おうちデート
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主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生の先輩。ユキヤの幼馴染。
唯 3年生。モデル並みの美貌の持ち主。
五日市先生(千春) かおりのお姉さん。
翌朝には熱も下がり、ほぼ完治状態になっていた。やはり最近のイベント目白押しで、少々疲れがたまっていたらしい。カレーは残念だったけど、おいしいおかゆが食べられたので良かった。
今日は、バイトも無いし少しゆっくり過ごそう。でも、かおり達に元気になったことを連絡しておく。ラインを入れると、直ぐにかおりから連絡が来た。
“今日、遊びに行っていい?”
あれ?かおりはデートしたいって言ってたと思うんだけど。
“デートじゃなくて?”
そう返すと、直ぐに返信が来た。
“お家デートが良い!”
外は暑いし、まあ、家なら涼しいけど、俺の家、特に遊ぶものとかないのだけれど。ちょっと買い出しに行って、映画とか見ればよいかな?
“良いよ。じゃ買い出し行っておくよ。”
直ぐにスタンプで帰ってきた。1時間後に来るということで、少し部屋の掃除をして、買い出しに行く。かおりは、フルーツが好きなのでフルーツ系のアイスと少しお菓子を買ってきた。
ピンポーン
呼び鈴が鳴り玄関に行くと、いつもとちょっと違うかおりが立っていた。
「雰囲気違うね。あと久しぶりのメガネだ。」
「うん。ユッキーの家なら電車も乗らないし、殆ど誰にも会わないから。」
ファッションは、大人っぽくて落ち着いた感じ。あとメガネを掛けているけれど、なんというか知的な感じでこれはこれで、魅力的だ。長めのスカートなので、ちょっと残念と言えば、そうなんだけれど、座布団に座るのでこっちの方が落ち着く。気にしてくれていたのかな。
「どうぞ、あがって。」
台所から冷えた飲み物を持ち2階にあがる。部屋はエアコンをつけてあるので心地よくすずしくなっていた。
「ねえ、かおり、お家デートで良かったの?」
「うん。すこし落ち着いてお話したかったから。」
「そうなんだ。確かにかおりと2人っきりってあんまりないよね。」
「そうかもね。でもバイトも一緒だし。思っている以上に一緒に居る気がするね。」
テーブルを囲んで、学校の話、サークルの話、バイトの話、共通の話題が多いかおりなので、俺との話題は尽きないし、楽しい。もう3人の誰と一緒に居ても緊張したりは無いけれど、完全に2人の空間で一番緊張しなくて済むのは、かおりかもしれない。
「ねえユッキー、映画見たい。」
「うん。良いよ。何が見たい?」
「ホラー。」
「え?ホラー平気なの?」
「全然ダメ。でも少し涼しくなるかもでしょ?」
「確かにそうだね。」
俺の部屋のテレビはネットに繋いであるので、オンデマンドで映画を見ることができる。まあ、契約している父さんのおかげなんだけれど。数年前に流行っていた、日本のホラーを見ることにした。
テーブルを端に寄せ、2人とも座布団を並べる。見る前に2人ともトイレに行き、準備万端だ。
かおりは、既に俺にしがみついている。まだ、本編が始まっていないのだが……。
映画は、怖かった……。かおりは悲鳴を上げながらしがみついて来るし、俺も怖いから手を握ってたし、何というか、色々とやわらかくて気持ちよかったはずなのに、怖さでそれどころではなかったことが、とても残念だった……。
「これ、本当に怖かったね……。」
「うん。見ようとか言ったのにちょっと怖すぎた……。」
時間は、まだ4時前。時間はまだあるので、また、お茶をしながらおしゃべりをしていた。お家デートだけれども、夜の食事はどうしよう。
「かおり、夜ご飯どうする?」
「どうしようかな……。」
「俺、夜も1人だから、できれば一緒に食べたいんだけれど、よいかな?」
「ユッキーがそう言うなら……。」
「ちゃんと家まで送って行くから、安心して。」
「うん。」
「あのね。ユッキー。私、今日、ユッキーに大切な話が有って来たの。」
少し涙を浮かべたかおりの瞳が俺をまっすぐ見つめている。
これから聞く内容が、動揺している俺を混乱と不安の渦に巻き込むには、十分な内容だった。
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