サプライズ
お越しいただきありがとうございます。
友達にとって、そして恋人にとって、その日は特別か
日常か、少し違うかもしれませんね。そんなお話。
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主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生の先輩。ユキヤの幼馴染。
唯 3年生。モデル並みの美貌の持ち主。
五日市先生(千春) かおりのお姉さん。
「ここのプリンアラモードはやっぱりうまい!」
星奈が言うには、愛奈ちゃんは、4人分のケーキ代を残し、その日の夜に、下宿に戻ってしまったそうだ。そんなに急がなくても良かったのに。
「お姉ちゃんもお姉ちゃんなりの都合があるんでしょう。よく知らないけど。」
「愛奈ちゃんなんか言ってた?」
「3人によろしくって。後、バイトしてみようかなって言ってた。ユキ君なんか言った?」
「俺は別に。偶然、美澤さんに会って、合流したんだけど、その時にバイトをして視野が広がったっていうのを聞いたからじゃないかな。」
「そう言えば、美澤先生のこと言ってた。バイト始めたの?」
「そうなんだって。たまたま行ったファミレスがバイト先だった。で、初春高等部に就職が決まったんだって。唯さん知ってた?」
「1人新卒の先生が採用されたことは聞いたけど、まさか美澤先生だったのね。結構倍率厳しかったと思うんだけど、すごいね。」
「お姉ちゃんは何も言ってなかったなぁ。知らないのかも。内緒にしておこ。」
「そろそろ、新学期か……。もっと休みたい。むしろ終わらないで夏休み。」
唯さんの言葉に感情がこもりすぎている。よっぽど楽しかったのかな?高校最後の夏休みに貢献出来て良かった。今日みたいに中川家でお茶もたくさんさせてもらったし、少しは恩を返せたかな。
「夏休みが終わると何か行事ってあるんですか?」
かおりの言葉にそう言えば、体育祭とか学園祭みたいなのはあるのかな?ちょっと気になる。
「体育祭とか学園祭みたいなのはあるんですか?」
「体育祭は無いの。でも、有ったとしてもユキヤ君ただの見世物になるよ。」
「確かに。」
「学園祭はあるよ。でもサークルで何かやったりは余りないかな。学園祭中の学校に入るのはかなり大変だからね。チケットの配布もすごく制限されてるしね。極まれに男子が来たりするけど、あまりの女子の多さに直ぐ帰っちゃうわね。うちのサークルも何かやる?」
「うーん。どうしましょ。」
「みんなで考えておきましょう。」
学園祭か……。見世物状態になるのも嫌だし、唯さんが何かやりたいと言うなら協力するけれど、俺から自発的にっていうのは無いな。
「ユキ君。今日……。なんでもない。」
「どうしたの星奈?」
「ううん。良いの。そろそろ、帰ろうか。」
星奈の言葉で、今日は解散となった。かおりはバイトだしね。
電車で最寄り駅に向かう。学校がはじまったらまた、2人とくっ付いて通学できるのか。久しぶりに楽しみかも。
「じゃ2人ともまた、次は学校だね!」
「じゃかおり、バイトがんばって。」
かおりに手を振り、2人で歩き始めた。なんとなく、星奈が大人しい。まあ、2人になるのを待っていたのは俺なんだけどね。
少し歩いたところで、分岐する道がある。そこを入ると俺の自宅だ。
「じゃユキ君。またね。」
「うん。星奈ちょっとまって。」
鞄からプレゼントラッピングされた袋を出す。
「星奈。誕生日おめでとう。」
「ユキ君。覚えてたの?」
「もちろん。開けてみて。」
ちょっと泣きそうな星奈が包装を解き、袋を開ける。
「これ、ピアス……。ユキ君気づいてたの?」
「夏休み前に開けたのに気付いたんだ。いつも耳は髪であまり見えないからね。」
「ありがとう……。大切にするね。」
そう言うと、星奈はハグしてきた。心地良いのは置いておいて、ここ家の近所なのですけど……。
「星奈。ここ家の近所。」
「もうちょっと。」
星奈はなかなか頑固だ。もう好きにしてください……。
「ありがとユキ君。」
「じゃ星奈、また学校でね。」
「うん。ユキ君の誕生日は、4月だもんね。来年期待してて!」
「ありがとう!じゃ気を付けて!」
そう言って、星奈と別れる。
今年の夏休みは本当に楽しかった。3人と沢山の思い出が出来た。
これで女性不信が少し和らげば良いんだけど、まだ無理そうだ……。
新学期、また憂鬱な日々が始まる……。
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