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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
124/191

その夜

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主要登場人物

ユキヤ  主人公。隙があって鈍感。

かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)

星奈  2年生の先輩。ユキヤの幼馴染。

唯   3年生。モデル並みの美貌の持ち主。

五日市先生(千春) かおりのお姉さん。

缶を開けて、飲まずにそのままにしてオードブルを食べていた。飲み物に手を伸ばすと、既に結構軽い。よく見ると、星奈のグラスに何の飲み物かわからないが、注がれている。もしかして。


「星奈、もしかして、お酒飲んでる?」


「うん……。ちょっとキツイ。」


「どうして!?」


「ユキ君飲み過ぎるから……。」


「ごめん。なんか心配させてたみたいだね。その飲み物は俺が飲むけど、これで終わりにするから。」


「うん。もう飲めない。」


そう言って、星奈はもたれかかってきた。俺の勢いで心配させて分からないように、自分に注いでいたらしい。


「お水飲んで、少し休んでな。」


星奈はうなずくと深く息をした。


「今日の食事は星奈が全部作ったの?」


「私は、簡単なものだけ。あとは持ち寄ったりだよ。」


星奈の言葉に千春さんがつづく。


「私は、とっても助かる。来栖さんと中川さんがめったに食べられないものを持ってきてくれたしね。」


たしかに。なんか輸入食品っぽいのが並んでる。


「レバーパテ好きなのでうれしいです。父さんがおつまみで食べてると一緒になって食べてます。」


「手塚のお父さんはどんな仕事をしてるの?」


「父さんは商社で仕事をしてます。若い頃は海外ばかりだったみたいですけど、最近の拠点は日本ですね。」


「そうなんだ。一度一緒に飲んでみたいものだね。」


「星奈のお父さんとは飲み友達ですね。」


「星奈のお父さんと私のお父さんもたまに飲んでるって言ってたよ。」


「唯さんのお父さんと?じゃ知り合いかもしれないですね。」


「そうだね。今度聞いてみる。」


「手塚のお父さんの話を聞いていると、なんだかすごくワイルドで男気溢れる感じがするんだけど、そんな感じなの?」


「んー。男気溢れるかどうかはわかりませんけど、モテるタイプではないです。本人も言っていましたし。」


「そうなんだ!どうして?」


「父さん多趣味で、女の人そっちのけで遊んでしまうタイプなんです。だから母さんと結婚した時も奇跡だったとか言ってました。」


「どうやって知り合ったんだろうね。」


千春さんが興味津々だ。酔っぱらった勢いで話してしまおう。


「母さんから猛アタックを受けたそうです。それでも父さんは全然反応が無くて。知り合う切っ掛けとしては、母さんは違う会社に勤めてて、結構人気があったらしいんですけど、取引先の父さんが道端で喧嘩の仲裁をしていて殴られているのを見て、警察にでも任せておけば良いのに、あの人バカだなって思いながらも気になって観察してたみたいです。」


「お母さん、なかなか冷静だね。そして辛辣。」


千春さんの言葉に一同うなづく。


「殴られても説得して、殴った人が父さんに謝って、喧嘩していた両方が謝って、治めてしまったそうです。でその後、父さんが柔道の有段者で、正義感が強いってことを会社の人から聞いたそうで、それから興味が出たらしいんですけど、父さんそのころ仕事に夢中で、女の人に全然興味なかったそうなんです。」


「どっかの誰かさんとは結構違うわね。」


千春さん耳が痛い。


「で、少しづつ話すようになって、でも父さんは興味なしで。それをずっと続けてたそうで、ある時父さんの海外赴任が決まって、その話を耳にした母さんが、父さんに告白したそうです。私を振るか、一緒に連れて行くかどっちかにしろ、って。」


「あのお母さんからは想像が付かない……。」


かおりの言葉に星奈もうなづく。


「そうしたら父さん、何を思ったか、一緒に行きましょうって言って。結局、海外赴任の話が延期になってしまって、その間に結婚したって言ってました。」


「なんだか勢いがすごいわね。2人してパワフル。仲は良いの?」


千春さんが感心したように言った。


「夫婦仲は良いですよ。まあ、母さんが父さんを掌で転がしている感じではありますけどね。」


「参考にしておく。」


かおりが呟いた。まあ聞かなかったことにしておこう。お泊りになったきっかけは、ちょっと不本意だったけど、いつものメンバーで泊るのは楽しいからいいや。そんなことを考えながら、夜は更けていった。

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