夏祭り
お越しいただきありがとうございます。
これからしばらくは星奈の主観になります。
幼馴染良いですね。
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お楽しみください。
主要登場人物
ユキヤ 主人公。隙があって鈍感。
かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)
星奈 2年生の先輩。ユキヤの幼馴染。
唯 3年生。モデル並みの美貌の持ち主。
五日市先生 かおりのお姉さん。
夏祭りに向けて、色々と相談はしたけれど、結局何もできず。宿題だけが進んだ。
今日は、約束の夏祭り。段取りは出来たけど、ちょっと問題が……。
お母さんに手伝ってもらったけれど、浴衣を着るのにかなり手間取ってしまった。
久しぶりだから仕方ないね。お陰で、待ち合わせ時間には間に合わないので、先に行ってもらう事した。私の家から夏祭り会場が一番近いのが唯一の救いだ。
「じゃ、お母さん行ってくるね。一旦帰って、お着替えしてから、お泊りに行くから。」
そう言って、急ぎたいのだけれど、慣れない浴衣が邪魔して前に進まない。諦めてゆっくり歩く。
会場は、人がごった返していた。正直言ってかなり苦手。ユキ君達を探したいけど、どこかで待ち合わせないと合流出来ないかもしれない。
“星奈。迎えに行くから場所を教えて。”
ユキ君からラインが届いた。良かった、これで合流できる。丁度、私が前に泣いてしまった自販機が近くにあるのでそこにしよう。
“前にお茶を買った自販機の近くにいます。”
そう入れると、直ぐにOKのスタンプが送られてきた。少し離れたところにいるのか、ちょっと時間がかかるとのことだった。迎えに来てもらえるなら、それで満足です。
それにしても、人が多い……。苦手な雰囲気。心細くて無意識にうつむいてしまう。
ふと前に人が立ちはだかった。
ユキ君かと思い顔を上げると、見知らぬ男の人が私を見ていた……。
「お姉さん、俺と回ろうよ!」
「嫌です。」
怖い。反射的に言葉が出てしまった。
「いいじゃん。行こうよ。」
そう言うと私の腕を強引に持ちって引っ張る。
「やめて……。」
怖くて声が出ない。ユキ君はこんな強引なことしないのに。力を入れて抵抗してるけど、全然、歯が立たない。待ち合わせ場所から離れて行く……。
自然と涙がこぼれた。
その時、少し黒い腕が私を掴む腕を振りほどく。
ユキ君がそこに立っていた。見たことが無いくらい怒ってるユキ君が。
「おまえ、俺の女になんか用か?」
「なんだ、男連れかよ。」
ただならぬ雰囲気を察知したのか、男はすぐに立ち去った。
でも、ユキ君の雰囲気というか迫力がすごい。いつもやさしいユキ君の違う側面を見た気がする。
「星奈。遅れてごめん。怖い思いさせちゃったね。」
いつものユキ君だ。
「うん。大丈夫。今のユキ君。怖かった。」
「俺も男の子ですから、星奈を泣かせてたら怒ります。」
いつもはみんなに弄られて、笑っているユキ君だけど、やっぱりいざという時は頼りになる。なんだか強そうだし。そう言えば、私と遊んでいた頃に何か習っていた気がする。
「ユキ君。何か習い事してたよね?」
「よく覚えてるね。辞めちゃったけど、空手をやってたよ。」
見たことのある男の子の体が、ユキ君しかいないから何とも思ってなかったけど、言われてみるとすごく筋肉質だった。
「今も鍛えてるの?」
「うん。たまにね。ねえ、星奈。くっ付いてないと迷子になっちゃうよ。」
手を繋ぐより、腕に絡みついてみたくなったので絡みついてみる。今日は、歩幅が狭いのでこっちでも大丈夫。
「俺のオンナ。」
「星奈、やめれ。」
「私は、ユキ君の女?」
「嫌?」
「ううん。うれしい。」
きっと3人の誰が私のような目にあったとしても、ユキ君の反応は同じだと思う。勢いで出た言葉かもしれないけれど、いつか本気で言われたいな。
人混みの中歩いていると、唯からラインが来ていた。
“人がすごいので合流が難しいかも、後で、連絡するかちょっとまってて”
「ユキ君。人混みがすごいからちょっとまっててって、唯が。」
「そうなんだ。仕方ないね。少し出店でも見てよう。」
「私、あまり人混みが得意じゃないから、あっちの人が少ない方に行きたい。」
「OK!そうしよう。」
2人きり。私はどうしても気になることを聞く決心をした。
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