言えない
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今回は、玲奈が主観です。だんだん秘密が解き明かされていきます。
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主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生 ユキヤの幼馴染。
唯 3年生 モデル並みの美貌の持ち主。
玲奈 1年生 ハーフ美女。留年している。金髪ゴリラ。
五日市先生(千春) かおりのお姉さん。
「それは、どういうことなの?」
唯が質問する。
「私が、最後のページを見て内容を確認したら、もうマニュアルでは無くなったの。要するに、春子さんが伝えたいのは告白することで、その理由がこの本に書いてあるのだと思う。」
私の返答に全員、何か考えているようだ。
「なるほどね。それだと合点がいくかも。」
「でも、私、てっちゃんが居るからこれ以上話さない。ここから、あなたは聞いちゃダメ。」
てっちゃんは、すでに食事が終わっていたけれど、この話が楽しくて聞いていたようだ。
「玲奈、そりゃないっすよ。俺、つまらないっすよ。」
「だめ。どうしてもだめ。」
のけ者にされて残念そう。ごめんね、てっちゃん……。
「じゃ手塚。私と一緒に一足先に部屋に戻って着替えよう。」
「えっ、千春さんと着替えですか?楽しみです!」
「それでも良いけど、私と上のお店付き合ってよ。1人だと行き辛いの。」
「了解です。では俺はこれにて。」
そう言って、千春さんとてっちゃんは部屋に戻っていった。これで準備OKね。
「3人に聞きたいことがあるの。てっちゃんの事、好き?」
うつむいている中で、唯だけが私をじっと見ていた。
「私は、ユキヤ君が好き。これは、もう変わらない事実だと思う。一緒に遠足に行ってから、この気持ちに疑いが無くなったから。だから何時でも告白できる。」
「唯が告白しないのはなぜ?」
「告白したら、歯止めが利かなくなりそうだから。今はまだ、その時じゃない。」
「私は、ユキ君には言ってあるけど、気持ちに整理がついてない。幼馴染だったけれど、再会した時も覚えていなかったとは言え、すごく失礼なことをしちゃったし。好きという気持ちは本音だけど、少し時間がほしい。」
星奈の気持ちはよく分かった。私も同じ立場ならそうかもしれない。
「私は、正直なところ好きという気持ちに整理がついてないです。それは、恋に恋しているなんて言うことを聞いてしまったからだと思う。好きなことは変わらないと思うけれど、もう少し、気持ちに自問する時間がほしいです。」
かおりちゃんは、素直で素敵だわ。私も見習わないと。
「わかった。私の疑問は晴れたから、もう聞かない。私は、勢いで告白してしまったけど、全員が最後のページが見えるようになったら、一緒に恋愛読本を読もう。きっと背中を押してくれる内容だと思うんだ。だからみんなで……。」
私のせいで、この場がしんみりしてしまった。ちょっと後悔。すると、私のスマホが鳴った。てっちゃんからだ。
“全員、おめかしして、バーのあるフロアに来て。”
ナイスタイミングてっちゃん!
「ねえ、今、てっちゃんからおめかしして、バーがあるフロアに来てって!」
「ホントだ!私にも来てた。」
「私にも。」
「えっ?私はひと言追加してある……。飲みすぎ注意……。」
「唯は気を付けるとして、部屋に戻りましょ!」
部屋に戻ると、少しだけ大人びたお化粧をして、着替える。
唯は、ひざ上のスカートにブラウスでちょっと大人びた感じ。星奈は、ジーンズで落ち着いた感じだけれど、透け感のあるブラウスで幼さを上手に消した感じだね。かおりちゃんは、ショートパンツ、普通はショートパンツって幼く見えるはずなのにこの子の場合、美脚すぎてむしろ大人っぽい、なんか世の中不公平だ。
私は、てっちゃんと一緒に買ったお気に入りのスカートにブラウスを合わせて、上機嫌のまま上階にあるバーへと向かった。
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