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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
121/191

赤く

お越しいただきありがとうございます。

泣いた後は、すぐにわかります。

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お楽しみください。


主要登場人物

ユキヤ  主人公。隙があって鈍感。

かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)

星奈  2年生の先輩。ユキヤの幼馴染。

唯   3年生。モデル並みの美貌の持ち主。

五日市先生(千春) かおりのお姉さん。

一足先にバイト先に向かう。

みんな起きていたけれど、荷物をまとめ、千春さんに挨拶してから早めに外出した。途中、自宅に寄り荷物を置き、一通りの支度を身支度を済ませてから改めて出かけたので、五日市家の負担は最小限で済んだと思う。

 ルポに到着すると、今日の午前中は、バイトが俺1人なので、慌ただしく開店準備を始める。もう慣れたもので、自分が作業をしていて気になるところを改善する様な提案をしたり、情報交換ノートに目を通すことも出来るようになった。我ながら成長したものだ。

 午前中のホール担当が1人というのは、正直忙しいけれど、昼からはかおりが来るので、それまでがんばろう。


「いらっしゃいませー!あ、かおりおつかれ!」


かおりの様子がいつもと違い変だ。泣いた後なのか目と鼻が赤い。


「どうした?何かあった?」


「うん。帰りに話す。」


 そう言うと、更衣室に入ってしまった……。たしか、告白の返事をしに行った筈だ。それで何かあったのかもしれない。

 更衣室から出て来たかおりは、少し元気がなかったが、直ぐにいつも通りに戻った。帰りまで我慢して、話を聞こう。それにしても、返事をするだけなのに、どうして泣くような事態になったのだろう。場合によっては、その相手を許さないのだが。

 夏休み中のルポは、平日なのに学生のお客さんが多いからか繁盛している。クラスメイトもチラホラ来るのでちょっと緊張するし、話をしている時、かおりの視線が若干痛い。いつも通りのかおりに戻ったのなら、それで良いけどね。

 今日のバイト終了時間は2人とも一緒なので、先にかおりに着替えてもらう。かおりと入れ違いで俺が入ると、またかおりの目が赤くなっていた。やっぱり気になる。着替え後、マスターに挨拶をして、急いで外に出る。


「おまたせ。何かあった?」


俺の声に安心したのか、泣き出してしまった。なだめながら歩き始めたが、ちょっと落ち着きそうにない。まだ、時間も早いので一旦俺の家に行き、話をすることにした。

 自宅に着いて、アイスコーヒーを淹れる。


「ルポみたいにおいしいコーヒーじゃないけど。」


かおりは首を振って否定した。


「何かあった?」


涙を拭きながら何かを考えているようだった。しばらくすると、意を決したようで口を開いた。


「今日、告白の返事を伝えに行ったの。相手は男子だし、刺激しないように断ったんだけど、私とユッキーが仲良くしていることと、ユッキーが初春でうわさの人だってことを知っていて、捨て台詞を吐かれたの。」


噂の人……。不本意だ。どんな噂になっているのかとても気になるところだけれど、そこはスルーしよう……。


「どんな捨て台詞?」


「女目当てで初春に入った手塚のことだから、どうせすぐに飽きられてヤリ捨てられる。そうやって後悔してろって。」


うん。前半部分は間違いない。そこは否定のしようがないけど、ヤリ捨てって人聞きの悪い……。そんなこと出来る人なら、そもそもかおりと仲良くなれないと思うんだけど。見る目ない男だな。


「かおりは、俺のことを悪く言われたのが嫌だったの?」


「うん……。」


かおりは、何か考えているようだ。他にも何かあるのかな。


「ユッキー、今日も泊まりに来て。みんなと話したい。」


「良いけど、千春さんは大丈夫なの?」


「うん。連絡してある。唯さんと星奈さんも呼んである。」


そうか。何か3人含めて話をしたいような内容なのだろう。2日連続で女子の家にお泊りは、気分的に抵抗があるけれど、この状況では拒否出来ないな。


「毎回、ごちそうになって悪いから、何か買っていこうか?」


「大丈夫。今日も星奈さんがもう作ってる。」


たまには手土産でも持って行こう。そうだ、まだ葡萄がある。


「かおり、葡萄好き?」


「うん。お姉ちゃんも好き。」


「じゃ少しだけど、挨拶代わり持って行くよ。」


「ありがと。お姉ちゃんも喜ぶよ。」


それから、身支度とお泊りセット、手土産の葡萄を準備して、かおりの家に向かった。

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