買物
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主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生 ユキヤの幼馴染。
唯 3年生 モデル並みの美貌の持ち主。
玲奈 1年生 ハーフ美女。留年している。金髪ゴリラ。
五日市先生(千春) かおりのお姉さん。
ターミナル駅には、女性向けのファッションを中心としたお店が無数にある。男物は全然ないのはどこの街でも同じだけれど、それにしても様々なブランドがあり、男の俺には全然わからない。
「ユキヤ君。どんなブランドが良いと思う?」
「唯さん、俺、全然わかりません。」
「だよね。歩きながら気になるお店を教えて。もちろん玲奈もね。」
「わかった。」
玲奈は、なんとなく緊張している感じだ。もしかしたら、自分の好みがあるのだけれど、他の人の反応がこわくて、言い出せないのかもしれない。これは、全然傾向が違うお店を俺から誘導した方が良いのかもしれない。
それから俺は、大人っぽいブランド、子供っぽいブランド、いかにもギャルっぽいブランドを勧めて回ってみる。でも、玲奈の反応はイマイチ。うーん。なかなかむつかしい。そんなことを考えながら歩いていると、玲奈がチラチラ見る方向があることが分かった。もしかして……。
「玲奈。ここなんてどう?入ってみる?」
「うん。」
そうか、こういう服が着たかったのか。
ここのブランドは、ガーリーな感じで俺でも知っている。どちらかというと10代向けで、女の子っぽい。かおりとも星奈とも違う感じで、可愛らしい服が多い印象だ。玲奈が着るとお人形さんみたいに可愛くなりそう。
お店に入ると、玲奈は他のお店の時とは違い、色々と見て回っている。本当は、このお店に入りたかったんだね。
「ユキヤ君、ありがとう。私、気づかなかった。」
唯さんが小声で伝えてきた。
「玲奈は、小さい頃からこういうの着たかったのかもしれないですね。今でも十分に似合いそうだから、じっくり付き合いましょう。」
玲奈は、色々と吟味して、試着しては俺たちに見せ、あれやこれや選んでいて楽しそうだ。こういう玲奈を俺は見たかったんだな。
「ねえ、てっちゃん!これはどう?」
ヒラヒラした感じのブラウスに、こちらもちょっとヒラヒラした感じのミニスカート。でも下品な感じではなく、可愛らしい感じ。とってもよく似合ってる。
「うん。可愛いよ。良く似合ってる。」
「これ買う……。」
こんな感じで、可愛らしい服を数着ご購入。結構はお値段だが、お嬢様なので問題無さそう。唯さんの反応を見ても、全然動じていなかったので、このお嬢様方には至って普通のお値段のようだ。俺には無理ですけどね。
同じように靴もご購入。靴はなんにでも合わせられそうな、ちょっと踵の高めなものを2足と普通のスニーカーを買った。しかし、俺の試練はここからだった……。
「てっちゃん、もうちょっと付き合って。」
そう言って玲奈は、俺の手を引き、お店に入った。こ、ここは……。
「下着売り場じゃん!」
「うん。そうだよ。どんなのが似合う??」
このパターンは全く予想していなかった。唯さんの方を見ると、何故か自らも選んでいる……。これは俺に選べと言うことなのか!?
「あの、俺が選ぶの?」
「当然!」
「当然!」
そうなのか……。やられっぱなしも良くないので、たまには仕返ししておかないと。ベッドの下の本で仕入れた知識を終結する。
「わかりました。唯さん、サイズはいくつ?」
「えっ?それは……。」
「だって、サイズが分からないと、選べないじゃないですか。玲奈も。」
「私は、65のD。」
玲奈が普通に答える。これは、俺の本では最高のスタイルに位置しているサイズだ。とつい凝視してしまう。
「てっちゃん。見過ぎ。」
「私は、65のC……。」
この二人はどんだけスタイルが良いんだ?俺の本知識では、そこまで細くて、そのカップは殆どいないって書いてあったぞ。
という訳で、しっかりと吟味し、玲奈には可愛い下着を、唯さんにはエッチな下着を勧める。玲奈はともかく、唯さんの反応は、ちょっと挙動不審になっていて面白かった。
「ユキヤ君の趣味って、わからない……。」
「あっ唯さん、今度、見せてくださいね!」
「……うん。」
良い反応頂いたので、唯さんへの反撃はこれで終わりにしておこう。玲奈は、ルンルンで会計を済ましていた。これで、ミッションコンプリートかな?
「ユキヤ君。今日はありがとう。私のまで、選んでもらっちゃって。」
「良いんです。俺も楽しかったです。唯さんの良い反応見れましたし。」
「エッチ。」
「てっちゃん。本当にありがとう。私、こういうの着たかったの。」
「良く似合ってたよ。今度、見せてね!」
3人で帰路に就く。途中で唯さんと別れ、俺たちの最寄駅へ。2人になると途端に玲奈が無口になる。俺の家に行く分岐に近づくと。
「てっちゃん。今日は本当にありがとう。あとこれお礼。」
そう言うと、背伸びをして俺の唇に軽くキスをしてきた。驚いて、固まってしまった。でもこの感覚は……。星奈に似た感じだ。もしかして、マニュアル始めてる??
「玲奈、マニュアルやってる?」
「えっ?何それ?」
「いや、知らなければ良いんだ。」
「?」
「お礼、ありがとね!」
「うん。てっちゃん!また明日!」
そう言って、玲奈と別れる。マニュアルをやってなくて、このお礼はやっぱりアメリカ生活のなせる業か。ファーストキスでは無いけれど、びっくりしてキョトンとしてしまったのは失敗だった。そんなことを考えながら家に着き、少ししたら玲奈からラインが来ていた。でっかいハートマークと共に、お家ついたよ、とのことだった。玲奈は、まだ仲良くなって間もないからイマイチ理解できていない。しばらくは調子を狂わされそうだ。
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