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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
130/191

迷走2

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主要登場人物

ユキヤ  主人公。隙があって鈍感。

かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)

星奈  2年生の先輩。ユキヤの幼馴染。

唯   3年生。モデル並みの美貌の持ち主。

五日市先生(千春) かおりのお姉さん。

“ユキ君。私の友達の名前は、五十嵐美羽いがらし みうです。”


動揺にかき消されて、言い忘れてた……。

支度に時間が掛かり過ぎて、ちょっと遅れそうなのに待ち合わせをユキ君に合わせて、私鉄にしてしまったので、更に遠い。もう汗かいても仕方ない!遅れるよりマシだから走る!!


駅前に近づくと、ユキ君らし人影が待っていた。ダメだ私……。


「ユキ君。ごめん……。遅れちゃった。」


「愛奈ちゃん。気にしてないから取り合えず、汗拭こう。」


ユキ君の言葉に自分が汗まみれなことに気が付いた。気温35度近く。それはそうなりますよ。


「待ち合わせ時間には、まだあるから、ルポで休みましょうか。電車の時間見ていれば、コーヒー一杯くらい飲めるし。」


ユキ君の言葉にうなづくのが精いっぱい。私より3歳も下なのに、この落ち着きはなんですの?


「いらっしゃいませー!あっユッキー。」


「かおり、おつかれ。ちょっと涼みに来たよ。アイスコーヒーとアイスティーください。」


「はーい!かしこまりましたー。」


かおりちゃん、今日はバイトだったのね。なんだか緊張する。席につくと、とりあえず呼吸を整えて、汗を拭く。


「愛奈ちゃん、緊張しないで自然体でね。」


「うん。ユキ君。ありがとう。で、ユキ君は私と同い年設定なのでよろしくです。」


「大学生ってことね。OKです。大学は近いところで東光大で良いよね?」


「うん。あとは、美羽がどんな反応するか……。」


時間が近づいてきたので立ち上がると、


「愛奈さん。がんばってくださいね!」


「かおりちゃんありがとう。もうドキドキで若干気持ち悪くなってきたけど頑張ります。」


かおりちゃん、なんて良い子なの。星奈が気に入るのも無理ないわ。期待に応えられるように振舞わないと。


「じゃかおり、バイト頑張って!」


「うん。ユッキーまたね!」


この2人のやり取りを見ていると、恋人同士にしか見えないくらい自然なんだけど……。私にこれが出来る気がしないわ。

 電車に乗り、待ち合わせ場所に向かう。途中でユキ君が緊張を和らげようと色々話してくれるのだけれど、2人きりというのがもう緊張するのでたどたどしい、返ししかできない。


「愛奈ちゃん。俺たち今日は恋人同士なんだから、もっと自信もって。」


「うん……。ユキ君。心配させてごめんなさい。」


本当に私が不甲斐なくて、ちょっと泣きそうになる。そう思った瞬間。ユキ君が手を繋いできた。


「愛奈ちゃん。これくらい恋人同士なら普通。緊張しないで。」


「うん……。」


男の子と手を繋いだのなんて小学校以来だ。大きい手……。なんだか安心する。ドキドキするけど。


「ユキ君。ちょっと落ち着いてきた。」


「うん。じゃこのまま行こう。」


この子は私の知っているユキ君だろうか?小さい頃は、星奈と2人でずっと遊んでて、ちょっとやんちゃで、たまに星奈を泣かしてたけど、その度に反省してすごく謝ってた。車に轢かれたと聞いた時、あの元気な子には会えないんだとがっかりした。でも、私なんかより星奈の絶望は凄かった。あんな星奈を見た事がなかった。声も発さないし、何も反応しない。唯のところに行ってやっと声が出るようになったと思ったら、事故の事を完全に忘れていた。記憶を封印したんだとお医者様は仰っていたそうだけど、本当にそんな感じだった。星奈はユキ君に再会して、どう思ったんだろう?帰ったら聞いてみよう。そんなことを考えている間に待ち合わせ場所に到着した。


「愛奈ちゃん。その友達ってあの子?」


遠くに見覚えのあるシルエットが浮かんでいる。


「そう彼女が私の友達。」


2人で歩きながら近づいて行くと。


「美羽!ひさしぶり。」


「愛奈……。ひ、ひさしぶり。」


ん?なんか反応がおかしい。


「こちら手塚ユキヤ君。私の彼。」


よし!!昨日練習しただけあって、すんなり言えた!私えらい!!!


「は、は、はじめまして……。い、いが、いがらし、み、みうです。」


私は、この微妙過ぎる反応が波乱の幕開けであることを理解するまでにそう時間はかからなかった……。

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