれ?玲奈、お化粧落としたんじゃないの?」
「寝る直前まで落とさないよ。今はお着替えしただけ。」
「そうなんだ。」
じゃ、みんなあのくちびるのままなのか。お酒も入っているし、じっと見ないように気を付けよう。
「ん?私の顔に何かついてる?」
既に見てたようだ。
「何でもないです。」
「ホントに?」
「いや、あの、学校だとあまりお化粧してないでしょ?いつもと雰囲気違うなって。」
「そういう事ね。どう?見直した?」
「見直したも何も、みんな前から綺麗だなって思ってるよ。」
「……ばか。」
なぜ、馬鹿なのさ。俺、なんか悪いこと言ったかな。
「玲奈、ユキヤ君はモテモテの鈍感なのです。」
「そうみたいだね……。」
何のお話をしているのでしょうか?良く分からないうちに、唯さんは千春さんが買ってきたお酒を開けていた。ホントにこの人は。
「唯さん、飲みすぎ注意です。」
「わかってます。がんばります。」
何を頑張るのか……。セナちゃんが居ないと俺が絡まれそうだ。でも今日は、俺1人で寝られるから大丈夫だろう。
全員、戻って来たところで2次会の始まりのようだ。千春さんも飲み始めてる。他はちゃんとソフトドリンクです。
「ユキ君もいかがですか?」
セナちゃんが1本渡してきた。それでは遠慮なく。
「唯が飲兵衛なのは意外だった。家では大人しいのに。」
「えっ唯さん大人しいの?」
「ユキヤ君。私うるさい?」
「いえ、うるさくは無いですけど、大人しいかと言われると微妙ですかね。」
「私は、基本大人しいのです!この場だけだよ。」
心を許しているってことで良いかな。それそれでちょっと嬉しい。
「玲奈はうるさいよね?」
「てっちゃん、それは偏見です。」
「だって前にセナちゃんが言ってたし。どうなのセナちゃん。」
「うーん。前より随分大人しくなったと思う。基本的に家事好きだから、何かしらお母さんの手伝いしてる。私の出番が減ったのでちょっと楽になったかな。」
「意外だ……。」
「もともと家庭的なのですよ私。良いお嫁さんになるよ!如何です?」
「あっ。考えときます。」
「やったー。」
そんなやり取りをしつつ、楽しい時間は流れていき、そろそろお開きにという話になる。先に洗面所を使ってよいという事だったので、遠慮なく使わせてもらい、みんなより先に寝室に入り、1人の時間となり、薄暗くしてベッドに横たわった。
目を瞑ると、セナちゃんのくちびるが浮かんでくる。プルプルのくちびるに触れてみたい、そんな気持ちが高まる。お酒の影響もあるのかな。子供の頃に何度も触れたくちびるだけれど、今触れたら、どんななのかな?
「ユキ君。ちょっと入っても良い?」
セナちゃんの声だ。心の声が外に漏れたか?
「どうぞ。」
ゆっくり入ってきたセナちゃんは、ベッドの端に腰を下ろした。
「ユキ君、ちょっと聞きたいことがあるの。」
「うん。」
「玲奈と……キスしたの?」
これは、きっと本人に聞いているし、誤魔化せない。でも普段のセナちゃんなら聞いてこないのにどうしたんだ?
「うん。」
「そう……。」
重い空気が流れる。この雰囲気は、居心地悪い。俺としては、セナちゃんともキスしたい。ずっとそう思っているのだけれど、それは出来そうもないな。そう感じていた……。
「私もキスしたい。」
自分の望み通りになる。そう思ったら。もう理性は効かない。見つめ合ったら止めることは出来なかった。子供の頃に何度もしていたけれど、想像していたよりも、ずっと柔らかいくちびるを角度を変えたりして触れる。ドキドキして心臓が飛び出そう……。セナちゃんの同意があると止まらない。直ぐ近くにみんなが居るのに……。みんなが居ると認識して、我に返ると、はにかみながら元の場所に戻った。
セナちゃんが真っ直ぐ俺を見つめながら口を開く。
「ありがと、ユキ君。やっと自分の気持ちに整理がついた。私は、ずっと前からユキ君のことが好き。」
幼馴染だった女の子は、他人として再会し、また幼馴染に戻った時には、魅力的な女性になっていた。
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