御一行
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主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生 ユキヤの幼馴染。
唯 3年生 モデル並みの美貌の持ち主。
玲奈 1年生 ハーフ美女。留年している。金髪ゴリラ。
五日市先生(千春) かおりのお姉さん。
食事はレストランに行き、ブッフェスタイルでとのこで、全員で向かう。シティホテルというよりもスパが有ったり、プールが有ったり何でもありのリゾートホテルという方が正しいのかもしれない。外観からの敷居の高さからか、中はそうでもなくて、ちょっとホッとした。
レストランに着くと、ウェイターさんが席に案内してくれた。テーブルには何故か「手塚様御一行」とプレートが付いていた。そう言えば、レストランの正面にも何かそれっぽいものが掲示してたったような……。これはちょっと恥ずかしい。
「手塚様御一行……。ふふっ、ふふふっ。」
「唯さん、笑わないで。」
「あ、ごめんなさい。つい。」
「なんだか笑い上戸みたいになってますけど、もしかして……。」
「まだ、飲んでません!」
「いや、まだなんだ。」
いつも通りのやりとりをしつつ、料理の並ぶテーブルへ急ぐ。ここの料理は、一品一品の大きさは小さめだけれど、高級感がただよっていて、前回のホテルとは違う感じだ。魚介類もウニやアワビなどもあり、俺好みなので欲張ってしまう。
「ユッキーは、魚介類大好きだね。」
「そうだね。たまに食べ過ぎて食あたり起こすけどね。」
「本末転倒ですね。」
「そうですね。今日は種類が多いので偏らないように気をつけます。」
かおりは、色々と悩みながら料理を取っている。いつもこの味はなんとか、これはなんとか、みたいに自分で再現をしたらどうかと考えながらやっているようだ。実際かおりは料理上手だし、こんな子がお嫁さんだったら、いつも美味しいものを食べさせてくれるのかな?デザートは私とか言われたらもう、中腰です。
「ユッキー、なんかエッチな目をしているように見受けられますが。」
「そんなことないです。魚介です。」
鋭いかおりをけん制しつつ、テーブルに戻ると、すでに玲奈は食べ始めていた。
「玲奈って、あんまりお肉を食べてるイメージないね。」
「そうかな?嫌いじゃないよ。野菜が好きなだけだよ。」
「野菜好きで、この体……。」
「てっちゃん、心の声聞こえてる。」
「あっ、すいません。」
「いいよ。褒めてくれてるんでしょ?ありがと。」
こう言う感じだから、玲奈と一緒にいると楽なのかもしれない。他の3人には無い例内の良い所だと思う。でも俺は。
「ねえ、玲奈。俺、玲奈が金髪ゴリラって気づく前の丁寧な言葉で話をしてくれるのが結構気に入ってたんだけど。」
「うん、もう無理。だってもう、てっちゃんが私を認識しちゃったじゃん。あれは玲奈であって玲奈ではないのだよ。」
「それは残念だ……。」
「ユキ君は、どんな女性が好みなの?」
セナちゃんが唐突に質問する。
「そう言えば、ありきたりなのに一度もこの質問をしたことが無かったわね。」
「そうですね。どんな女性が好きなのユッキー。」
唯さんの言葉にかおりも同調する。
正直自分でもわからないかも。唯さんみたいな才色兼備なのにちょっと抜けている感じも好きだし、セナちゃんみたいに女性的で素直な子も好きだし、かおりのような、いつもそばに居て元気づけてくれる子も好きだし、玲奈みたいな金髪ゴリラも好きだし、俺、どんな女性が好きとかってないのかもしれないな。でも、しいて言うならば。
「どんな女性が好きと聞かれると、適切な答えを持ち合わせていないけれど、あえて言うならば、好きになった女性が好みの女性かな。」
「この中では?」
玲奈が突っ込んだ質問をする。そっか玲奈には言ってなかったことがあった。
「玲奈には言ったことなかったけど、俺、みんな同じくらい好きで今のところ1人を選ぶとかって考えられないんだ。でも、もし1人を好きになった時は、正直に打ち明けるから。」
「そっか、わかった。そこは恨みっこ無し?」
玲奈は、ここに居る女子全員に振った。
「恨まないけど、諦めない。」
セナちゃんの言葉に全員うなづく。この3人はもう見えない絆で繋がっていて、俺の出る幕もない。だから、玲奈は少し疎外感があるのかもしれないな。
「私も諦められないな。私も仲間に入れてよ。」
「玲奈、もうとっくに仲間だよ。あなたが入っている我慢グループっていうライングループは、特別な絆の証だからね。」
「良かった……。」
唯さんの言葉に、玲奈は少し涙ぐんでいる。いつも強そうに振舞っているけれど、俺が子供の頃から知っている金髪ゴリラは、ゴリラのように愛情深いけれど、周りを思いやり、配慮できる素敵な女性になっていた。
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