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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
137/191

ウラハラ

お越しいただきありがとうございます。

とうとう始まった学校。

さて、物語も少しづつ進展します。

ブックマーク・評価等いただけると励みになります。

お楽しみください。


主要登場人物

ユキヤ  主人公。隙があって鈍感。

かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)

星奈  2年生の先輩。ユキヤの幼馴染。

唯   3年生。モデル並みの美貌の持ち主。

五日市先生(千春) かおりのお姉さん。

「ユキヤ君。おつかれさま。」


 誰よりも先に唯さんが部室に来ていた。お茶の支度をしてくれていたようだ。


「おつかれさまです。唯さん。」


「夏休み終わっちゃったね。もう残念過ぎて……。」


「そうですね。お泊りとか楽しかったですね。色んな経験も出来ましたし。」


「そうだね。ひと夏の経験って感じ。」


 そう言って唯さんは、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。確かにひと夏の経験と言われるとちょっとエッチだ。たまには唯さんをいじってみるのもありかな。


「ひと夏の経験ってどんなですか?」


「えっ、ユキヤ君とキス……。」


 いじらなければ良かった……。自分の考えが浅はかだったことを悔やむと同時に、恥ずかしくて逆にうつむいてしまう。


「おつかれさまでーす!あれ、2人ともどうかしました?」


 いつも通り、元気よくかおりが入ってきた。タイミングが絶妙すぎます。


「う、ううん。何でもないの。お茶入れるねー! 」


 唯さん、なんかごめん。


「ユッキー、学園祭の話聞いた?」


「うん。明日、やりたいことを話し合うって。」


「高校の学園祭ってどんな事をするんだろう?帰ったらお姉ちゃんに聞いてみる。」


「うん。わかったらラインして。」


 かおりと学園祭の話をしていると、星奈が入ってくる。


「おつかれさま。」


「おつかれ。星奈、元気ないね。どうしたの?」


「蒸し暑くて……。制服が鬱陶しい。」


「脱いで頂いても良いですよ。」


「ユキ君のエッチ。」


 星奈に言われるとなんだか心地良い響きに感じるんだよね。くすぐったいというか、絶妙に恥ずかしさが伝わってくるというか。ちょっと元気出て来た。

 お茶が用意され、みんな定位置に座ると、話題は、学園祭の話になった。


「千春さんが、サークルとかを優先して良いって言ってたんだけど、どの程度優先していいの?」


「完全にサークルの方を優先して大丈夫。あまり部活は盛んではないし、私は毎年クラスの方に参加していたけど、3分の2はクラスに居たかな。」


 唯さんの話によると、部活・サークルで学園祭に参加するのは少数。そして、学園祭自体が盛り上がりに欠けるので、どこも力が入っていないという。体育祭もないし、学園祭もこれじゃ、ちょっとつまらないかもしれないけど、珍獣にとっては好都合なのかもしれない。


「何か出しものやりたい?」


 唯さんの言葉に一同口を噤む。やりたいと言って良いのかどうかという雰囲気もある。俺もなんとも言えない。


「唯さんは最後の学園祭ですけど、何かやりたいことは無いんですか?」


「私?うーん。学園祭って、どんなことするのか良く分からないから何して良いか……。」


「どうなんだろう。俺のイメージとしては模擬店やったりみたいな感じですけど、初春はどうなんです?」


「あんまりやってないかも。喫茶店的なのは少しあったけど、目新しさはないかな。」


 星奈の言葉から、あまり活気は伝わってこない。そうなると、自分のクラスで参加になるか。未だ琴宮さんくらいしか普通に話さないし、基本的に好奇の目にさらされるから憂鬱だな。


「部活の申請は明後日までだから、もしやりたいことが浮かんだら相談しましょ。」


 今日のところは、これで解散になった。と言っても帰りは一緒なので、本当に解散する訳ではないのだけれど、何やら星奈とかおりが話をしている。


「今日はちょっと、かおりと予定があるからここで。」


「ユッキー、また明日。」


 そう言って、2人とも反対側のホームに行ってしまった。買い物でもするのだろうか。唯さん抜きっていうのが珍しい感じだけれど、気まずい雰囲気を作ってしまったので、どんな話して良いか分からない。俺、何やってんだか。

 そう思っていると、突然唯さんが手を握ってきた。


「ユキヤ君にキスしてもらったのが嬉しかったの。お願いするのもドキドキだったし、きっと一生忘れない。こうやって、手を握ることも出来るようになったから、私にとっては急成長なのです!」


「そうなんですね。俺も手を繋ぐのは慣れちゃいました。こうやって歩いてると、他から見たら恋人同士みたいですね。」


 唯さんは急に手を離し、うつむいてしまった。


「手を繋ぎたくないわけじゃないの。意識してしまって……。今日はもう握れない……。」


 今度は、俺の方から手を握る。


「急に離されたので、今日は手を繋いで帰る。唯さんへのペナルティ。」


「ばか……。」


 そう言いながら、強く握り返してくる。唯さんの「ばか」は、言葉と行動が全く一致していない、なぜか心地の良い言葉だった。

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