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恋愛読本。  作者: 半栖酒美斗
10/191

電話

お越しいただきありがとうございます。


異性から電話がくるとうれしいです。

特に初めての電話。

ドキドキします。

そんなお話。

評価等いただけると励みになります。


それでは、お楽しみください。


主要登場人物

ユキヤ  主人公。隙があって鈍感。

かおり ユキヤの中学からの同級生。

星奈  2年生の先輩。ユキヤに付き合ってと言って保留にされている。

唯   3年生。モデル並みの美貌の持ち主。

五日市先生 かおりのお姉さん。


「ユキヤ君、食事一緒にどう?」


昼を告げるベルが鳴り終わると同時に

葵が話しかけてきた。


「約束があるんだ。ごめんね。」


「そう・・・。じゃまた今度!」


残念そうな葵を横目にテラスへ急いだ。


テラスに着くと既にみんな揃っていた。


「みんな、おまたせ!」


全員、お弁当を広げてランチタイム。

しかも、男は俺だけ。

こんな事、中学のころには全く想像できなかった。

そんなうれしさと、から揚げを噛みしめていた。


「ユキヤ。そう言えば、今日マニュアルについて

考えていたみたいだけれど、どんなこと?」


星奈から質問が挙がった。

だが、気持ちに左右されて現象が起こる的なことは

3人の気持ちを、ある程度はっきりさせる必要があるし

今、それを求めてしまっては、

俺もこの先、どう接していけば良いかわからない・・・。


「ん~考えたんだけど、

手に持った人の気持ちとかが反映されるのかな・・・と。」


「それはどう言うことかな?ユキヤく~ん。」


オブラートに包んだつもりだったけど

やっぱり唯さんには通用しなかったか。

もう白状しよう。


「持った人が、想いを寄せていたりすると、何かしらの反応があるのかなと。

でもそれだと、辻褄が合わない部分も有るし、はっきりした答えが出せない。

この辺りは、考えても仕方ないから、時間と共に様子を見るしかないかな、と。」


「ということは、マニュアルの2ページ目以降を待つってことね?」


「そうです。まあ、内容を知らないので何ともだけど。」


唯さんの視線を追って二人を見ると

うつむいて、耳が真っ赤になっていた。

やっぱり、内容は教えてくれないみたいだ。


「仕方ないわね。様子を見ましょう。」


唯さんの言葉に、全員頷いた。

そろそろ休み時間も終わりに近づいた頃。


「私、今日は用事があるから先に帰って。」


と唯さんが言った。


「ユキヤ。一緒に帰ろう。」


「ごめん。今日約束あるんだ。」


「約束!?」


かおりが素早く反応した。


「ユッキー、それは何の約束でしょうか?」


敬語がまた、怖さを助長する。


「クラスメイトとカラオケに行く約束を、」


「二人で、とかではないですよね?」


「たぶん、違うと思う。」


「たぶん!?・・・私も行く。」


「ほら、相手に確認しないと・・・。」


「放課後、直ぐ行くから教室で待ってて!」


勢いに押されてしまった。


「星奈は、行かないの?」


唯さんがすかさず質問した。


「私は・・・。やめとく。」


誰が来るか、分からないし

これ以上増えたら申し訳ないから

かおりだけお願いしよう。


微妙な空気で解散になってしまった。

みんなに悪いことしてしまったと思う反面

かおりの俺に対する気持ちは、ちょっとわかった気がする。

星奈は、それほどでもないのかも・・・。


教室に戻ると葵に事情を説明した。

どうも二人きりだったらしく、残念がっていたが

俺としては、二人と思っていなかったので

自分の浅はかさを反省すると同時に、

安心と罪悪感が交錯した。

明日、みんなに謝ろう。



放課後になると、直ぐにかおりがやってきた。


「おまたせユッキー!」


「紹介するよ。佐藤 葵さん。」


「はじめまして!葵です。よろしく!」


ちょっと心配していたけど、普通で良かった。


「じゃ行きましょ!」


教室を出て、校門に向かっていると・・・。


「やっぱり私も連れてって。」


校門前で、星奈が俺たちのことを待っていた。

こんなに大勢の生徒達が居るところで、

珍獣扱いの俺に声を掛けるのは

とても勇気が居ることだろう。

本当に星奈に悪いことをしてしまったと後悔した。


「うん。星奈、一緒に行こう。」


俺たちは、駅へと歩き始めた。


カラオケに着くと、葵からの質問攻めにあった。

三人の関係、特に先輩である星奈に興味深々だった。

でも、星奈は多くは語らない。

葵は、相当もどかしそうだったが、観念してカラオケが始まった。


ほとんど、葵、かおりの独占状態、二人とも上手だった。

俺も一曲だけ。

星奈は、一曲も歌わなかった。


「ねぇ。ユキヤ君は、お昼に誰と食べてたの?」


「私たちと、テラスで食べてたよ。」


とかおりが代返した。


「先輩も?どんな関係?」


これ以上の質問は、危険だと感じ

ごまかそうと返事を考えているところで・・・。


「先輩の持ってるマニュアルの謎解き関係かな。」


待ってよ、かおり。

マニュアルのことを他人に知られてしまうと面倒だ。

すかさず、フォローに入る。


「いや、先輩(星奈)の持ってる本の謎を解くサークル活動だよ。」


葵は、何か考えている。

うまくごまかせたか?


「私もそのサークル参加する!」


俺がやってしまった・・・。

理由はないけど、できれば4人だけの秘密にしておきたかった。


「じゃ明日お昼、テラスに行きますね!」


カラオケ終了。

4人だけのランチタイムも残念ながら3日で終了。


自宅が、反対方向の葵と別れ三人になる。


「ごめん、二人とも。俺、余計なことを言ってしまった。」


「いいよ、ユッキー。私は気にしてない。」


「私も別に良いよ。もしかしたら、彼女にも何か出るかもしれないし。」


二人とも前向きで助かったのか

俺の愚かさをフォローしてくれたのか。

どちらにしても、感謝しかない。


帰り際、星奈が歌わなかった理由を聞きたかったのだけれど

なんか聞きづらくて、言えなかった。


いつも女子に助けられてばかりいて、本当に情けないと

ちょっと落ち込みながら帰宅した。



夜も更けて、そろそろ寝ようかと思っていたところに

1件のラインが入った。


”今から電話してもいい?”


星奈からだった。


ご感想・レビュー・ブックマーク・評価、いただけると幸いです。

よろしくお願いします。

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