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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
150/191

スーパー

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主要登場人物

ユキヤ  主人公。隙があって鈍感。

かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)

星奈  2年生 ユキヤの幼馴染。

唯   3年生 モデル並みの美貌の持ち主。

玲奈  1年生 ハーフ美女。留年している。金髪ゴリラ。

五日市先生(千春) かおりのお姉さん。

 タコパ当日、星奈に連絡を取ると星奈の家の近所にあるスーパーに来てほしいとのことなので、現地集合にしてもらう。

 午前中の内に、大半の準備を終わらせておかないといけない為、準備が大変だ。タープを広げ準備をしているが、1人ではなかなか上手くできない。父さんが1人で広げていたのを思い出し、不甲斐ない自分にちょっと嫌気がさし始めた頃、スマホが鳴った。


「もしもし。」


「ユッキー、今、何してるの?」


「準備中。ちょっと手こずってて。」


「さっき、みんなでラインしてたら、きっとユッキーのことだから1人で準備しようとするって話なって、役割分担を変更したの。」


「そうなの?俺、どうすればよい?」


「今から、私と玲奈ちゃんが行くから待ってて!」


 電話を切ると、少しほっとした。正直、星奈との待ち合わせに間に合わないかと思った。荷物を先に全部出してしまおう。

 しばらくすると、かおりと玲奈がやってきた。働く気満々だったのか、作業が出来る動き易い服装できてくれた。これは心強い。


「ありがとう2人とも。ちょっと困ってたんだよね。」


「じゃんけんの後、みんなで改めて考えたら支度するの誰ってことになって、買い物だけじゃないということに気づきました……。ちょっと浮かれててごめんね。」


 かおりの言葉に、嬉しくてちょっと感動してしまった。仲良くなってから、まだ半年くらいしか経っていなけれど、やっぱり、この仲間で良かったと思う。


「てっちゃん。取説とかある?」


「有るよ。見て出来そう?」


「たぶん平気。お父様が設営しているのを手伝っていたからね。星奈のところに行ってきて。」


 心強い玲奈の言葉に甘えて、買い物に向かわせてもらった。財布だけ持って、スーパーに向かう。夏の暑い中、走って行ったので汗だくになってしまった。帰ったら着替えないと。


「ごめん星奈。待った?」


「今、来たところだよ。」


 涼しいスーパーに入り、食材を吟味。あれ、星奈と2人のこの状況は、前の旅行でもあった。見知らぬ土地の初めて来たスーパーでキス。今考えると、もうちょっと色気があったらよかったかも。


「ねぇねぇ、ユキ君。なんか考えてる?私の話聞いてる?」


「あっごめん。キスしたスーパーのこと思い出してた。」


 うっかり口に出してしまった……。まずい。どういう顔をすれば良いかわからない。スルーしてくれれば良いんだけど。と、思った頃にはもう遅かった……。真っ赤になった星奈が出来上がっていた。これは気まずい。何か言わないと。


「次は、雰囲気の良いところでね。」


 また、やってしまった!何か言わないといけない気持ちが先走って、思っていたことを口走ってしまった。まるでキスをねだってるみたいになってしまった……。


「うん……。」


 言葉が少ないところが、逆に俺の緊張感を高める。もうこの話題に触れることは止めよう。絶対、またやらかす自信がある。

 しばらく沈黙している。星奈を一瞥すると、何やら考えているみたいだ。


「ねえ、ユキ君。またキスしても良いですか?」


「もちろん!」


 また、脊髄反射的に自分の願望を口に出してしまった……。俺のバカ!星奈だって、何言っていいかわからないじゃんか。まあ、星奈とキスしたいのは本音だけど。


「今度は、雰囲気を大事にするね。」


 あれ?なんだか返答が落ち着いた感じだ。さっきまでの真っ赤になってとかではなくて、何か腹を決めたような感じで俺を真っ直ぐに見つめていた。星奈の少し茶色がかった瞳に吸い込まれそうになってしまう。これ以上、この話題を続けるのは止めよう。


「星奈、粉を買いに行かないと。どんなのを買えば良いの?」


「こっちだよ!」


 話題を変えたことにより、キスのことをこれ以降は話さなかった。星奈は、俺とキスをしたいのかな?俺は、3人とも同じくらいキスもしたいと思っているけれど、俺からは、誰かと付き合うまではお預けにしておいた方が良いのかな?男としては、1人と思うけれど、今は3人共、同じくらいキスしてみたい……。

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