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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
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一緒に帰ろう

お越しいただきありがとうございます。


知らない異性に話掛けられるとうれしいです。

これからどんな関係になるのかという期待と不安がたまりません。

そんなお話。

評価等いただけると励みになります。

それでは、お楽しみください。


主要登場人物

ユキヤ  主人公。隙があって鈍感。

かおり ユキヤの中学からの同級生。

星奈  2年生の先輩。ユキヤに付き合ってと言って保留にされている。

唯   3年生。モデル並みの美貌の持ち主。

五日市先生 かおりのお姉さん。



星奈からラインなんて始めてだ。

何か困ったことでもあったのだろうか?

心配になり、俺から電話をする。


「もしもし。」


「もしもし、夜分遅くにごめんなさい。

どうしても伝えたいことがあって。」


「何かあった?」


少し緊張しながら聞いてみた。


「今日の放課後、マニュアルを見てみたら

2ページ目の内容が変わっていたの。」


内容が変わった!?

人によって文章が変わることは、認識済みだけど

今までと内容が変わることは全く予想していなかった。


「どんな風に、変わったの?」


「みんなが一緒の時に話す。ごめん。」


「そっか。でも教えてくれてありがとう。」


「うん。夜遅くにごめん。折を見て、みんなに話すね。」


「うん。じゃ明日のお昼にテラスで。おやすみ。」


「おやすみなさい。」


そう言って、電話を切った。

やっぱり、マニュアルの不思議現象は、

俺たちの間だけの秘密にした方が良いかもしれない。

周りが知ると、何か良からぬことになりそうな気がする。


そんなことを考えながら、眠りについた。



翌朝、いつも通り玄関を出ると

かおりと星奈が何やらゴソゴソとやり取りしている途中であった。

一瞬、何をしていたのか聞こうと思ったけれど、女子同士だから

俺が聞くのもどうかな?と思い、挨拶だけに留めた。


三人で登校するのも大分慣れてきたし、

入学から数日経つと、慣れたのか電車もゆとりが出てきて

超満員ではなくなってきた。

二人との距離が出来て、少し残念だ。


学校に入り、二人と別れ、自分の教室を目指す。


昨日、思わず言ってしまったサークル活動をどうやって誤魔化すか。

あと、マニュアルのこと。

星奈は、彼女に何かでるかもとは言っていたけれど

2ページ目を内緒にしたり、多くは語らないところを見ると

きっと、本意ではないだろう。

お昼までに、考えをまとめてどうにかしないとな。


「おはよう。ユキヤ君!」


「おはよう。佐藤さん」


「葵です。あ・お・い。」


「はは、もう少し慣れたらね。」


まだ、少し壁を作っておかないと

自分がボロを出してしまいそうだ。


「お昼、よろしくね!」


「うん。案内するよ。」


しまった。唯さんに伝えてない。

今からライン送っても、もう遅いよな。失敗した・・・。



お昼のベルが鳴る。


結局、良い考えは浮かばなかった・・。

でも、どうしても隠さなければいけないことがある。

マニュアルの存在だ。

これを知らせるには、リスクが高いし、

2ページ目を隠している二人を、困らせることになる。

あとは、運を天に任せよう。


「行こう!ユキヤ君。」


俺たちは、テラスに向かう。


到着すると、唯さん含め既に全員来ていた。


「えっ。中川先輩・・。」


ん?葵の様子がおかしい。

そうか、葵はエスカレーター組だから

唯さんを知っているのか。


「あれ?あなたは佐藤さん?」


やっぱり知り合いみたいだ。

これは、使える。

食事をはじめると、かおりが質問した。


「二人は、知り合いなの?」


「中学の頃に同じ部活をしてたの。」


唯さんが答える。

学校が比較的小規模だから、そういうこともあるよな。


「先輩、何の部活をやってたんですか?」


かおりが興味深そうに聞いている。


「華道部だよ。今は、お教室でやってるの。」


唯さん似合いすぎです。

それにしても葵が静かなのが気になる。

その方が良いのだけれど・・・。


「えっと、そのサークルというのは中川先輩も?」


まずい。その質問をされるとちょっと困る。

唯さんにはまだ、内容を伝えられてない。


「そうだよ~。私主催なの。」


ごく自然に、唯さんから出た言葉に驚いた。

誰か伝えておいてくれたのか・・・。


「そうだったんですね。で、マニュアルって?」


これもまずい。でも、もうどうにも出来ない!


「これよ。」


星奈が鞄から本を取り出し、葵に言った。


「このタロットマニュアルの表現が理解し難くて。

みんなで相談し合っていたの。」


「そうなんですか。私はあまり興味のない分野かも。

昨日は、入るなんて軽々しく言ってしまったけど、今日で止めておくね。」


予想していなかった出来事に、唖然としていた。


3人とも連絡し合っていたのだと、直ぐに気づき

安堵の表情をしてしまった。


「ユキヤ君、顔が緩んでるぞ。」


唯さん、それは3人のせい・・いや、おかげです。


「ささやかな幸せを噛み締めていました!」


ちょっとした笑いを取りつつ、和やかに食事は終了し

教室に戻る途中で、トイレに向かいグループにラインを入れた。


“放課後、一緒に帰ろう”


直ぐに全員から心地の良いスタンプが届いた。


ご感想・レビュー・ブックマーク・評価、いただけると幸いです。

よろしくお願いします。

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