カミングアウト
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愛奈主観です。味しないかもです。
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主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生の先輩。ユキヤの幼馴染。
唯 3年生。モデル並みの美貌の持ち主。
五日市先生(千春) かおりのお姉さん。
「え、あっ、はじめまして、手塚です。こちらこそよろしくお願いします。」
ユキ君が困ってる……。確かに男友達を紹介すると言っていたから、男性には慣れているんだと思うけど、この反応は、私並みに慣れてない気がする。
「……。」
美羽は黙ってしまった。これは、予想していなかった事態だ。とりあえず、ユキ君とは初対面だし、私がうまくリードしないと。
「美羽、なんだか変だけど、体調悪い?」
「違うの、男の子に慣れなくて……。」
え?私に男の子紹介したいって言ってなかったっけ?
「えっと、私に男の子を紹介させてって言ってなかったっけ?その方は友達ではないの?」
「うん。従姉の友達。私、ずっと女子高で男の子と殆んどお話ししたことが無くて……。」
もしかして、私、普通に事情を話していれば、それで事が穏便に済んだとか?私の勝手な思い込みで何だか色々な人を巻き込んで、迷惑を掛けてしまった……。
ユキ君が何かを悟ったかのように私に耳打ちをしてくる。
「愛奈ちゃん。もしかして、早とちりした?そうなら彼女に本当のことを言っても良いんじゃない?」
「そうなんだけど、これで友達じゃなくなってしまったら怖い。」
「その程度で壊れるくらいの友情なら、遅かれ早かれ壊れると思うよ。」
ユキ君のいう通りだ……。それに私も後ろめたい気持ちがあるし、すっきりしない。いっその事、楽になってしまうのも良いかな。
「美羽。私、あなたに謝らなければいけないことがあるの。」
「どうしたの?」
「実は、地元に彼氏が居るっていうのは嘘。彼は私の妹の友達。今日の為に協力してもらったの。私、紹介してくれるという男の子のことを、見せてもらった時、私の苦手なタイプだったんだけど、どうしてもストレートに断り難くて、咄嗟に嘘をついてしまったの。本当にごめんなさい。ユキ君もごめんなさい。」
頭を下げたまま、美羽のことが見れない。なんて、愚かなことを私はしてしまったんだろう。星奈たちにも迷惑を掛けてしまった……。
「愛奈。頭を上げて。私も自分が男の子に慣れていないのに、紹介するなんて言ってごめんなさい。」
友達のままで居られる……良かった。もしかしたら、私はもっとこの子と仲良くなれるのかもしれない。
「丸く収まったという事で良いよね?愛奈ちゃん、1つ訂正してもらいたいんだけど。」
「えっ?」
「俺と星奈は友達だけど、愛奈ちゃんとも友達のつもりだったんだけど……。」
「はいっ!私は、ユキ君の友達です!」
ユキ君がモテると星奈たちが言っていたことを私も理解しました。
「男友達……。愛奈が羨ましい……。私、おしゃべるするのもままならない。」
「美羽さん。それなら今日は、3人で普通に遊びませんか?もしかしたら、俺と話すことで少しでも改善できるかもしれませんし。」
「良いんですか!?実は、愛奈の彼氏に会いたいと言ったのは、私も普通の女子大生みたいに男友達と遊んだり、彼氏を作ったりしてみたくて、参考にさせてもらおうと思ってたんです。是非、お願いします!」
「愛奈ちゃん。それで良いよね?」
「うん。ユキ君。ありがとう。」
ユキ君ってなんでこんなに大人っぽいんだろう?まだ高校1年生なのに。そうだ、美羽には言っておかないと、ギャップが生まれると良くないものね。
「美羽。ユキ君は高校1年生なので、あまり過激な発言は控えてね。」
「えっ!?高校1年生なの!?大人っぽいから同じくらいかと思ってた。」
「愛奈ちゃん。傷つくのでそれくらいにしておいてください……。」
「いや、あの、わかりました。」
謝ったらそれでも傷つくだろうし、難しいところだわ。
「じゃユキ君。とりあえず、食事に行きましょう。美羽もそれで良いよね?」
「うん。私、男の子と食事するの初めて。」
「えっ、それ本当ですか?」
ユキ君が目を丸くして質問する。でも、私たちのように、ずっと女子高だとそれも珍しいことではないのです。
「はい……。味しないかもです……。」
「何か好きな食べ物とかありますか?」
「何でも大丈夫です。よろしくお願いします。」
ユキ君は何かを考えてるようだ。もしかしたら予定を変更するのかもしれない。もう、この辺は、私よりユキ君が主導権を握った方が良さそうだから、従うまでです。と若干卑屈になりそうな自分を慰めながら、歩き始めた。
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