怒
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友人のことを馬鹿にされてると自分の事以上に腹が立ちますね。
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主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生の先輩。ユキヤの幼馴染。
唯 3年生。モデル並みの美貌の持ち主。
五日市先生(千春) かおりのお姉さん。
「ねえ、ユキヤ君。男子って、女子を簡単に捨てたりするの?」
「人によるとしか言いようがないですね……。」
唯さんの質問に答えるが、なんとも言い難い内容だ。
「ただ、今回かおりに告白した人は、そういう人間なんでしょうね。俺、そもそも、そんな発想がないですもん。」
「そうだよね。ユッキーの口からそういう言葉が出ることが想像できない。」
「その人、かおりの事を大切に思っていないんだろうね。それこそ飽きたらヤリ捨てなんじゃないかな。人として最低なタイプだね。」
ちょっと我慢していたことを言ってしまった。俺も腹が立っていることもあるのです。
「ユキ君。怒ってるでしょ?かおりとは違う理由で。」
「そうなの?」
唯さん、そうなんですよ。俺、実は怒っているんです。
「うん。かおりにそんな適当な気持ちで告白してきたことに一番怒ってる。ホント、ハラワタ煮えくり返ってる。千春さん、この塩辛おいしい。」
「私も姉として結構怒ってるよ。本人居たら殴ってるね。それスーパーの特売品。」
「ありがと。私は気にしてないよ。それより、ユッキーを馬鹿にされたことがくやしい。」
「俺のことは気にしなくて良いよ。かおりの方が心配。そこのレバーパテ取って。」
「私も気にしなくていいよ。もう思い出したくもないし。レバーパテ、クラッカーよりトーストの方がおいしいかも。」
「えっそうなの?じゃトーストもください。」
「ユッキー。おなか減ってたの?」
「ん?腹が立って収まらないのと、おいしいので夢中です。」
「で、君が夢中で食べてるときに一緒に飲んでいるのは何でしょう。2杯目?」
「千春さん、今日は黙認してください。ホントは結構、腹立ってて。」
そうは言いつつも、お酒の減りが早い気がするんだけど。
「仕方ないね。付き合いましょう。」
「ユキ君。もし目の前で言われたらどうする。」
星奈の言葉に、例の男のせいで血がのぼっていた俺は。
「目の前でキスして見せつける。」
「うん。酔っ払いめ。まあ、大目にみるけど。」
今、きわどい質問しないで。俺もちょっと言い過ぎた。
「実際は、殴りかかるかもね。見せつけるなんて、相手の意思も確認しないで出来ないよ。」
「びっくりした。ユッキーから見せつけるなんて言葉が出たから、らしくないと思って。」
かおりは本当に驚いたようだ。血が上った時ほどクールにならないと。
「ごめん。ちょっと血がのぼってしまって。反省します。」
「そう言えば、千春さん連日お泊りしてしまって良いんですか?なんかすいません。」
「別に構わないよ。今回はかおりが心配で来てくれてるみたいだしね。葡萄おいしいし。」
千春さんが俺たちに理解があってよかった。若干不良先生だけどね。幸か不幸か、寝袋をここに忘れて帰ったので、そのまま寝られるのは丁度良かった。今日は、星奈の横に寝ないように気を付けよう……。
「そう言えば、星奈。今日は愛奈ちゃんに何も言われなかったの?」
「言われたよ。いってらっしゃーい、だって。相手がユキ君だと分かったら軽いもんです。」
「ハハ。信用されているようで何よりです。」
お泊りばかりしているから、ちょっと心配だったんだよな。まあ、俺の親はその辺り適当だけれど。
「唯さんところは大丈夫なの?」
「私はあんまり言われたことないかな。というか、ユキヤ君とかおりちゃんに会うまで、あんまり外で遊ぶことも無かったし、出かけても星奈とが多かったりだしね。そんなだったから、逆に両親は喜んでいるかもしれない。」
「私は、別人のように扱われてる。夏休みに友達と出かけるとか無かったし、お父さんに旅行の相談したら、驚いてお酒吹いてたし。」
失礼だけど、星奈はなんとなくわかる気がする。
「俺は入学初日にかおりが迎えに来た時が一番びっくりされた。」
「私もかなり勇気が必要でした……。」
かおりの言葉に手を繋いで駅まで行ったことを思い出した。俺のことを想い勇気を振り絞ってかおりがしてくれたことを俺は、恩に感じているし、この子を裏切ることなんて出来ない。そう思いながら、3本目に手をかけた。
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