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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
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お越しいただきありがとうございます。

今回は久しぶりに星奈の主観です。

ブックマーク・評価等いただけると励みになります。

お楽しみください。


主要登場人物

ユキヤ  主人公。隙があって鈍感。

かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)

星奈  2年生 ユキヤの幼馴染。

唯   3年生 モデル並みの美貌の持ち主。

玲奈  1年生 ハーフ美女。留年している。金髪ゴリラ。

五日市先生(千春) かおりのお姉さん。

 タコ焼きパーティーが終わった後、たまには唯も家に遊びにくるとのことで珍しくユキ君を除いた4人で帰る。途中、かおりと別れ、3人になった時、沈黙を破るかのように玲奈が口を開いた。


「ところで、入った時から気になってたんだけど、このサークルの目的ってあるの?何となく、てっちゃんを守る為な気はしているけど、それだけじゃないよね?」


 玲奈は鋭い。でも、唯はともかくとして、消極的で目立たない私が、今日のように活動的になっているのを見ていれば、そう思うのも無理はないか。


「それは、星奈の家に着いたらお話ししましょ。」


 唯の言葉に玲奈はうなづく。私は、恋人獲得マニュアルの事、伝えても良いと思うんだけど、きっと玲奈にも反応するんだろうな。

 自宅に着くと、みんな油のにおいが嫌ということで、シャワーを浴びて落ち着いてから話をしようという事になる。私は、たこ焼きをひたすら焼いていたので、特に酷いと玲奈にいじられた。

 全員、シャワーを浴び終わり、食事をしてからリビングで話をすることになった。私としては、すべて話した方が良いと思っているのだけれど、唯はどう思ってるんだろう。

 最初に口火を切ったのは、玲奈だった。


「唯、恋愛読本って知ってる?」


 玲奈から突然でてきたその言葉に絶句した。玲奈は、既に恋愛読本を知っている……。でも、ずっと私の手元にあって、それを見るチャンスも無かったはず。では、なぜ存在を知っているの?混乱する。


「知ってる。今は、星奈のにあるよ。玲奈、ちょっと聞かせて。恋愛読本をどうして知っているの?」


 唯が私が聞きたかったことを質問してくれた。


「恋愛読本、春子さんの日記を初めて見たのは、小学校の頃。お仏壇のところに置いてあったのを読んだのが最初。」


「最後まで読んだの?」


「全然。最初の数ページくらいしか読む時間なかったの。」


「そうなんだ。それ以降は見てない?」


唯が続いて質問する。恋愛読本の中身を最後まで読んでいたとしたら……。


「数週間後に見た時には、恋人獲得マニュアルって本が置いてあって、恋愛読本は見当たらなかった。同じ本だということが判るまで少し時間が掛かったわ。」


「玲奈、それはいつ頃の話?」


「唯が聞きたいことは分かってる。てっちゃんと出会って少し経ったころにマニュアルになっていたよ。もうその頃、私はてっちゃんが大好きだったから。まあ、金髪ゴリラとか散々な言われようだったけどね。」


 笑いながら玲奈が話す。やっぱり玲奈もユキ君のことを好きだったんだ……。

 唯が続ける。


「マニュアルの内容はどうしてたの?」


「実はしばらく拝借してて、会うたびに実行していったよ。だからあと数ページだったと思う。」


 すごい。でも内容的にはどうだったんだろう。胸を触らせるとかもあったし、それは小学生には厳しいよね。聞いてみよう。


「どんな内容だった。」


「手を繋ぐとかそんな感じ。胸を触らせるっていうのもあったな。空手をやってたからわざと打突を食らったの。あの時は、ホント痛かった!」


 春子さん、絶対これ楽しんでる。玲奈は、空手をやっていたからスキンシップは比較的取りやすかったのかな?ちょっと羨ましい。


「でも、1つだけ出来なくて、そのまま会えなくなっちゃった。だから最近やっと達成できたから、先を見たくて。」


「その達成できた内容って?」


「……てっちゃんとキス。」


 やっぱりそうか。


「その時にマニュアルやってるか聞かれたから、誤魔化したけど、その必要は無かったで良いのかな?」


「うん。みんなもその内容クリアしてるよ。」


 唯の言葉に、玲奈は驚く。


「みんなすごいね。私、超不意打ちでしたのに……。てっちゃんはお願いしたらキスしてくれたの?」


 玲奈の言葉に疑問符が飛ぶ、すかさず唯が聞き返す。。


「キスしてくれた?」


「うん。違うの?」


 なぜしてくれたなのだろう。頬にするくらいなら構えることもないのに……。まさか!?


「玲奈、どこにキスしたの?」


「えっ?くちびるだけど、どうして?」


 玲奈の言葉に、2人とも時間が止まってしまった……。

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