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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
103/191

急転直下

お越しいただきありがとうございます。

今回も唯主観になります。

登校日、ちょっと長い一日になりそうです。

ブックマーク・評価等いただけると励みになります。

お楽しみください。


主要登場人物

ユキヤ  主人公。隙があって鈍感。

かおり ユキヤの中学からの同級生。(実は小学校から。)

星奈  2年生の先輩。ユキヤの幼馴染。

唯   3年生。モデル並みの美貌の持ち主。

五日市先生 かおりのお姉さん。

“みんな、明日時間ある?”


帰宅途中にユキヤ君からラインが入った。すかさず、大丈夫と返信したけれど、何か用事でもあるのかな。みんな、予定は無いらしい。でも、私は、次のメッセージに固まってしまった。


“家で、勉強会しませんか?母さんにも会わせておきたいので。”


そうだった。旅行に行っている時、さすがに異性を留守宅に上げるのは抵抗があるので、一度会ってほしいと言っていたのを思い出した。でも、いきなり明日というは、心の準備が……。


動揺している間に、待ち合わせ時間まで決まってしまった。


星奈とかおりちゃんは、毎朝一緒に学校へ行っているので面識があるけれど、私だけが一度もお会いしていないし、全員と顔合わせというより、私をユキヤ君のお母様に合わせる会のような気がしてきて、益々、緊張する。

 そうだ、何かお土産をお持ちした方が良いかしら?でも、普通の友達の家に手土産を持参する人なんていないわよね……。ふ、服装は?デートじゃないんだし、過剰におしゃれして行ってもなんだかおかしな人になってしまうし、いっそ制服の方が……。夏休みで部活でもないのに制服着ている方がおかしいわ。という思考がグルグル回って、なにも決められなくなってしまった。


もうだめ。星奈に相談しよう。


「もしもし、星奈?相談があるんだけど。」


「さっき、別れたばかりなのに?」


「うん……。もう無理。」


電話の向こう側で何か話し声が聞こえる。


「かおりも一緒だから、家来る?」


「すぐ行く!」


あともう少しで、自宅という場所から走って駅まで戻る。どうにか電車に間に合った。


「あれ?唯さん。どうしたの?」


なんでここにユキヤ君が!

息が切れて、言葉が出ない。しかも、髪を振り乱しながら走ってきたので、ボサボサだ。まずは呼吸を整える……努力をする。


「ユキヤ君。用事は終わったの?」


まだ、呼吸が落ち着かないけれど、どうにか声が出せた。でも、こんな時にユキヤ君に会ってしまうなんて、幸運なのか不運なのか。


「ちょっと買い物してただけなので、すぐ終わりました。こんなに急いで、これからどこに行くんですか?」


「ちょっと星奈の家に。」


「今日、俺、暇なんですけど、一緒に行っても良いですか?」


うれしい!けど、すごく困る!ユキヤ君のお母様に会うのにどうしようという相談をしに行くところに、ユキヤ君同伴で行ってしまったら、相談どころか雑談で終了して、本末転倒だ。


「うん。いいよっ!」


考えている最中に、私の希望が優先して、口から出てしまった……。今日は、相談できそうにない。


「唯さん、なんか表情が微妙に曇ってますけど、なんか悩み事でも?」


あなたが悩みの種を持ってきたなんてことは、口が裂けても言えません。


「いいえ大丈夫、星奈に連絡しておくね。」


駅に着いたと同時にスマホを取りだし、立ち止まって星奈に連絡をする。


“緊急事態。ユキヤ君と会ったので、そのまま連れて行きます。私の相談は後にします。”


これで良し。ユキヤ君の方に目を向けると何やら女性と話をしている。そのうち私の方を見て歩み寄ってきた。


「唯さん。うちの母さんです。同じ電車に乗ってたみたいで。」


「ユキヤがいつもお世話になってます。あら奇麗なお嬢さんね。」


ユキヤ君。展開が早すぎて私の思考が追い付けません……。でもここは、印象良くふるまわないと!


「いえいえ、いつもユキヤ君にはお世話になりっぱなしで。中川唯と申します。よろしくお願いします。」


無難なご挨拶が出来たと思う。でも、結局制服で会ってしまった……。手土産どころではない。相談事が一つ、消えてしまった……。


「そうだ、ユキヤ。明日来るって言ってたけど、どうせなら今日、家に来てもらいなさい。今朝、美味しい葡萄が届いたところなのよ。冷蔵庫で冷えてるわ。」


「そうだね。唯さん、今日でも平気?」


ユキヤ君、もう急転直下すぎて、付いて行けません……。


「うん。星奈にも連絡して良いのかな?」


「お願いします。」


“予定変更です。ユキヤ君のお母様が、遊びにおいでとのことなので、かおりちゃんを連れてユキヤ君のお宅に来てください。私の相談は消滅しました……。”


“唯。急転直下過ぎて、思考が追い付きません。とりあえず、行きます。”


思考が追い付かないのは私も同じです……。

久しぶりにユキヤ君に会えると、心待ちにしていた私の登校日は、まだ終わりそうにありません……。

ご感想・レビュー・ブックマーク・評価、いただけると幸いです。

よろしくお願いします。

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