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その勇者、かつてはモブキャラ設定でした  作者: 蜜柑クロ松
第二章 闘技会
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第33話 恐るべきCブロック

闘技大会まであと三日にまで迫っていた。正直全然自信はないけど、嘆いていても時間は待ってはくれない。結果、僕は今絶望に押し潰されてぐったりしている。

「大丈夫〜?和真君」

「ま、まぁ私も同じような境遇だし気持ちは分かるけどさ...」

「どうやって勝てばいいんだよぉ〜...」

「き、きっとできるよ!!まだ対人に慣れてないだけで君は充分強くなってると思うよ!!」

初戦の相手は三英雄が一人、そして僕は未だに対人経験ゼロ。もちろん日々特訓に励んでいるものの、こんな調子じゃ自信は湧くわけがない。そしてぼっちでコミュ力もない僕にとって致命的である事が───


「当日は四つのブロックに別れて試合を行っていくぞ」


そう、僕の行くCブロックにはいつも話すメンバーが一人もいないのだ。宇佐見さん、圷君はBブロック、渚さん、藤島君はDブロック、仰音道さんは非参加でAブロックの治療員。ここまで来ると自分のこの性格を呪いたくなってくる。そして更に追い討ちをかけるかのように、Cブロックは個性的な人が多いのだ。



───闘技大会 Cブロック試合会場───


今日はCブロック会場の見学、当日は現地集合ということで、場所と会場内の部屋の確認をしていた。

「雨宮様ァァ!!お疲れでないですか!?よろしかったらおんぶでもしましょうか!?」

「いいえ、問題ないですわ」

Cブロックは合計で7人。一人は一部男性陣から大人気の雨宮 玲さん、一人は雨宮教と呼ばれている一人、飯崎 快神君である。飯崎君は「僕が勝ち進んだら必ず雨宮様に勝ちをお譲りしますからね!!」と豪語していた。僕は勝ち進めば次に当たるのは雨宮さんの可能性もある。仮にそうだとして、僕が勝ったら末代まで呪われそうだ。ちなみに、その雨宮さんと初戦対戦する相手は───

「へ〜、会場は学園内なのかと思ったら、結構離れた場所にあるんですね〜!当日は遅刻しないようにしないと、私トップバッターですからね〜!!」

明るい雰囲気を絶やさない、黄泉月 茶愛羅さんだ。僕が不安そうな顔をしていたのか、僕を励ましてくれながら、周りを見渡して楽しそうに話している。とても優しい人だ。

「しっかし当日は大変そうですね〜。トップバッターで戦わないとって考えると下手な戦い方できないし、私勝ち進まないと親が認めてくれないんですよね〜」

「そ、そうなんだ...」

「小林さんは目標あります?どこまで勝ち進みたいとか」

「僕は...とりあえず初戦に集中かな」

「相手は堀井田さんでしたっけ?お互い大変ですが、勝ち進められれば戦うことになりますからね!!是非勝ち進んじゃってください!!」

「そんな簡単に...」

「大丈夫!!人生楽しめばなんとかなります!!ですよね!!摩怨さん!!」

「...」

摩怨(まおん) 幽無(ゆうな)さん...普段何も話さない、僕以上に暗い雰囲気をいつも纏っている人だ。彼女の情報はほとんど何も知らない。僕が言うのもなんだが、彼女は交流がある人が少なく、『独自魔法』どころか彼女の戦闘スタイル、戦歴すら誰も把握していないらしい。が、彼女は相当な実力を持っていると噂されている。このトーナメント大会において、このクラスの優秀者六人が限定で引けるシード枠くじがあったらしく、このCグループで彼女は唯一のシード枠なのだ。ちなみにそのシード枠には俊君やメイさん、平次君も選ばれているらしい。

「シード枠に入っているってことは、本当に強いんですよね!!私とても気になります!!いったいどんな『独自魔法』を使うんですか?きっと豪快でカッコイイんだろうなぁ〜!!」

「...別に」

この温度差である。

「それにしても、沼下さんは今日もお休みなのですね〜、当日遅刻しないかも心配ですが、一人だけ実力に差が付いてしまうのではないかも心配ですよ〜」

「彼はまぁ...大丈夫だとは思うけどね」

沼下 林君、この前の一件以来あまり顔を合わせたことはないけど、王都の外のモンスターを狩り回っているらしい。彼も実力者の一人だとして有名だが、意外なことに彼はシード枠ではなかったらしい。

「まぁそうですけど...そういえば、彼は摩怨さんと当たる可能性があるんですよね?対策は大丈夫ですか?」

「...多分」

「どんな勝負になるのか楽しみですね〜!!」

「...」

さっきからこの温度差の間に挟まれててとても居づらい...。

「シード枠の人間なんだろ?沼下が勝てるような奴じゃねぇって、あいつ俺の力制御出来ずに自滅するような奴だしな」

「あ、堀井田さん!!戦ったことあるんですか?」

「あいつ俺のパワーの倍出そうとして魔力容量不足(キャパオーバー)起こしてぶっ飛んだからなw」

堀井田 涼星君...三英雄の一人、僕の初戦の相手──純粋なパワーの上に得意の強化魔法で相手をねじ伏せる、力で右に出るものはいない。実際に対面してみると、やはり勝てる気がしないような威圧感に襲われてしまう。

「初戦はお前との勝負だったよな!!聞いたぜ、藤島が独自魔法研究の手伝いしてんだろ?」

「う、うん。そうだけど...」

「じゃあ期待できそうだな!!元無力者の力っての、一度体験してみたかったしよ!!」

「は、はぁ...」

「そういえば、堀井田さんってうちのクラスのTOP5には入りそうなくらい強そうなのに、シード枠じゃないんですね?」

黄泉月さんが堀井田君と僕の間に割って入ってくれた。話題はともかく本当にナイスです。

「あ〜あれな?あのシード枠、入学試験の点と入学後の成長度合いから選出したらしくて、特にランク云々がシード枠選抜の肝になってたらしいぜ」

「あ〜、そういえば堀井田さんってランクアップは特にしてませんでしたよね」

「そうそう、だから選出されんかったらしい。マナティにドヤされてよぉ」

堀井田君もマナティ呼びなんだ...

「そこの摩怨ってやつは知らないけど、皆川とか上級モンスター狩ったりしてるし、メイなんかは申し込まれる模擬対戦全部圧勝したりしてるしな」

「なるほど...でも、魔物狩りって意味では沼下さんもまぁまぁ上級モンスター狩り尽くしてません?」

「魔物素材見せたりとかしてないんじゃねぇの?どのモンスター狩ったかは素材見せないと分からんもんだし」

「そういう事でしたか...」

シード枠の選出の仕方...特に考えてなかったけど、そういう決め方だったんだ。けど、それで堀井田君や沼下君みたいな実力者が下に来てしまったことで、僕が哀れなことに...って考えるのは止めよう。前向きに捉えないと──

「まぁとにかく、初戦楽しみにしてるぜ!!楽しい試合にしようや」

そう言って、堀井田君は先に歩いていってしまった。

「ますます楽しみになってきましたね!!」

「僕は不安が募るばかりだよ...」

やっぱり前向きになれない僕であった。

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