好奇心
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主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生 ユキヤの幼馴染。
唯 3年生 モデル並みの美貌の持ち主。
玲奈 1年生 ハーフ美女。留年している。金髪ゴリラ。
五日市先生(千春) かおりのお姉さん。
「おじゃましまーす。」
「ユキ君。いらっしゃい。」
家には、セナちゃんと玲奈しかいないようだ。いつも通り、応接間に通される。
「今日は、2人だけ?」
「そう、両親は出かけてるよ。夕方戻るって。お父さんは二日酔いです。」
「なるほど、家の父さんと同じということは、そういうことね。」
「そういうことです。」
昨日は、父さんとセナちゃんのお父さんで飲んでいたようだ。そう言えば、機材を借りたお礼を言いながら帰るとか言ってたけど、要するにこれが目的だったのね。
「親同士が仲が良いっていいなぁ。私のお父様は、日本語得意じゃないし。」
「玲奈、ユキ君のお父さんも英語話せるよ。」
「そうなの!?今度、是非ご一緒に。」
「お父さんに言っておくね。ユキ君のお父さんにも聞かないとだけど。」
「うちは平気。父さんは、相手が居ればよいのです。」
そんな話をしていると、唯さんとかおりがやってきた。
「こんにちはー。結局みんな揃っちゃったね。」
唯さんの言葉に苦笑いをしてしまった。みんな遊ぶ人が同じなのです。俺、男1人だけどいいのかな?
「そうそう昨日、話をしそびれちゃってて、たこ焼き屋さんの売り上げが結構な金額になったの。これを全部使うのもなんなので1部を残して寄付しても良いかな?」
「俺は賛成です。でも、少しは残しておいてください。ちょっとだけ贅沢したいです。」
「そうね。私たちの頑張りは残して寄付でいいかしら?」
唯さんの言葉に全員賛成した。俺たちが1泊2日で遊ぶにはこの程度あれば十分だし、日ごろの感謝を込めて、千春さんに1杯くらいはご馳走出来そうだ。
「せっかくみんな集合したんだし、旅行のお話ししましょう。」
唯さんの言葉に、疑問が浮かぶ。前に行った温泉旅館って聞いてたんだけど、変わったのかな?
「ユキ君に言い忘れていたことを思い出しました。私が言うことになっていました。ごめんなさい。」
「そうなの?別に良いよ、セナちゃん。で、どこになったの?」
「温泉は変わらないんだけど、温泉付きのホテルになりました。場所は、ちょっと近めです。」
「温泉なら問題ないよ。もうつかりたい……。」
「ユキ君、気が早い。」
今回の場所は、電車で2時間かからないくらいの温泉付きのホテル。ホテル内の設備も充実していて、プールがあるから水着持参とのこと、これは喜ばしい。。部屋も広い部屋が予約できたので期待してと、セナちゃんのお父さんから伝言付きだった。これは期待できる。
「週末が待ち遠しい。」
旅行の事が分かったことで安心したのか、また恋愛読本の疑問が頭に浮かび上がってくる。やはりこれは、みんなで共有したい。
「あの、恋愛読本について疑問があるのだけれど、どうして俺の場合、恋愛読本は読めないのにマニュアルの内容が出ないのかな?」
「確かに、唯の時もそうだったね。」
「星奈の言う通り、私がもっても出なかったことがある。もしかしたら、条件があるのかしら?」
セナちゃんからマニュアルを渡される。やっぱり内容が何も書いていない。これは、春子さんの意思でも働いているのかな?俺に見せたくない?それとも近くにいる中川家の人に見せたくない?みんなで考えて、恋をしている女子が読めないことを前提とし、いくつか仮説を立ててみた。
1、ユキヤが好きな人が読めない。
2、ユキヤが読めない。
3、1と2が内容を読めそうな場合は読めない。
とりあえず、この3つにしぼって観察してみることにした。
1に関しては、かおりが佐々木さんにお願いしてみると言っていた。なぜか玲奈の顔が微妙だったけど。
2は、ただの事実です。はい、読めません。これは一応父さんにお願いしてみる。
3は、内容を読めるようになった玲奈が琴宮さんに渡してみることで確認することにした。
ここまで絞れれば、何となく判ってくる……訳がない。無数に浮かんでくる仮説の中で試しやすそうなものだけピックアップした。
それにしても、春子さんと3人は血族なので疑いのない関係なんだけど、かおりは別として、俺との関係が一番よくわからない。4人が好きなのが、たまたま俺だったから俺が読めないのかもしれないし、でも、もしそうなら唯さんが最初に読めなかった理由が説明できないし……。パターンが沢山有りすぎて、これが分かったからと言って何も変わらないけれど、恋愛読本が読めない4人には丁度良い謎解きだし、旅行の間に話す良い話題になる。そういうことで、1から3を旅行までに実践して、結果は旅行の時に発表することにして、今日は解散した。
恋愛読本が読めれば、きっと分かることではあるけれど、俺たちを引き寄せてくれたこの本の内容に少しでも近づければ……。そんな想いと好奇心で満たされていた。
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